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05-初めての冒険者 -

「・・・いつもに・・まして。

きつくはありませんか?」

「がはは、気のせいじゃねぇのか?」


 容赦ねぇな。

まぁ、なまけものにはちょうどいいかもな。


「冒険者って・・・稼げますか?」

「ん?なんか欲しいもんでもあんのか?」

「作りたいものがここになくて。いっそのこと自分で稼いで買ってしまおうかと」


 あいつらをギャフンと言わせたいし。

アルケミスト的なチートが欲しいです。


「なら今からでもギルドに行くか?」

「なるほど。その発想はなかった」

「行動は早いほうがいいだろ?

早速行くか!」

「ちょ、待ってください。まだ息ががが・・・」


 初めての城外は凄かった。

主に人だったけど耳が長い人や明らかに奴隷の人。

ケモ耳なんて人もいた。


「あんまジロジロ見るのやめろ、目をつけられるぞ」

「あ、すいません。つい見てしまうんですよね」


 犯罪チックですよね、すいません。


「冒険者は荒くれ者が多いがその分、面倒見いいやつも多いぞ」

「そうなんですか?腕っ節では勝てる気しませんからね」

「違いねぇ。お前ほど訓練が大変なやつもなかなかいないけどな」


 あれから【人言語】はLv4【視覚魔法】もLv3まで上がったがそれ以外はさっぱりだ。

【人言語】Lv4の恩恵は結構強く、日本に慣れ始めた外国人くらいにはなったと思う。


「ついたぞ、ここがギルドだ」

「おー?都会的だな・・・」

「帝国だぞ?田舎なわけがあるか」


 ダンロンさん、異世界にレンガのビルがあったらそんなになりますって。

木の小屋とかのイメージだった。


「相変わらず賑わってるな」

「そうですね。イメージぴったりというか」


 案内をみると地下に居酒屋、1階は初級のクエスト。

上に行くにつれてランクが上がっていくようだ。


「おやダンロンさん?今日はどういったご要件で?」

「こいつの・・・

おい、ぼさっとしてねぇでこっちに来い」

「す、すいません」


 目移りしてしまった。

そうだった、仕事しに来たんだ切り替えないと。


「こいつの登録だ」

「そうだったんですか。

ではこちらにサインなどを」


 ダンロンさんに代筆するか?と誘われたがこれくらいは自分でやらないと。

それと、受付の人は男性だった。美人じゃなくて残念です。


「がはは、まるでワームが這ったような字だな」

「ちくせう、まだ練習不足か」

「いえいえ、字をかけるだけマシですよ」


 だけど悔しいもんは悔しい。

夜中も頑張るか。


「ランクは‘石‘からのスタートです。

受けていくことにランクが上がっていきます」


 灰色のカードを渡された。

これが石のカードか・・・石って珍しいな。


「カードにクエストごとにポイントが加算され一定のポイントでランクアップです。

頑張ってください」

「今からでも受けれるクエストはありますか?」

「はい、武術に長けているのであれば討伐クエストを。

自信がなければその他のクエストをオススメします」


 ははは、そんなの決まってるじゃないか。

今までの努力を試せるんだぜ。


「その他のクエストで」

「お前らしいぜ」

「安牌とりたいんですよ」

「自身満々にその他を選ぶ人は初めてですよ」


 苦笑いされてしまった。

机の下を漁ると何枚もの紙を取り出した。


「注意事項は読み上げますか?」

「紙であるならいただけますか?」

「ほう・・・どうぞ、こちらが注意事項です」

「ありがとうございます」


 紙束の一番上をくれた。

埃が被ってるからなかなか使わなかったか誰も受け取らなかったんだろう。


「ではクエストの案内の方させていただきます」


・うちのワンちゃんを散歩させて。

・草刈を手伝ってくれ。

・いい男大歓迎!

・店の手伝いをしてくれ


 うん、ワンちゃんかな?

3番目は絶対にない。


「金銭的面から言えば3番目のクエストが」

「1番目のワンちゃんのクエストで」

「わかりました。

ではこちらが住所と依頼書です」


 報酬は200Kで10ポイントかありだな。

しかもお城から近いし。

ついでにランクに関してはこうである。


石:100P

岩:500P

石炭:1000P

ルビー:5000P

サファイア:15000P

エメラルド:50000P

アメジス:100000P

オニキス:偉業を成し遂げる

ダイアモンド:伝説として語り継がれる


 下の二つとかどうしようもないだろ。


「決まったみたいだな。

俺は違う用事あるから気張っていけよ」

「頑張ります」


 そう言って上の階に向かった。

で、振り返ると見たくない人達がいた。


「あ、どうも。先輩」

「さっきぶりですね」

「・・・俺たちは年下なんですから敬語はやめてくださいよ」


 関わりたくないんだよ、察してくれよ。

主にそこの女子2人の性ってのもあるんだけどね。


「私たちの方が立場的にも上なんだから当たり前じゃないか」

「アヤカはすぐに喧嘩越しになるんだから」

「時間も有限です。私はこれで」

「あ、ちょっと」


 なんかもう1人の女子があれだったけど、さっさと立ち去らせてもらおう。

俺は真っ直ぐに城内のキッチンに向かった。


「お前かどうした?」

「ブレイスさん、キッチン使わせて頂いても?」

「別に構わないが」

「ありがとうございます」


 スマフォを用意。そしてワンコ用のクッキーと人間用のクッキーの作成を始めた。


「ふぅ・・・ブレイスさん、どうぞ」

「ほう、美味しいじゃないか。

ただ口が渇くな」

「焼き菓子ですからね」


 苦笑いしてしまったがこれと固めのブラシ、木製のボールを持って準備万全。

いざ行かん依頼者のとこへ。


 うっはー。でっかい屋敷だな・・・

こんなところに1度でいいから住んでみたいね。


「あ、あのー」

「ん?なんだお前は?」


 いかつい門番がいた。

早速心が折れかけたが、紙を渡すと納得してくれた。


「なんだ依頼か。

それならそうと言え。念のため検査はさせてもらうが」


 短剣などはとっとと渡し、ブラシなども説明したら首を傾げられたが通してくれた。


「あなたがうちの子の世話をしてくれるのね?」

「は、はい」


 線の細い奥さんが出迎えてくれた。

事情を聞くと、あまりご飯を食べてくれないしぐったりとしてるようだ。


「私も最近忙しく相手をしてあげられなくて」

「・・・よかったらこれをどうぞ」


 袋を開けてクッキーを一枚食べてから袋ごと渡した。

本当に疲れているのかげっそりとしていた。

俺用の甘めに作ったクッキーだったが俺は元気だし致し方ない。


「怪しければ捨てていただいて構いません。

もし何かあれば王城の方に連絡をください」

「あなた王様の関係者なの!?」


 あー、うん。そりゃ驚くよな。

俺も言ってて支離滅裂だななんて思った。


「居候している冒険者ってことで一つ。

さて私はどのワンちゃんのお相手をすれば?」

「え、ええ。今案内させます」


 執事さんに案内されたのはとある部屋だった。


「申し訳ありませんが見張らさせていただきます」

「それは助かります。

俺一人だと心配だったんで」


 部屋の中には3匹のワンちゃんが寝転がっていた。

・・・3匹?


「大きく白い‘シュシュ君‘

もう一匹の‘ララ君‘

小さい子が‘キキ君‘です」

「は、はあ」


 これはびっくりしたけど。もふもふパラダイスじゃないか!!

やる気が溢れてきたー!!


「頑張りますか」


 3匹共俺に気づいて警戒したようにこっちを見ている。


「執事さん、後でこの子たちを庭に出すことは可能ですか?」

「この子達が嫌がらなければ」

「わかりました」


 とりあえず、大きいシュシュ君に近づくと見ては来るが興味なさそうだ。

下から撫でるとフンスと息をはいた。


「よしよし、いい子だな」


 そして始まるブラッシングだ。

顔をみながらブラッシングすると痒い場所などがわかって面白かった。


「それは?」

「犬用のクシだと思ってください。

おふ、顔を舐めるな」


 マウントを取られペロペロと舐められてしまった。


「こ、こら。ダメ。

はい、お座り」


 首を傾げ、また顔を舐められた。

俺はお尻を抑えてお座りというとじっとこっちを見てきた。


「よしよしよし」


 クッキーを取り出し、撫でながら食べさせるとパクパクと食べ尻尾がブンブンとふらさった。

ってもう一匹来てる。


「なんだお前も欲しいのか?」


 とりまブラッシングからなんて思ったがシュシュ君が足りなかったのかツンツンとしてきた。


「お座り」

「・・・おー」


 きちんとお座りをしたので褒めながらのクッキーである。

なんてことをしているともう一匹も飛びかかってきた。


「はっはっ」

「よしよしって顔舐めない。

わかったから」


 いつの間にかもふもふパラダイスとかしていた。

癒しだわー。


「お座り」


 1匹はちゃんとお座りし、2匹はなんぞや?って顔でこっちを見ていた。

2匹のお尻をおしてお座りともう一度いい、クッキーを渡す。


「躾からがんばるか」

投稿は2~3日に一回。


誤字脱字があれば報告していただけると嬉しいです。

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