再章-はっぴーわーるど!
「おいおい、どこに行くってんだよ?」
「ん?ウルが頼んでた果実を取りに行くんだよ」
「だーかーらー、もう集まってし帰ろうぜ」
僕がウルお母さんやパルムお母さんに育てられて何百年もたっていた。
お母さんたちとの子供は色々なところに行ったり村に残ったりしてるが、孫どころじゃないレベルのおじいちゃんになってしまった。
「俺はもう疲れたよ」
「もうちょっと手伝ってくれよ。
今日の夕飯はしっかり作るからさ」
「からあげ」
「はいはい、作ってやるからさ」
こいつは僕が物心着いた時にはいっつもいてくれた。
俺の影が住処で口は悪いけどいいやつ?グリフォンだ。
「しゃーねーな。手伝ってやるよ」
「ありがとう、ダンク」
「報酬のためだ仕方ねーよ」
果実を大量に取って家に帰るとウルはベットに寝込んでいた。
最近ウルは寝込むことが多かった。風邪って本人は言っていたが早く治って欲しい。
「カズヤ、クレープ作って」
「もうしょうがないな。ちょっと待ってて」
「ありがとう」
さーて、今日もクレープ作っていきますか。
2人ともこれ大好きだからな。なぜか作れるのは不思議だけど喜んでくれるなら別にいいかな?
「ほら、作ってきたよ」
「ありがとう。ねぇ、カズヤ。私は幸せだったよ」
「ん?僕だって幸せだったよ。僕はウルお母さんのこと大好きだし」
「えへへ。ねぇ、カズヤ。私を選んでくれてありがとう」
ウルは涙を流しながら微笑んだ、その姿は儚くてとても綺麗だった。
「ははは、何言ってるのもう。
俺だってそうだ。幸せだったよウル。ありがとう」
ウルは幸せそうに涙を流して息を引き取った。
あー、言いたいこと言えなかった。幸せそうに眠りやがってたくもう。
「ウル?いっちゃった」
「そうだな。幸せそうに行きやがって」
「…カズヤ?」
「こんな時に思い出すなんてな。たくなんて神様だ」
全部思い出した。俺がどれだけ大切に育てられたか。
どれだけ愛されていたか。
「…笑ってるの?」
「当たり前だろ?最後の顔は泣いてる顔より笑顔が見たいたいだろ?」
「泣いてるけど」
当たり前だろ!俺はもっと何かしてあげたかったからな。
あーもうちくしょう!
「ウルは幸せだよ」
「………」
「だって最後に見れたのはあなたの顔だもの」
はぁ、俺は幸せもんだな。
「これからもよろしくなパルム」
「よろしく、カズヤ」
数日後、ウルの体は灰にして風に流した。
村のみんなは泣きながら花びらを蒔いている。
「お前は参加しなくてもいいのかよ」
「俺は話したしいいかな」
「なら俺にくれ」
クロは嘴で花びらを流していく。
風の魔法を使ってできるだけ遠くに流していった。
「なんかさ。悲しいんだ。
清々したはずなのにさ」
「はは、随分人間臭くなったな」
「人間か。
俺さ、なんとなく分かった。
人間なんて汚いし、俺よりも真っ黒だけど…
なんか良かったって思えるんだ」
「そうか」
クロは人間を見張って人間っぽくなったな。
初めなんて「人間滅ぼす!」って息巻いてたのに。
「さて、皆で祭りの準備だ!
最後がしんみりなんてウルも嫌だろうしな!」
「おう!飯いっぱい食わせろ!」
「手伝えよ?」
「いーやーだ!」
振り向いたクロの目から涙が出てる気がしたがこいつはいつも通りだろうな。
「今日くらいは手伝ってやる」
本当素直じゃないなこいつ。
ウルの葬式を挙げてから三十年くらいたった。
俺はいつも通りにパルムに腕枕しながら日向ぼっこをしていた。
「さて、人間は観察したし俺は親父のところに帰るよ」
「そうか、元気に暮らせよ」
「ばーか、どうせ親父に吸収されて終わりだよ」
「ははは、またな」
「…おう、またなご主人」
クロが影から消えて少しさみしい。
あいつもいなくなると静けさがぱない。
「カズヤ」
「ん?」
「先に行く。またね」
「おう、ウル捕まえて待ってろ」
「ん、任せて。ちゃんとのろける」
体にいつもとは違う暖かさが戻っていく。
それと同時に腕の冷たさがしっかりと感じられる。
「お?ボールか」
「おじいちゃん取ってー!」
「ははは、怪我すんなよー」
「大丈夫ー!おじいちゃんも遊ぼう!」
「ごめんな、眠い。起きたら遊ぼう」
「約束ねー!」
子供たちに手を振ってまた寝転がった。
さーて、お昼寝でも始めますか。
「ははは、約束は守れないな」
俺はポカポカの太陽とそよ風に体を任せて目をつぶった。




