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アンはっぴーディファレントわーるど!?  作者: Mgl5566l
02勇者の知らない物語
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閑話-とある少年の昔話

 今日もお呼びがかかってしまった。

温泉から数日が経っているが早くない?もっとゆっくりでもいいのよ?


「兵士が面白いものを拾ってきての。

妾はわからんのでの、お主に聞いたのじゃ」

「はぁ、私でもわかるかどうか」

「よいよい。お主が分からぬのであればただのゴミ拾いしただけじゃ」


 見せてもらったものに鳥肌が立った。思考がまとまらない。

いや確かにおかしくないけど、どうして?


「お、王女様。これをどこで」

「ほう、知ってるようじゃの」

「俺の世界の品物です」


 王女の手には古びたガラケーが握られていた。


「そうかそうか。となるとお主に任せようかと思うぞ。

なにアントを連れて行き、妾に報告すればいいだけじゃ」

「ありがとうございます。

あ、これいつものお菓子です」

「おお、いつも済まないの」


 ガラケーを持ってきたアントを含めて3匹。

そしてパルムとウルの5人で進んでいく。途中魔物がいたが俺は見てるだけで終わってしまった。


 そして歩くこと1時間。その場所についた。

入り口と思われるところは崩れてふさがり、中には1つの白骨死体があった。


「壁に書かれているのは…日本語!?」


 驚きながらも死体に手を合わせてから壁に書かれているものを読んでいく。






 不運なことに土砂崩れが起きて俺の力じゃもう助からない。

でもそんなことしたら田中に申し訳ない。


 絵を描く事しか能がないことはわかってる。そんな俺を助けてくれたのは田中だ。

あいつに責めてもの恩返しでもしてからじゃなきゃ死ねないだろう。



 日本語以外かけないから頼んだぞ日本人。

話の始まりは田中と『欲望の塔』という場所に行ったあとの話だ。



 『欲望の塔』には絶対に行くな。あそこはただの処刑場だ。

俺の仲間はみんな死んでいった。それも全部が終わって田中から聞いた話もあるんだけどな。



 元々は田中達が国王から『欲望の塔』に行けば日本に帰る術が手に入るなんて言われた。

初めは皆反対したが田中に説得され行くことを決意したみたいだがあそこから皆おかしかったのか。



 『欲望の塔』に入ると皆おかしくなった。田中が寝ている間に聞いたのがなんとしても田中を部屋に入れないように話していた。

俺は怖くなって何も言えずにただ見てた。思えばそうしなければ田中は1人にならずに済んだのかもしれない。

本当にごめん田中。



 初めは炎の魔物”イグニス”が部屋に入った。勇者に恨まれるように部屋に入っていった。

部屋に入らないと通路が開かず皆黙って進んだが田中は進めなかったみたいだ。

でも、彼女である聖女”グロウ”が立ち直らせ進んでいく。



 次の部屋からは酷く皆、罵って部屋に入っていった。見ていられなかったがあいつらが意味もなくそんなことをすると思えなかった。

水の部屋には賢者”アクア”が風の部屋には守護者”スカイ”土の部屋にはオーガ”アース”。



 これで仲間は俺、田中、グロウの3人。そして闇の部屋に入る前にグロウは俺に言ってきた。

蘇生の指輪を渡してくれと頼まれた。何もできなかった俺は渡してグロウは闇の部屋に入っていった。



 ついに俺と田中の2人になりなんとなく悟った。あいつら田中に思われず、恨まれながら死ぬことを選んだのか。

俺も心を決めると闇の部屋が開き中から方で息をしているグロウが出てきた。



 田中は泣いて、グロウが慰める。でも俺も気づいた、蘇生の指輪が光を失っている。

今のパーティに蘇生の指輪は1つだけ、もし次があったらそう思うと怖くなってきてしまった。



 その日は疲れてそこで1日を過ごしたんだが田中が眠るとグロウが話をしてきた。

田中の動きを止める手伝いをして欲しいと。俺はまだあるのかと絶望しどうしてそこまでしてくれるのか尋ねた。



「だって本当の家に帰るのが幸せじゃないの」



 俺はグロウに謝ると同時に感謝した。やっぱり誰も田中を恨んでなんていなかった。

俺も心に決めたんだ、なんとしても田中を止めるって。



 光の部屋前でグロウと一緒に光の剣を強化し田中をつなぎ止めた。

グロウが部屋に入ると田中は廃人のようになってしまった。そこに無性にイラついた。

俺なんかが怒る資格ないんだけどさ、今度は俺が嫌われてでも前に進んでもらわないと。



 田中は俺を敵のような目で見ると何も言わずに階段を上った。

頂上につくと田中に光が集まり体に吸収された。



 何が起きたのかと聞くと全てが分かったと言った。いつもの田中だ。

そして、俺に『欲望の塔』のことを話すと泣きながら語ってくれた。



「俺は悲劇を繰り返さない。あいつらを救ってやる」


 そう言って田中は黒くなり勇者から魔王に変わった。

でもそんなの認ない。俺は何年かけても仲間と田中を救うんだ。



 でもこれまでか。だから頼む。これを読んだ日本人、田中を救ってくれ。

苦しんでるあいつを頼んだ。こんな無茶苦茶な話だが文字通り一生の頼みだ。







「なるほどの。そんなことが書かれておったのか」

「はい。驚いたのは初代勇者パーティは人4、魔物3の混合パーティ。

一昔前ですと魔物と人はわかり合えていたのかもしれないです」

「そうじゃの。ここもそんな都市にするのもありかもしれんしの」

「ははは、初めて会った時では思えない発言ですね」

「…そうじゃの。忙しいが楽しい。

感謝しておるぞ、カズヤよ」


 ちょっと照れくさいな。

真正面からお礼を言われると流石にね。いくらアントだからって恥ずかしいものは恥ずかしい。


「ところでその昔話とは何じゃ?」

「…しらんかったんかい!!」


 ネタばらししてから元ネタ話すって何とも言えない感じだけど、深く意味理解できてそれはそれで楽しかった。

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