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アンはっぴーディファレントわーるど!?  作者: Mgl5566l
02勇者の知らない物語
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閑話-俺はダンジョンの飯屋になる

「兄ちゃん、こっちにも酒をくれ」

「あいよー」

「後適当なつまみが欲しいところだな」

「はいよー。パルム、これ持ってってくれ」

「ん。…美味しい」

「って、摘まないで」


 すごい売れ行きだな、フライドポテト。

これ美味しいし、安いからな。


「うおっ!?なんだテメェ!」

『ギギギ』

「ん、誰か来たのか?」


 見るとアントマンが武器を持たずに酒場に入っていた。

となると、お客?それとも女王から連絡?


『ジョウオウ、オヨビ。

キテホシイ』

「急用で?」

『??

ワカラナイ』

「了解。

良かったらこれどうぞ」

『ギギギ、ウレシイ』


 アントマンにポテトやらプリンやらを持たせるとニコニコと帰っていた。


「なんかよ」

「あん?」

「アントたちって可愛いよな」

「おう………はぁ!?」


 どうやら業が深い人が増えたようだ。

魔物に対して即殺って人がだいぶ減ってきたのは喜ばしい。


「わかるよなマスター」

「ははは、わかります。

ってウル、痛いよ」

「今のは浮気ですかね?」

「ん。浮気」

「ちょ、ドレインはNOooooooo…」

『ははははは』


 誰か助けてくれてもバチは当たんないと思うんだ。

ちくしょう、こいつらの前で賄いのからあげ食ってやる。





「それで女王様?

何事で?」

「ふぁぁぁ…

ちょっとな」


 随分と眠そうだが俺が前に手を出したら怒られたからな。

勝手がわからなくなるそうだ。


「物が腐った匂いがするところを掘ったようでの」

「物が腐った」

「うむ。ガスが溢れ、熱いそうじゃ」

「……ワンチャン温泉じゃね?」

「ワンチャンオンセン?」

「あー、温泉なんだがそれは欲しいとこだ。

新しく稼げそうだ」


 とりあえず掘った近くでの火を禁止しておいた。

これで効能はわからんが温泉に入れるかも!!


 アント達に連れてかれて掘った処に行くと卵の腐ったような匂い。

硫黄みたいな匂いが立ち込めていた。


「あっちー、くっせー」

「どうしてこんなところに?」

「俺の求めているもがここにあるかもしれない」

「へぇ、何を探せばいいの?」

「本題だ。あったかいお湯を探してくれ」

「「お、お湯?」」


 2人には風魔法でマスクにガスマスクような機能をつけて口に付けてもらった。

アント達は鼻が無い様なのでこれほど適している人材はない。


~数分後~


「火傷しちゃった」

「大丈夫か?」


 ウルが火傷するくらい熱いお湯を見つけた。

さらにお湯が吹き出る所を近くに見つけたみたいだ。ウルマジ有能。


 とりあえず火傷をヒールで癒し準備していたポンプを運んでもらう。

これは商人や鍛冶屋に頼んで作ってもらったもので中々に財布が軽くなった。


「入ると火傷する」

「あ、新手の拷問施設…ゴクリ」

「なんで生唾を飲んだし。

このポンプで温度調整して入れるようにするんだよ」

「なんでそんなに嬉しそう?」


 アント達が穴を掘ってくれて宿近くまでなんとかポンプを運ぶことができた。

…俺指示しかしてないんだけど罪悪感ががが。


「さて、次にすることは」


 小屋は既に作ってもらったのでポンプを使って掘ってあった穴の中に温泉を流し込む。

ま、兵舎に1週間お昼の提供があったが仕方ないことです。仕方ないことなのです。


「で、できたーぞ!!」


 思わず小躍りしてしまい後ろからの視線が痛い。

な、なんだよ。これくらいいいじゃないか。


「さーて入るぞ!」

「ん」


 もちろん女湯、男湯で分けているためそこらへんも安全なんだがなぜここに3人いるんだ?


「風呂に入る前にちゃんと体洗って」

「洗って」

「そうです、あの時みたく洗ってください」

「片腕しかないのにやれと」

「ん」「うん」

「…はぁ、パルムそこ座れ」

「ん、久しぶり」


 シャンプーリンスなんて本当に久しぶりなんじゃないか?

ゴシゴシと擦ると気持ちよさそうに痒い所が気になるそうだ。


「ん。もっと下」

「ここ?」

「そこ」

「やっぱ結構あるな。

ウル、洗うの手伝ってくれ」

「はいはーい。お任せあれ」

「む。駄目、カズヤの仕事」

「片手だと辛すぎるわ」


 この子ただでさえ髪の毛長いんだからちょっと辛いかな。

この長い紫色の髪の毛が好きなんだけどさ。


「生やして」

「生やす!?流石にできないからね」

「むー、なら私が切る」

「それはダメだ」


 パルムを後ろからギュッと抱きしめ耳元で囁いた。


「そんな綺麗な髪をしてるんだ、切るなんてもったいないだろう?」

「あぅ…嬉しい。ありがとうカズヤ。

…カズヤ?」


 俺はそっと離れて桶の水でバシャバシャと顔を洗っていた。


「ご、ごめん。シャンプーが目に」

「むー。いいからこっちに」

「ちょ、引っ張んな。転ぶから、転んじゃ」


 ほら転んだ。しかも俺を巻き込みながら転びやがって危ないんだから!

下はもちろん石づくり。男が上なんてテンプレはつまんないだろう?


「ぎょう!?」

「あ、カズヤー」


 わかるぞ、ギュッとしたいのはわかるがちょっと待って。

sonがうちの大切なmy sonが踵落とされた。


「あ」

「だ、大丈夫」

「これは大変。撫でる?」

「大丈夫ッス!」


 大丈夫って言ってるでしょ、手をワキワキさせないで!!


「ほら遊んでないで、目を瞑って」

「わぷ」


 俺がくの字でのたうち回ってる間にウルがパルムの頭からお湯をかけて事なきを得た。

ありがとうウル。後で何か作ってあげるからな。


「目痛い」

「あ、すいません。でも次は私の番なんです」

「わかってる。洗ってくる」

「ほら、カズヤ。こっちこっち」


 あー、まだ痛いけど大丈夫になってきた。

席の前まで来ると尻尾をブンブンと振っていた。


「尻尾も洗ってくださいね」

「まずは頭な」


 ゴシゴシと洗っていくとウルは気持ちがいいのか鼻歌を歌って尻尾を振る。

ちょ、尻尾が擦れてくすぐったい。


「手伝う」

「ありがとう、尻尾お願い」

「ん」

「あ、そこはカズヤに」


 何も言わせずにギュッと握って何とも言えない声をウルは出していく。


「も、もっと優しくですね」

「これくらいでちょうどいい」

「あ、だからもうちょっと」


 …何も考えるな。いいか例え目の前で可愛い子がイチャコラしていても何も考えないんだぞ。


「カズヤ?カズヤってば手が止まって…あら」

「…今夜は決まり」

「今夜じゃなくても…ね?」

「ん、賛成」

「ちょ、っまってお二人さん?お二人さァァァァァん!!」


 時間は早く過ぎるもので俺もまるで一瞬の出来事だった気がする。

今俺はお風呂に入り、横には2人が寄り添っている。


「気持ちがいい」

「そうですね、お風呂がこんなに気持ちいいなんて」

「ソウデスネー」


 そして脱衣所に戻り俺は、正気を、取り戻した。

何かあった気がするがもう気にしない!酒でも飲んで忘れるわ!!


 ま、その前に飲むもんはあるんだけどさ。

やっぱこれでしょ。そう、牛乳!


「はぁ!うまい!」

「飲む」

「私も飲みたいです」


 そういうと思ってパルムには小さめ、ウルは俺と同じサイズの牛乳を渡した。

やっぱ日本人としては飲みたいところ。ま、ビールでもいいんだけどさ。


「美味しい」

「なんというか本当に美味しいですね」


 どうやら2人とも温泉のことを気に入ってくれたみたいだ。

何よりも俺が温泉好きってのもあるんだけどね。あ、言い忘れたことあった。


「2人とも次からは女湯ね」

「「え?」」

「え?じゃないが」


 こうして俺の宿から街に温泉が広まり温泉のあるダンジョンとして広まっていった。


 とある王室にて。


「お父様、噂の温泉の街に行ってみたいですわ」

「ははは、可愛い娘のためだ。騎士団を連れて行くといい」

「はい。可能ならば交渉してきましょうか?」

「いや、せっかくだゆっくりと体を休めるといい。

いつも助けられているからな」

「ありがとうございます、お父様」


 彼女は部屋に帰って行く足音を響かせながら。

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