29-離れていく仲間
すいません。
リアルの事情で手をつけられずにいました。
失踪予定でしたが一気に投稿します。
残り話数も少ないので全部上げてからまったりしようかと
報告として2点ある。
まず1つ、勇者一行は直ぐに見つかった。
本人たちが目立つから簡単だった。ここから2日ほど馬車で行けば着ける街にいるようだ。
もう1つなんだが、なぜか俺のリュックに邪神像が入ってるんだが。
しかもこいつ捨てようとするとその晩、悪夢を見せるように進化してらっしゃる。
正直言おう、俺はこいつを捨てたくない。悪夢が怖すぎるんだよ!
「大丈夫?」
「だ、だいじょばないから退いてくれ」
「…ん」
「…うん、退く気ないよね!?」
魔物馬車で街を目指し森に馬車を隠してから徒歩での移動だ。
さて、あいつら俺の話聞かないだろうな。
「いつもの方法か?」
「そうだね、まずは認識阻害してから」
俺が唯一使える魔法、インビジブルだ。
全員を見えないようにする魔法なんだが、攻撃する意思を見せると解ける。
発動までに動けない上に時間かかるその他もろもろ。という強いけど場所が限られる魔法だ。
安全に街に入ってからローブで身を包み怪しさはあるが致し方なし。
あとむっちゃ暑い。それで冒険者ギルドでインビジブル使って盗み聞きをしたら勇者滞在している宿もわかったからそこに張り付いて話し合いかな。
「あー、今日も野宿か」
「いい加減慣れろ」
「ま、風呂は用意できるからいいんだけど、虫刺されが痒い。
あいつら絶滅しないかな」
「がはは、発言が魔物らしいぞ」
「一応人間代表なんだけどね」
最近人間やめたけど。
そんなことをしていると太陽は上り勇者一行が宿を出てきた。
「どうもお久しぶりですね、勇者方々」
「!?…何しに来た」
「血相を変えて、剣に手をかけないでください。
私たちは話をしに来ただけですよ」
「俺たちは話すことなんてないんだがな」
うっは、やめておくれ。
勇者の剣ををアグヴェルが止めた、競り合ってるけどあんなの食らったら腕持ってかれるわ。
「場を考えてください。
こんなところで戦闘して何人巻き込まれると?」
「っち。それでなんだ?」
「話を聞くことなんてありませんよ」
「それはですね、ウルを返していただきたく思いましてね」
なんか話を遮ってきた奴がいるがあいつに話を合わせるだけ無駄だろう。
オレ、アイツ、キライ。そんな感じ。
「は、返すなんてまるでモノ扱いだな」
「何とでも。彼女は私にとって3年間旅を共にした仲ですから」
「…だってよウルちゃん」
勇者一行の後ろにいたウルはローブを脱いでこっちを真っ直ぐに見た。
あー、やっと会えた。これでいつも通りの生活に。
「はぁ、何しに来たんですかゴミ虫?」
「…えーっと、ウルさん?」
「話しかけないでください、吐き気がします」
…え?なにこれ?心に来るってレベルじゃないんだけど。
「あなたは所詮ゴミ虫。私は気付いたんですよ」
そっと勇者に手を添えて頬にキスまでしてこっちを見た。
まるで羽虫を見るように。
「この人のために生きないと。
だから、さっさと野垂れ死んでくださいね」
「………」
女性陣の笑い声が聞こえる。
頭が真っ白になって何も考えられない。パルムも何も言わず、真っ直ぐにあちらを見ている。
「さあ、お姉さま行きましょう?
あのゴミは勝手に死んでいきますよ。私たちの両親以上に苦しんでくだいね」
こうしてウルたちはどこかに行ってしまった。
………あー、俺って何なんだ?
「カズヤ」
「パ、パルム」
温もりを感じたい。何も考えずに甘えたい。
俺が我が儘言えばパルムは答えてくれるだろうし。
俺の伸ばした手はパルムは拒んだ。
……やっぱり俺はダメなんだ。何も思われずそこらへんで野垂れ死にたくなってきた。
「今、手を取ったらカズヤは私のもの。
でもそれじゃダメ」
「………」
「苦しいけど頑張る。そうしないとウルがかわいそう」
………ん?
腐りきっていた頭に1滴の水が垂らされたように、急に回るようになった。
「パルム、何か気づいたのか?」
「ん、話す。
けど、まずは鼻と涙を拭く」
「ご、ごめん」
いつの間にか泣いていて不細工さが増していたようだ。
あー、やっぱ1人じゃダメだな。
「落ち着いた。パルム気付いたことを教えてくれないか?」
「ウル、話すとき耳から魔力が流れてた」
「は?」
耳から魔力?
冒険中に見たことあるけど近づかなかったからな。
「それだけ」
「うーむ、耳から魔力ね…」
「洗脳」
…なんかすごく嫌な単語聞こえてきたんだけど。
「詳しく」
「聞いたことがある程度なんだが。
洗脳という魔法があるらしい、条件があるらしいが強力な魔法らしい」
「なるほど。こいつは希望があるのかどうか…」
これで洗脳は関係なく、彼女の本心なら死にたくなるけどね。
「信じてあげて」
「パルム」
「もう1回、話そう。
だからウルを見てあげて」
「わかった。ありがとうなパルム」
そう言っておでこにキスをするとボンっと顔が真っ赤になっていた。
「ずるい」
「っち」
「あはは、許してくれ。思わずやっちゃったんだ。
アグヴェルもすまん」
落ち込んだ気分も一新し、情報を集めると血吸いの森という所に向かったらしい。
これまた厄介で、生物はもちろん樹木すら血を吸って成長しているようだ。
「ウルが本心なら石にする」
「決意固めた所で怖いこと言わないで!」
うちの嫁には逆らっちゃいけない…




