28-魔王対人間-
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楽しく見て下されば嬉しい
しっかし、高いところにいるな・・・
まぁ、眷属はおと・・・やっぱ恥ずかしいので魔王様が数を減らしてくれたので気をつければ大丈夫だろう。
石化しても対処はできるしな。
「さーて登りますか」
石と風を使って足場を作り、登っていく。
ジャンプ?怖いんで手の届く距離です。
「お、もう少しで!?」
短剣が目の前に突き刺さった。
ちょ、これパルムの体なんだが!?
「逃がさないよ」
「こっちくんな!!」
ショネークさんの相手の勇者がこちらに来たようだ。
となると・・・ボロボロで眷属の相手をしてらっしゃる。あ、こっちに謝ってきた。
「あなたにかまってる時間はないんですよ」
「それは私も同感。ってことであんたは後ね」
っち、魔力が多いやつはこれだから。
俺は技術でのカバーを。・・・ごめんなパルム。
ワイヤー付きのナイフを刺し、リールを高速で巻きながらナイフを抜く。
同時に風で少しジェット噴射。追いつきはしたがこれ肩が外れるし無茶苦茶痛いんだよ。
少なくともこの戦闘中に肩を使うことはできないだろう。
「え!?なんで」
「んじゃ、あなたはリタイアで」
使える腕を動かし、有刺鉄線を巻きつけるように動かす。
ま、上手く負けるはずないけど作戦はうまくいった。
「なめるな!」
「ほらな、読みが当たった」
こいつは気持ちがいい。見事、有刺鉄線を風魔法で切り裂いてくれた。
有刺鉄線の中には麻痺毒が入っている。もちろん液体で彼女はガッツリ浴びた。
俺は有刺鉄線をじか握りである。つまり、麻痺毒は。
「あっが!?」
「ウッグ」
俺にも聞くわけだ。だけど彼女は何もできず恨めしい眼差しで俺を睨んだ。
そして最後に風の刃を飛ばしてきた。だが狙いがブレブレだ。
だが甘い。風魔法で俺の体をパルムの方に飛ばす。
これで・・・笑ってる?
GYAaaaaaaaaaaaa!!
パルム!?
パルムに張り付き上を見るとパルムの片目は潰されていた。
くそ!!読みが甘かった!なんで調子こいて躱したりした!ダメージ食らってでも受け止めれただろ!!
俺は急いで外れている肩の指にハマっている解毒の指輪を吸った。
いったい!!!!!!
もう泣いてるんだが。でも今は急ごう。
「や、やっどずいだー」
な、泣いてないよホントだよ。
これは頑張って流した汗だから。
こっからが本番だな。俺がこの子を気絶させ。
ぺろり。
「べ?」
俺はあっけなく食われてしまったようだ。
なんとなくだがヌメヌメとした液体。そして皮膚は火傷したように溶けていく。
何メートルも頭から真っ逆さま。下が胃液ならアウト。
・・・しゃーなし。死ぬ気で行くぞおら!!!これが俺の男気だ!
粘膜タイプが1番強力だが壁まで遠い。なら消化されてる俺が飲んで撒き散らしてやる!
ほかのタイプは全部散布だ!
あとは・・・
散々散布してからのことだった。パルムは胃液を吐いたのだ。
全身が溶かされるように痛く激痛も半端ではない。だがここで死んでしまってはパルムを殺すだけ、解毒剤も撒かないと・・・
べちょ・・・
胃液の逆流。クッションとなっている肉壁のおかげで俺は死なずに済んだようだ。
あとはパルムにげ・・どく・・・
「は、はは」
胃液の水たまりに映った俺の顔は酷いもんだ。
皮膚がほとんど爛れちまってら。髪の毛もなくなって来てるんだような。それにあっついような寒いような。
で、真っ暗なはずなのに・・・ん?光ってね?
そうだよ、真っ暗なのに顔が見えるっておかしくね?
光のあるところを見たがよく見えない。
俺は足を引きずり、光の方へと向かうとやっと理解できた。
「ぱ・・る・・」
なんだ無事じゃん。なんでこんなとこに縛られてんだよ。
肉壁の一部に埋め込まれ眠っていた。人の気もしらないでよ。
俺は解毒剤を口に含み彼女にキスをして直接飲ませた。
ははは、相手が人体模型で悪いな。でも・・・これで・・・安心して。
「眠れるよ」
この時俺は忘れていた。俺が死ねば同時にパルムも死んでしまうこと。
仕方ないだろ!こっちだって命懸けだったんだ!
はっ!見慣れない天井ってか灰色で何も見えん。
ラノベのテンプレはどうした?ってか俺は死んだの?
「もご?」
なんか口周り邪魔だな。鼻呼吸しかできないし。
体はヒリヒリするし、どうなってんの?
「ajhfubjg」
ん?なんか聞こえ。ぐべっ!?いきなり衝撃とかゆみに似た何かが!?
なにこれ新手の拷問?やめて、怖い!
シュルシュルと音が聞こえ息苦しいのがなくなった。
相も変わらず目は見えないんだけどね。
「カズヤ聞こえる?」
「えーっと、パルムグッ!?」
口が塞がれてる!?てか舌的なのが口の中に!?
「生きてた生きてた生きてた・・・」
「怖いって!!えーっと」
結論から言うとパルムは生きてて俺も
「生きてる?」
「うん・・・うん・・・」
心に温かいものが溢れ、口にしょっぱいものが入っていく。
「えーっとパルム。おかえり」
「・・・ただいま!」
こうして俺はまたパルムと生きたまま再会を果たした。
「いやーよかった。僕の判断だったけど間違ってなかったみたいだね」
「ありがとうございます、魔王様」
「んんー?感謝してるならお父さんでしょ?」
「あ。あはは、ハードル高いっす」
アメスト---お父さんの話だとこういうことだ。
俺の毒は見事に効き、嘔吐後血反吐を吐いて崩れていったそうだ。
パルムにも当然毒が回っていたようだが解毒が間に合い一命を取り留めたそうだ。
パルムの暴走が終わり残っていたのは瀕死状態の俺だがお父さんの血を急いで輸血。
「不死鳥の血だからいけるかななんて思ったんだけどいけたみたいだね」
「ついでに失敗したら?」
「一節では永遠に炎で焼かれる痛みと夢を見続けるとか」
「怖っ!!」
実験は無事成功。みるみるうちに回復し落ち着いたが本人の様子を見るためにこうして放置したようだ。
ただお父さんの血の影響で髪の毛が真っ赤に。それ以外の恩恵は一切ないようだ。そう一切ないのだ。
「さて、次はこっちから質問だ」
「あのー、その前に目隠し取りたんですが」
「あーっと、そうだったね」
「カーテンを閉めてもらえると嬉しいですね」
「ん」
「3日も寝たまんまだったから気をつけるんだよ」
3日も寝てたのか。目を開けてみたけどしょぼしょぼする。
こう、目薬とかないですか・・・ね?
「パルム!その目どうしたの!?」
「あぅ・・・気付かれた」
パルムは右目に眼帯をしておりファッションや厨二に目覚めたわけでもないようだ。
「暴走はパルムそのものって言えばわかるだろう」
それを聞いた瞬間ギュッと抱きしめた。
あーこの感じ、落ち着く。それとともに罪悪感も襲ってきた。
「ごめんな、俺が守ってやれなくて」
「ううん。ありがとう、守ってくれて」
あー、ダメだわ。やっぱこの子に惚れてるんだ。
日本だと重婚ってダメって言われてるけどウルも幸せに・・・
「あれ?ウルは?」
「・・・それも含めて話したいんだけど。
うん、まずは2人の時間を作ろう」
もしかしてウルに何かあったのか?
まさか、死んだりなんて。
「ウルは・・・生きてる」
「あー、それなら良かった」
「それと」
ん?なんかクンクンと嗅いでくるな?
やめてくれ、今は病人なんだよ?
「・・・これも好きだけど。汗臭い」
「・・・よし、お風呂にしよう」
かゆみの原因はこいつだね。
それとお風呂はパルムとゆっくり入りました。紳士的な皆様ならもうお分かりだろう。
お風呂に入った後、別室で4人で話を始めた。
お城は現在復興中なので宿屋をお借りしての会議だ。
「では順番で話していこう。焦る気持ちもあるだろうがまずはパルムのことからだ」
「はい」
「パルムを助け出してから心臓の音が聞こえないんだけどどういうことかな?
もうアンデットなのかな?その場合」
「あなたが焦ってどうするの?カズヤさんにも答えさせてあげないと」
俺は像に出会って心臓がないことを話した。
そして俺の心臓を2人で使用することで一命を取り留めているだろうと考えた。
「でも代償がわからないんですよね」
「少なくとも君の大切なものだろうと思うからできる限り像には頼ってはいけないよ。
それともう1つわかった事があるんだ」
わかったこと?何かあったけ?
「不死鳥の血を入れたってことは君は本来不死身に近いモノになってるはずなんだ。
でも君の火傷は完治していない」
・・・うん。理解していけど話を聞こう。
「そこで推測なんだけど。不死身の力は君の心臓をと通してパルムに流れたんだと思う」
「えーっと、つまり」
「・・・みてて」
パルムはナイフで手を切るとあっという間に治ってしまった。
あれでも疑問が残る。
「そうなると目や心臓は」
「元々失っているものを直すことはできないんだ。
僕も考えたけどこの世界の魔法に治す方法は無かったんだ」
「そう・・・ですか」
でも命あるだけ素晴らしいな。
さて、次の質問だ。
「それでウルは」
「・・・うん次はその話だね」
パルムが元の姿に戻ったと同時に勇者の戦況は悪くなった。
1人は麻痺、勇者もアメストに決定打がなく体力だけを消耗していく。
「皆、悔しいけどここは一回撤退するよ」
「それは残念だけど仕方ない」
「覚えていろ魔王。お前を倒して世界を救ってやる」
勇者のうちの1人が君の付き人を抱えていたんだ。
「勇者様この子は私の妹です。
洗脳を解除してあげたんですが」
「構わないよ、奴隷の首輪だなんてかわいそうに。すぐに開放してあげるからね」
1つ言っておくと彼女は正式な奴隷ではなく本人がわがまま言って聞かないので仕方なく買ってあげたもので私に非はないとだけ言わせて欲しい。
「こうして勇者に逃げられてしまったんだ」
「・・・ウル」
「助けないと」
「でも場所だって」
なんていいわけだよな。ま、賞金首で動きづらいことには変わんないんだけどね。
「勇者を探そう」
「うん。ウルは大切な肉奴隷」
「きゃ」
「ちょ、パルム!?」
「カズヤ君ちょっと訓練所で話をしたいんだ」
「か、勘弁願います」
その後、話し合い(物理)でなんとか納得してもらい事なきを得た。
起きてそうそう吐くなんて思わなかったけどね。
「さて、勇者をさがす旅を今度は始めるわけなんだが」
「私も行く」
「あらら、パルム。辛い旅だけど耐え切れる?」
「もちろん」
「もし、カズヤ君に近づく女子がいたら?」
「殺す」
「怖いよ!ショ・・・お母さんからも何か言ってくださいよ」
ショネークさんに言われて直してるけど、言い間違うとニコニコしてる目が開かれて怖い。無茶苦茶怖い。
「それでこそ私の娘よ」
「ちょ」
「安心して」
まるで聖母のような微笑みでパルムは言い放った。
「物理、性的にもカズヤを食べたから」
「言われてみればそうですね!!」
もはややけくそだった。
今度は俺、パルム、アグヴェルの3人は勇者をさがす旅が新しく始まった。
アグヴェルの受難は続く・・・
ん?俺が主人公だよな?主人公でいいn




