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アンはっぴーディファレントわーるど!?  作者: Mgl5566l
02勇者の知らない物語
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27-勇者対裏切り者-

 な、何が起きてるんだ!?

パルムが目を覚ましたと思ったら急に魔力が暴走(?)している。


「こ、これはいささかまずいかもね」

「どういうことです魔王様!?」

「説明は後だ。何が起きるかわからないからここを離れよう」


 ・・・ちょっと遺恨は残るが言うことを聞こう。

部屋から出る際パルムが涙を流していたのを見て俺の心は締め付けられた。


ゴゴゴ・・・


 魔王城は天辺から崩れ出し、残っていたのは蛇の体からコウモリの翼、赤い鳥の顔のキメラのようなモノが佇んでいた。


「ふぅ、こっちのパターンか。これならまだパルムは生きていられるかもしれない」


 異変と同時に魔物たちは指示を出し外に避難。後々聞いた話だと被害は最小限で抑えれたらしい。

しかし、これは一体どう言うことなんだ?


「さて、説明させてもらうよ。

えー、みんなにも聞いて欲しい。これは私の娘パルムの暴走状態と言っていい。

あの姿の原因は私たちの血を受け継いだからだがそれよりも厄介なのは」


 GYAaaaaaaa!!


 パルムの目の前の森はどんどんと石化をしていき崩れ、森が開けた。

それと同時に開けた先に人間の村が見つかってしまった。しかし、その事実に気づけたのはパルム本人だけだ。


「あのように石化の魔法が暴走している。さらにあの眷属すら石化を使ってくる」


 よく見るとパルムの周りには赤い鳥の顔に蛇の体(地上型)と赤い鳥の顔にコウモリの翼(上空型)の2種類が何十匹もうろついていた。

あー、こいつは視線を合わせずに戦うのは難しくなるな。なんて優秀なんだ。


「さて、あとはパルムを気絶させれれば万事解決。彼女はまた元の可愛い姿に戻るだろう。

そこで皆頼みがある」


ゴゴゴ・・・


「あのー、魔王様」

「少し黙っててくれ。これは僕の大切な儀式のようなものなんだ」


 魔王様、パルムが行動開始してるんですが・・・

気づいた皆は騒ぐと魔王様に怒られ消されるかもしれない、しかし黙ってられない状況であるのは確かだ。


「どうか、僕にみんなの力を貸してくれ!これは魔王としての頼みではなくパルムの父としての、君たちの友としての頼みなんだ!」


 あー、流石の巨体。結構動いてるよ。でも、パルムは一体どこを目指してるんだ?

えーっと、あっちの方は?何かあったけ?


「お願いだ力を貸し」

「あー、もう!魔王様、急いで!パルムがもう動いちゃってるよ!付いてくるやつは早く来い!」

『おおおおおお!』


 深々と頭を下げた魔王様。その脇をかすめるように武器を手に魔物のみんなはパルムに向かっていった。

魔物たちは魔王様の背中を叩くもの、肩を叩くもの、bといい笑顔をするものと人望は凄まじかった。

街に向かった魔物は避難や物資の調達など、魔王に協力しないものは1人もいなかった。


「目指すは姫さまの気絶!だが舐めてかかったら俺たちがやられる、殺す気で行くぞ!」

『応!』


 待っててくれよ。

パルム、俺の3年間を見ててくれよ!




「ふふふ、アメスト。いい仲間を持ったものね。

でも魔王様なのに先頭にいないのはどうなのかしら」

「大変だ!すぐに行かないと!」


 ショネークに引っ張られ抱きつく形になった。そして2人だけが耳元で囁きあった。


「死なないでくれ」

「あなたも。そして」

「ああ」


『パルムを殺させない!』






 パルムの移動は遅く俺たちが駆けつければ間に合うスピードだ。

だがそれでも距離は稼がれてしまった。


「殺せ!殺せ!人間を!勇者を!許すな!」


 ・・・近づくと眷属たちが叫んでいる。人間を殺せ?

となると・・・不味くね?


「カズヤ様!確認したところあそこには人間の村があります!」

「っち、そこが狙いか!」

「この速度だとどうやっても間に合いません!」


 パルムは石化を繰り返しながら森を進み続けそして止まった。

これはもしかして・・・


 パルムは村を通過してしまったようだ。

恐怖で顔を歪めるもの。子供を庇い抱き合っているもの、外で遊ぶ子供たち。

全てが石化し脆く崩れていた。おそらくだが救われたものは誰ひとりいないだろう。


「姫様・・・これ以上姫様に罪を着させるな!」

『おおおおおお!』


 そうだここで呆然としている場合じゃない。

早くパルムを元に戻さないと。


 だが一筋縄ではいかない。乱戦になり、眷属との戦闘で石化してしまう魔物は決して少なくない。


「ウル!上空に煙幕行くぞ!」

「はい、もつ時間はいつもの通りです!」


 煙幕弾に火を付け上空に投げる。

ウルは風魔法を利用し上空に煙幕を維持する。冒険中にたまに使った技だ。使いどころはあまりない。


「あら?石化で私に敵うとでも?」


 いつの間にか合流していたアメストさんとショネークさん。

アメストは赤い翼に炎で焼き尽くし、石化は全て自身を砕き復活を繰り返し対処。

ショネークに関しては石化は効かず石化させていっていた。


 よし、これで状況はこっちに傾いた。

パルムは引き続き動かず赤い涙が地面を燃やしていた。


「ウル!どれくらいもつ?」

「これなら地上の敵がなくなってからでも」


 地面を真っ赤な鮮血が塗っていく。

ん?眷属は基本石化。血なんて・・・おいおいマジかよ。


「さすが魔物にゴミ野郎だな。こんな魔獣を召喚するなんて」

「・・・勇者一行だと」


 勇者が剣を振り煙幕は全て晴れてしまった。ふざけんな、なんつうタイミングで現れやがる。


「あの村は・・・許さないよ、魔物ども」

「クソ!敵意むき出しかよ」


 勇者は聖剣で俺に斬りかかるが想定済みだ!

刃のないナイフで受け止め切った。


「おいおい、何だその剣。刃がないなんて舐めてるのか?」

「残念ながらあなた用の専用の剣ですよ。刃があったらそれごと切られてしまう」


 競り合いながら指輪を開け、毒を勇者めがけて吹いた。

基礎能力のない俺は搦手で行かせてもらうぞ勇者!


 勇者は急いで距離を取り毒から逃げた。ついでにこの毒は空気の酸素に反応してすぐに解毒されてしまうが粘膜に付着すると強力だ。

だから有効範囲はアホみたく狭い。


「毒物を使うなんて卑怯な!勇者らしく正々堂々と戦え!」

「私は勇者ではなく奴隷なんでね、落としたのは誰かわかりませんけどね」


 と同時に腹黒女が地属魔法を援護してきたがウルの魔法で相殺し腹黒の前に立った。

勇者の1人はショネークがもう1人はアグヴェルが前に立った。


「やっとあなたに恨みが晴らせると思うと気分が高揚しますね」

「ほざけ、賞金首を持って帰って夕飯が豪華になる俺の気持ちもわかってほしいね」

「「ぶっ殺す!」」


 二人が走る前に赤い姿が割り込んできた。

・・・アメストさん。


「魔王様!」

「カズヤくんは早くパルムを助けてくれ、彼は僕が担当するよ。

それとパルムを助けたら」


 ゴウッ!


 アメジスの首は跳ねられ転がりこちらを向いてきた。

・・・流石に聖剣の1撃は不味くね?


「僕のことはお父さんと呼んでくれ」


 あ、これ大丈夫だわ、この人ピンピンしてるな。

その後体は細切れ、頭から剣を刺されていた。


「これで魔王もおわ」

「じゃ、そういうことで」


 俺はさっさとパルムに向かっていった。

勇者は任せたよ、魔王・・・お父さん!


「行かせると、剣が」

「僕は魔王だしその聖剣は幸運だ」


 炎は剣を掴み体を復活させた。勇者は笑った顔から真面目な顔になり真正面からアメストを見た。


「さあ、不死鳥を殺してみなよ」

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