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アンはっぴーディファレントわーるど!?  作者: Mgl5566l
02勇者の知らない物語
22/41

-21 依頼報酬は?-

「それじゃ、これを耳につけて。話せるようになるから」

「ありがとう」


 穴を空けるタイプでないピアスをつけて早速街に入った。

街の大広間には既に断頭台が用意され、騎士団も見張りをしていた。


街はピリピリモードだがどこか浮かれているような嬉しそうなそんな空気だ。


 さーて、どうやって見つけるかな。

って、ビラが落ちてる。ご丁寧に住所まで。


 向かっている最中に連絡があり、人間の通ることのできる道まで探してくれた。

仕事はやいっすね。もう感服です。


「で、どこにいるんだ?」


 野次馬だらけで入れず、中には石を投げるものまでいた。

はぁ、人間って怖いね。


 白猫は野次馬の外におり、俺を見ると林に入っていった。

本当にこの猫さん優秀だな・・・


「さて、どこかな」

「こっちだよ。あの人たちはいないみたい」


 室内は見えず人影も見つからない。


「これで顔を隠して」

「ありがとう」

「それじゃ、見つけたらまた連絡ね」


 黒い布で顔を隠した俺は散策を始めた。

さて、どこにいるのかな。救出までできれば万々歳だな。


「・・・さい、・・さま」

「ん?こっちか?」

「私は・・・私は・・・」


 部屋には短髪で小柄な女の子が本を持って泣いていた。

まずは1人だな。できればこれ以上の姉妹とか勘弁願いたいところだ。


『女の子、発見』

『わかったわ。あと2人ね』


 さーて、ここで出て行くべきかどうか。

・・・行くか。俺は後悔したくないんでね。


 コンコン


「失礼させてもらうよ」

「だ、誰!?」

「とある人から依頼をもらってね。君たちを助けに来た」

「ふざけないでください。

姉の失態は私たち家族の失態。私たちは命を持って償うことを決めています」


 おやー、まためんどいぞこれ。そうなると先に家族を探すのが先決だったか?


『父親は見つけたわ。既に首をくくっていたから、次に当たるわね』

『了解』

「誰と話しているのです」

「気にしないでください。

償うというなら生きて償ってみては」

「それでは償いになりません」


 その時、ドン!と大きな音が響いた。

っち、もう少し待って欲しかった。


『時間ね。逃げるわよ』

『わかった。

ごめんね、ちょっと手荒くなるけど」

「な、なにをするのですやめなさい!」


 布袋を顔に被せて窓を開けて2階から飛び降りた。

飛んでから下に花壇があって助かったなんて思った。

飛んだのに骨折るとか間抜けすぎるだろ。


「むー」

「ほら暴れない」

「どうやらこの子だけみたいね」

「みたいだね、残念だけど引き上げよう」

「むー!」


 帝国から離れて話せるようにした。

あー、やかましくなるぞ。


「私はお姉様から家族を任されたのです!

どうして邪魔をするのですか」

「金のためよ」

「な。そ、そんなことのために邪魔をしたのですか!!」

「今更戻っても間に合うとは思わないけど」

「そ、それは・・・」


 街の方はまた騒がしくなった。

始まったのか?


「・・・せめて。せめて最後に母を看取らせてください」

「それくらいなら構わないわ。

急ぎましょう」


 断頭台周りには石が転がり色々な箇所から血を流している女性の姿があった。


「罪状は貴様の血縁が魔族との繋がりを持っていたこと。

これは極刑に当たる。それでは断頭の刑を始める」

「あ、ああ・・・お母様」


 女性はなにも言えずにギロチンは落とされた。

何かを砕くような音がして女性はこの世から去った。

だが、その瞬間恨めしいよう娘に睨みつけてきていた。


「・・・」

「看取ったわね、さあ行くわよ」

「・・・そうですね。時間をおけば置くほど身に危険が及びますから」


 帰りは彼女は5人目の鷹のカゴに。

2人は狼に乗って魔王城に帰った。


「・・・お父様は」

「部屋で首をつっていたわ」

「そうですか・・・」


 白猫と解散して早々俺はいきなり首を掴まれた。そんなに力はないけど目が怖かった。


「あなたたちが・・・

あなたたちがぁ!!!」

「・・・そうだな。今回の事件は俺になんの関係も無いなんて言えば嘘になる」

「!?」


 パチン!といい音がしてビンタされた。

痛いけどこれくらいなら受けてやろう。


「最低です」

「そうだな。でも俺は間違ったなんて思ってない」


 それから何回もビンタをされ、口の中には鉄の味が広がった。

こ、これくらいなら我慢してやろう。俺は大人だからな。(涙目)


「はぁ・・・はぁ・・・」

「き、気が済んだか?

それじゃ、姉と勇者どっちに会いたい?」

「・・・お姉さま」

「わかった」


 牢屋まで彼女を連れて行き姉との面会の時間を与えた。

ちゃんと監視役として俺がついている。


「お、お姉ちゃん。みんなが、みんなが」

「・・・」

「こいつらのせいで・・・

こいつらが殺したの。お母様もお父様も」

「・・・はぁ」

「お姉ちゃん?」


 姉はため息をついて鉄柵に近づいて妹の頬を殴った。

・・・は?


「私はあなたになんて言いつけましたか?」

「お、お姉ちゃん」

「家族を守れと言いましたよね?

なぜそんな簡単なことができないのかしら」


 ・・・今その言葉?少しくらい空気読もうよ。

こいつなんで言葉選べないの?


「ご、ごめんなさい」

「あなたはもう家族じゃないわ。

消えなさい。私の家族は全員死んだわ」

「そ、そんなおねえ」


 近づいた妹をもう一度殴りつけた。

今度は鼻からいった。そして、首を掴み殴りかかろうとした。


「やりすぎだ」

「汚い手で触らないでくださる?」

「これ以上は見過ごせないのでね」

「人間以下の動物にそんな感情があったなんて驚きね」


 俺は妹ちゃんの肩を持って壁によりかけた。

あー、可愛い顔が・・・とりあえず回復魔法と血を吹いてあげないと


「なんであんなことをした」

「人間には生きている限り役割があるの。

それは役割すら全うできなかった動物。

息をして寝て、食べるだけの動物よ」

「なら、役割がお前にあると?」

「当たり前じゃない。

勇者と共に魔族を滅ぼし、世界を救う。それが私の役割よ」


 うん、こいつも相容れないパターンだね。

生き方なんて人それぞれだし。


「早くそこの犬を連れて帰ってくださらないかしら」

「わた・・・わた・・・し・・」

「はぁ、悪夢でも見てて欲しいもんだね」

「残念、私夢見ないのよ」


 心が壊れてしまった妹ちゃんを連れて俺は部屋に戻った。


「ただいま」

「おかえり、その子は?」

「・・・友達だよ」


 はぁ、可哀想なんて思ってる時点でこの子を下に見てる俺が嫌だ。

あぁ、なんかもマイナス思考だ。


「ご飯たべる?」

「もらう。腹減ってさ」

「その子は?」

「食べるかい?」

「・・・」


 なにも話さなくなってしまった。

あー、パルムの時思い出すな。


「どうしたの?」

「いや、パルムも初め会った時こんな感じだったなって」

「・・・なら安心」

「え?」


 パルムは俺を見てから妹ちゃんを撫でた。


「カズヤがいる。あなたがこの子を救ってあげて」

「俺はそこまでできる人間じゃない」

「できる。だって・・・私が救われたもん」


 ・・・え?この子は俺に託されてるの?


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