02-長い1日-
「では軽食をとったところでスキルの開放をさせてもらう」
ん?難聴かな?今軽食とか言ったか?
それよりスキル開放?
騎士に連れられて大きめの部屋に着き宝石を渡された。
「そこの魔法陣に宝石を持って入ってくれ」
・・・三人から視線を感じる。
年功序列なんて大っきらいだ!
「で、では俺から」
「ふむ、少々痛みが走るがそこは我慢だ」
「へ?ぐごおおおおお!?」
全身が軋む!?
筋肉痛とつった感じが全身にくる感じいでででで!!
カズヤ
Attack:0
Defense:0
Speed:1
Magic:1
スキル
【充電魔法】
アイテム
【異世界端末】
「どれ、スキルは・・・
ぐはは、出ているようだがこれは酷いな!!
生まれたての赤子の方がマシなステータスだぞ」
いてて、痛い思いしてまで酷い言われようだ。
でもこれで多少ましになっただろう。
「では次に僕が」
それから痛みに耐えながら三人ともスキルの開放とやらが終わった。
ショウヘイ
Attack:26
Defense:15
Speed:16
Magic:3
スキル
【聖剣化】
アイテム
ナツミ
Attack:12
Defense:12
Speed:26
Magic:5
スキル
【聖器化】
アイテム
アヤカ
Attack:4
Defense:20
Speed:5
Magic:26
スキル
【聖魔法化】
アイテム
はいつよーい。
もはや俺なんてゴミカスやん。
つっら・・・
「カズヤ先輩はアイテムを持っていますが僕たちは持っていません。
何か差が?」
「カズヤのスキル、アイテムは見たことがないため分からないが、‘聖,とつくスキルは持ったアイテム、使う道具、魔法に聖属性が付き威力のかさ増しができるようだ」
「なるほど。カズヤ先輩今使えますか?」
「いや、使い方すらわからん。色々と試してみるがなんとも」
「ふん、みたところ全然使えないじゃないか命を託すには値しないな」
髪結んでるからアヤカ・・・さんか?
確かに命かかってるからしかないけどもうちょい言い方ってのがないものか。
「確かにステータスはあれだが訓練次第で伸びる人もいるぞ」
「そ、そうですよ。頑張りましょうカズヤ先輩」
「そういうものか?使えないアイテム、よくわからない魔法。少なくとも彼とパーティーを組みたいとは思わない」
ぐう正すぎて何もいいかえせねぇ。
場違い感半端ないのは知ってるがなかなか堪えるものがあるな。
「これから騎士団の訓練がある。参加してくれ。
それから彼を評価するのでも遅くはないだろう」
「・・・分かりました。しかし私は前言撤回なんてしないです」
コンコン。
微妙な空気の中ノックの音が響き顔に傷のある男が入ってきた
「待たせたな国王。そいつらが勇者ってやつか?」
「その通りだ。彼はダンロン、腕利きの冒険者で君たちの教官になる男だ」
「・・・一つ質問いいですか?」
流石に1日でここまでの待遇ってのはおかしいと思うんだ俺。
「ダンロンに対する質問はダンロンに直接。
私に対する質問は夕飯時にしてもらおう」
そう言って国王は部屋を出て行ってしまった。
「あいつもあいつで忙しいからな。
で、どっちにだ?」
「国王の方にでしたね」
「ならいいか。場所はわかってから行くぞ。
お前らをちゃんと鍛えねぇと金が貰えねぇんだ」
世知辛いね。彼も仕事に一生懸命なんだろう。
持たされたのは木刀。
インドア派の私は吐き気と酸欠でひどい有様だった。
「おいおい、へばんの早すぎんだろ?
女共だってまだ余裕見してんぞ」
「ぜぇ・・・はぁ・・・体力の無さがこんなところでっ、目立つとは」
女子からの軽蔑の目。
苦笑いの後輩。情けないね。
「ま、てめぇに合わせてたら100年あっても足りねぇ。
復帰したらこっちに来い」
あー、つれぇ。
まだ開始30分も経ってないけど吐きそう。
気持ち悪・・・
「これどうぞ」
「あ、ありがとうございます」
メイドさんに渡されたのは冷たい水だった。
気持ち悪い感じが少しは薄れたかな。
「私はカズヤさんの付きメイドのドリーと言います」
「こんなんですがよろしくお願いします」
ドリーさんは赤い髪の美人さんだった。
この世界で初めて美人さんと出会った気がする。
「おい、カズヤ!女に媚売ってる暇あんなら来いや!」
女子勢の好感度が目に見えて下がりながら俺は訓練に参加した。
日が暮れてくる頃に終わったが4人全員ダウン。3人は休憩時間少なくすごいと思ってしまった。
・・・俺氏、途中で口からレインボー。
地獄のような時間が終わりメイドさんに部屋に案内された。
あったのはベットと机、椅子だけの素朴な部屋だ。
マジで疲れた。
明日になったら筋肉痛確定なんだが。
「どうぞ、ステータスの確認できます」
「ありがとうございます」
カズヤ
Attack:0 +0
Defense:0 +0
Speed:1 +0
Magic:1 +0
スキル
【充電魔法】
アイテム
【異世界端末】
心折れそう。プラスの値が0っておま。
俺に厳しすぎんだろ。
「夕飯になりますから食堂の方に」
「了解です」
食堂に入ると3人は集まっており俺が入ると空気が変わってしまった。
滑り出しは最悪か・・・
「それで能力値の上がり幅はどんなものなの?」
「え、っとそれだな」
「全ての能力値はプラス0。スキルも覚えてません」
俺の代わりにドリーさんが答えてしまった。
って、俺の立場が危うくなるってレベルじゃないんだが。
「ふふふ、そうかやはり。
君は私たちのパーティにふさわしくないし、命を預けるなんてもってのほかだ」
「ぷぷぷ、全部0って」
「あ、あんまり言ったらダメだって」
今ではそのフォローすら痛々しい。
ま、見放されて1人で強くなるってのもラノベとかでも定番だし。
「待たせたな。では食事としよう」
あいも変わらず肉類しかないね。
野菜とかも食べたくなってきた。
「それで私に質問と言っていたが」
「あー、それなんですが。俺たちが来てから準備が早すぎるなー。なんて」
ドタバタした一日だったけど俺たちはこっちに来て1日目。
準備が良すぎる気がしたんだよな。
「そのことか。召喚の準備は2週間ほど前。文献では3人だったが4人だったのでな。不備はないかね?」
「あ、俺は大丈夫です」
「国王様・・・」
執事の人が耳打ちすると「あー、すっかり忘れていた」と呟いた。
「君たちに飲んでもらった気付け薬だがあれは翻訳薬と言ってな。
言語がわかるようになるんだが1日しか持たない。
そこで君たちには言語を空いてる時間で覚えて欲しい」
あれってそんな効果あったの!?
ただの王様が楽しむだけにあると思ってた。
「遅れて申し訳ありません」
「ふむ、ご苦労だった。たくさん食べるといい」
うわぁ・・・俺らの倍は食べてる。
さすが姫さんだ。絶対入んないわ。
数分すると胃もたれ不可避の食事も終わり、自室へ帰るように促された。
しかーし、そこは俺クオリテイ、メイドさんが見つからず意地張って自力で帰るなんて言っちゃったせいで絶賛迷子中だぜ。
「・・・ですね」
「おやこの声は・・・」
見事メイドさん発見なんだが先生もといダンロンさんと話していた。
それはもう楽しそうに。
「あーはん。なるほど・・・」
これは俺の私生活も気を付けないと面倒なことになりそうだな。
「っと、勇者が来たようだぞ」
「あ、そうですね、ではこれ」
「いやいや、俺迷子になっただけなんですよ。
ここで頼ったら負けな気もするけど部屋の場所だけ教えて下さい」
つい言い訳っぽくなってしまった。
だってすごく悲しそうな顔してんだもん。
「ですか」
「じゃないと次の日だって俺一人で迷子になるかもですよ。
あと、本置いてるとこ教えてください」
「・・・部屋はこちらの方です。
本は既にお部屋にございます」
「おk。助かるよ。
では先生また明日ー」
「その先生って呼び方やめろ。むず痒いんだよ」
さっさとこの場を去って無事俺の部屋までたどり着くことができた。
はぁ、リア充ばっかで悲しくなるね。俺もエロゲ展開してみたいね。
「で、こいつが本か」
開くと絵本のようでなかなか楽しそうな内容だった。
「うっし、勉強すっか」
とりあえずロウソクの火が消えるまで頑張るか。
つっても暇だしBGMかけるか。
俺は携帯を取り出してマイリスから音楽を流した。
♪ー♪ー
「って使えんのこれ!?」
アイテムの異世界端末ってこれのことか。
充電魔法ってのが予想が付いたけどどうやるんだ?
「とりあえずこの充電口に指を。
お?おふ・・・」
初めはぴりっとそして徐々に血の気が引いてく感じ。
なんか怖・・・
「眠くもなった気がするから読んでからにしよう」
絵本の内容はさっぱりわからないけど、とりあえず書き込みと似てる字を画数順に並べてみるか。
なんてことをしているとロウソクがなくなりそうになっていた。
コンコン・・・
「どぞー」
「起きていますか勇者様」
「・・・あ、はい。どうも姫さん」
凸って来たのは横綱・・・じゃなくて姫さんだった。
携帯はちゃんとポケットの中である。
「勇者様の中で年長者ということでお話を伺いたく・・・
ここがあなたのお部屋ですか?」
「まあ、俺の部屋のはずですね」
「・・・何かお困りのことは?」
お困りか・・・あー、まあ頼んでみるか。
ものは試しだ。
「頼みごとってかお願いがいくつか」
「・・・私でよければ伺います」
綺麗な声、気立てもおk。
なのに世界は残酷だよね。猫かぶってそうだけど。
「ロウソクと文字で少々」
「・・・それだけですか」
「えーと、断って貰うならそれでも」
「あ、いえ。今すぐ用意しますね」
なんか変なこと言ったか?
ドシンドシンとわかりやすい足音が奥に行ってから近づいてきた。
「これでよろしいですか」
「早いですね。助かります。
では文字の方もお願いします。
あ、帰りたくなったらやめましょう、夜ですし」
おすし。
姫さんは親切心からかなのか近くに来たが正直臭い。
汗臭さを香水で紛らわしてるようだが、きっつい。
「な、なるほど。
ではここだと光の勇者があ、あき。悪か。悪の龍をたおした?」
「そうなりますね。
発音は」
そんなこんな教えてもらうとあくびを噛み締める姫さん。
結構な時間だな。たぶん。
「今日はお開きにしましょう。
明日またお願いできます?」
「はい・・・ではおやすみなさい」
「はいおやすみー」
バタン・・・
うん、思ったんだ。ただしイケメンに限る。
なんて男子視点でも同じこと言えんだな。
すごくいい友達になれそうだな。まぁ、姫さんはもう婚約者とかいそうだけどね。
「はぁー・・・ねっむ。
窓開けて寝るか」
ベットかてぇ。・・・思ったんだが人間の順応性の高さって異常だよな。
携帯も・・・あ、そうだ携帯!!
携帯に指を置くとすぐに血の気が引いた。
でも充電中になったな。もう少し力んで。
「お?」
指先が黄色くなり全身が動かなくなるような感覚が襲ってくる。
「・・・zzz」
こうして俺の異世界一日目は終了した。
投稿は2~3日に一回。
誤字脱字があれば報告していただけると嬉しいです。




