17-お金の行くところ-
「君にちょっと話を聞いてみたくてね」
「話?」
「そう、主に君以外の勇者の話」
俺以外の?
何かあったんだろうか。
「僕以外の魔王のところが勇者に侵略されたそうだ」
「!?それって」
「そう、しかもここの近くでね。
こっちにいつ訪れても不思議じゃない」
魔王は複数人いるんだな。
そこにも驚いたけどここまで攻められたら俺の居場所がだな。
「俺、居場所。なくなる、許せない」
「へぇ、俺なんて言うんだ。
これからはそうしてくれると僕も助かるな」
「え?え?」
俺の不安材料を増やさないでくれ。
すんごく困る。
「勇者、3人。
1人、男。話、できる、かも。
2人、女。1人、話、通じない。
1人、話、できる、かも」
「3人か、襲撃は4人らしいんだが」
「1人、わからない。ごめん」
「いやいいんだ。僕の方も対策取らないと」
勇者対策か。
能力はわからないけど魔王を倒すレベルか・・・
「俺、知識、だけ出せる。
俺、唯一、出せる」
「知識?」
「・・・秘密、お願い」
もう引き下がれないな。この人たちを信じてみよう。
・・・それで今まで痛い目見てきてるんだけどね。
「俺、違う、世界、知識、持ってる」
「君も召喚者なんだろう、なら持ってるのは」
「違う、調べれる。正確に、教える、作る」
そう、iPh○neならね。おれアンドの方だけど。
「なるほどね。
うちで使ってもいいのかい?」
「構わない。でも、強い力、怖い。
ぬるま湯、気持ちいい」
「一回堕落したら戻れないってことかな?
じゃあ、渡す情報は君が選んでくれ」
「わ、わかった」
無駄に責任感がある仕事が出来てしまった。
これは困った。
「では早速だが敵から身を守るすべを知らないか。
できるだけ血を流さない方向で」
「血、流さない。
・・・戦う、以外」
「戦わないだって?」
「勇者、危険、襲う。
危険、違う、襲わない」
あくまで理想論でしかないけどね。
でも一応の線は貼っておこう。
「でも、理想。
失敗、対策、考える」
「武力なら任せてくれ。
魔族は力が強いものが多いからね」
いくら強くても1国は潰されてる。
これは陰ながらのサポートとかも考えないとな。
「君には勇者たちの歓迎をお願いするよ」
「わかった。材料、お願い」
そこで話は終わり、俺は部屋に帰ろうとした。
さーて、勇者が勇者対策アイテム作りますか。
「おい、人間。止まれ」
執事さんは立ち止まり体の大きな鬼との道を作ってくれた。
い、威圧感がパないんだけど。
「弱い人間がなぜ魔王様との会話を許された」
「姫様、お礼、言ってた」
「ふん、一体どんな魔法を使ったのかわかったもんじゃない。
貴様のような人間が魔王様に感謝だと?笑わせる」
ちょ、大剣を突きつけないで。
こ、殺される。
「貴様、俺と決闘だ」
「い、嫌だ。
私、力、ない。
あなた、戦う、数秒、持たない」
それを言うと大鬼---オーガは嬉しようにほころばせた。
あれ、こいつ案外ちょろい?
「何してる」
「ひ、姫様!?」
「その人をいじめないで」
おやー、助け舟かと思ったけど違うっぽい。
いじめられてないから、俺は平気だからその黒いのしまってくれ。
「私、会話、楽しい。
強い人、会話、貴重」
「カズヤがそう言うなら」
「で、でも姫様。
その人間は力もなく簡単に死んでしまいます」
「私、力、ない。でも、あなた、できない、できる」
「なんだと!?」
さて、やりますか。この人には残念だが俺の得意分野でやらせてもらおう。
「料理。
これ、勝負、受ける」
「ほぅ、料理で勝負をしたいと。
いいだろう」
あるぇ?なんでこの人こんなに自信満々なんだ?
「この人、ここに来るまで食堂で働いてた」
「がはは、まさか俺に料理で挑むなんてな。
ほら、行くぞ人間」
食堂につき審査員として、魔王様、その奥さん、パルムの3人なった。
公平を期すためどちらが作ったかをわからないように料理を出すことになった。
ルールとしては食堂にあるものだけで調理。票の多い方が勝つという簡単なものだ。
大男は肉を中心に繊細な動きで調理を続けた。
畜生、人は見かけに寄らねぇ。
一方俺は簡単な食材でメレンゲを作り、完成したのはシフォンケーキだ。
生クリームはないが果物を添えて、紅茶も備え付けてみた。
「こ、これは」
「不思議な食感ね」
「た、食べやすい」
よかった、シフォンケーキは好評のようだ。
パルムに関してはいつもより食べてくれた。
おや?これはこれでいい傾向なんじゃないか?
「では集計です」
2対1で俺の勝だった。
正直ヒヤヒヤした。でもスイーツ系を選択してよかった。
「っち」
「凄く美味しかったです」
「ご飯の代わりに食べたい」
これメレンゲのせいで腕の乳酸が辛くなっていくんだよな。
ま、求められたら作るんですが。
「私、勝てた。でも、力、絶対、負ける。
力、貸して、欲しい」
「なにをすればいい」
「頼った、時、助けて。私、あなた、助ける」
「・・・わかった」
大男と握手を交わした。
認められたのは嬉しいが折れる、砕ける。でも心が満たされた。
部屋に戻ると早速抱きつかれた。
頭を撫でてお互いに癒された。
「かっこよかった」
「ありがとう」
「・・・お腹減ってないから夕食の時間もいらない」
その日は2人の時間に費やした。
この子はメデューサの娘じゃなくてサキュバスの子じゃないかって勘違いしちゃったね。
さて、やることは多い。
まずは街の人たちの事から始めよう。
「アグヴェイ、護衛をお願い」
「・・・私も暇ではないが仕方ない」
オーガ---アグヴェイに護衛をお願いし、街に趣いた。
街の探索もしてみたかったしちょうどいい。
「うーむ」
「どうした?」
「街、活気、少ない。
みんな、元気、ない」
みんな目が死んで生きるために必死だった。
「魔王様に不備があると?」
「違う。安心、してる。
なら、いい街、目指す」
とりあえずは食べ物屋だな。
いろんなこと知ってそうだし。
「あー、騎士様。どうぞ、お店の物を買っていってください」
「・・・アグヴェイ。商品、高い?」
「あー、かなり高価になっている」
「奥さん、食べ物、高い。
どうして?」
「どうして?」
おや、地雷を踏み抜いたか?一気に雰囲気が変わった。
「あんたたち王族が税収を取るからでしょう!
どうして必死に生きようとしてのに邪魔するのよ!
出て行って!今すぐここから出て行ってよ!」
すごい剣幕で怒鳴られた。
しかし、どういうことだ?金が動いてるからこんなに寂しい街になったのか?
「アグヴェイ、わかる?」
「いや、俺にもわからん。頭を使うことは苦手でな」
「続行。貧民街、向かう」
「危ないぞ」
「だから、お願いね」
「はぁ、頼まれた」
貧民街に行くと心なしか人数が増えた気がする。
そして、異質な目で俺らを見た。
「話、いい?」
「なんだ人間、話が聞きたいなら対価を払え」
対価って言われても俺一文無しなんだよな。
なら、こうしてみるか。
「話、聞ければ、街、よくできる」
「で、それが俺のどう特になるってんだ」
「街、金、回る。君たち、金、入る」
税収で金入れてるのに金回ってないってのがおかしなところだよな。
そこをきちんとすればいいんだよな。
「その話は本当か」
「おい!こいつらは俺の客だ!手出すんじゃねぇ!」
「話す気がないやつは引っ込んでろ」
「別に話さねぇとは言ってねぇ!」
「け、喧嘩、やめて」
俺としては話が聞ければどっちでもいいんだよな。
アグヴェイが仲裁に入り2人ともおとなしくなった。
どうやら、貴族達が金を多く徴収しているようだ。
でも、貴族だって金を使ってるんだよな?
「なるほど。ありがとう、ございます」
「どうするんだ」
「帰る、金、流れ、調べる」
「それは手伝えそうにないな」
「任せて、俺、仕事」
城に帰って魔王様に言うと勇者対策でてんてこ舞いだった。
見れるならやってくれだそうだ。
「手伝う」
代わりにパルムが手伝ってくれるみたいだ。
これは助かる。
「お金、数え方、教えて」
「ん」
お金の数え方教えてもらい、書類でお金の動きを見てみると大金を持ってる貴族がみんな引越しをしている。
・・・あれ?一気に金が消えるよなこれ。あー、だからか。
「パルム、ショネークさんに、聞きたいこと、できた」
お願いしてショネークさんに聞いてみるとお金の増加をしてないようだ。
よくこの街の人生活できてるよな、感心するわ。
「ご飯」
「わかった。いつもの?」
「ん」
「私にもお願いします」
シフォンケーキを作り、俺はサンドイッチにした。
気づいたんだがマヨネーズが作れたんだ。
「1口」
「ん?あーん」
「あむ・・・美味しい。貰っていい?」
「どうぞ」
「私にもくださらない」
結局シフォンケーキは私が処理しました。
今度は味を変えようかな。
今日も一緒に添い寝をして1日を終わらせた。
休んでるのに休めないとはこれ如何に。
朝にサンドイッチを作り魔王のところに向かった。
さて、これからどうしようかね。
「お金、動き、わかった」
「本当かい!?解決策は」
「案、いくつか」
投稿は2~3日に一回。
誤字脱字があれば報告していただけると嬉しいです。