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アンはっぴーディファレントわーるど!?  作者: Mgl5566l
02勇者の知らない物語
16/41

16-賭け事の代償-

「あ、おはよう」

「おはよう」


 なんで私は朝から抱き枕にされているのだろう?

てか、なんでベットで寝てるんだ?


「動く?」

「あー、そういえば動く」

「なら目を合わせて」


 どうして俺に直死を打ってこようとしてるんだこの幼女は?

あれは本当に死んじゃうやつなんだからな。


「ほら、目を開けて」

「いや、死ぬ」

「大丈夫、手足痺れるだけ」

「危険、死ぬ」


 この子は俺のこと好きなんだと勘違いしたのか?

実は殺意に満ち溢れてるとか?


「私、憎い?」

「まさか、大好き。殺したいほどに愛してるの」

「・・・」


 好意は嬉しいけどなんか違う。

常に殺意にまみれてる愛ってなんか違う。


 コンコン


「朝食です」

「んー」

「来た。やめて、ご飯」


 だからキスしようとしないで。流石に恥ずかしいから。


「あとにしますか?」

「ん」

「かしこまりました」

「まらないで!ご飯、欲しい、ごはーん!」


 ずっと首にちゅちゅとキスされた。そのおかげか姫さんはいつもより少し多めに食べた。

喜んでいいものか。


「ゲーム、する?」

「・・・したい。

教えて」


 とりあえず山を4つに分けて大富豪を始めた。

初めは勝っていたが五分五分になっていった。


「私の勝ち。

今日もベットで一緒」

「ちくせう」


 賭けを持ち出され了承した途端に強くなられた。

この姫さんジョーカー2枚って無理だろ。カットは俺がしてるはずなのに。

いつまでも姫さんじゃあれだよな。


「名前、まだ」

「!?・・・そうだった。

いつも入れ替わるから気にしてなかった」


 告白までされたのにお互いの名前すら知らなかった。

俺に支障はないんだけどね。


「俺、カズヤ」

「私はパルム。将来もお願いしますカズヤ」

「将来、わからない。でも、お願い、姫さん」


 急に姫さんは不機嫌になってしまった。

でも姫さん相手に名前って斬首されても文句言えないんだが。


「賭け変更。名前呼び、敬語もダメ」

「え、でも」

「パルム」

「だから」

「パールームー」

「わかった、パルム。お願い」


 満足そうにしたり、落ち込んだり実は元気っ子なんじゃないかと疑ってしまうよ。


 コンコン


「失礼します。

奥様がお見えになっています」

「いれて」

「かしこまりました」


 奥様?パルムのお母さんってことかな?

あれ、ここで粗相でもしたら死ぬかもじゃね?


「お元気ですか?パルム」

「すごく元気」

「あら?彼のおかげかしら」


 なんというかむっちゃ美人さん!

この子も大きくなればこれくらい美人になるかもだな。


「お母さん、カズヤをたぶらかしちゃダメ」

「・・・ふーん、なるほどね。

でもこの人は奴隷なのよ」

「私の旦那さん。奴隷はなくせばいい」

「へー、なくしていいの?」


 なくしてもらえるなら是非なくして欲しいとこだけど。

それはそれで俺の居場所なくなりそうだけど。


「彼のどこが好きなの?」

「優しい、いい匂い、全部、一目惚れ」

「!?」

「ほら彼を見てみて、お顔が真っ赤よ。

可愛いわね」

「ね、こういうとこも好きなの」


 やめろ、親に黒歴史を見られた時並に恥ずかしい。

誰得だよ、惚れてるとこ話すとか何なんだよ、てか一目惚れかよ。


「ふふふ、ならこれをあなたにあげるわ」

「!?こ、これは」

「彼の契約書よ。

あなたの目隠しが取れた記念よ」

「ありがとうお母様」


 お、俺の契約主がコロコロと変わっていく。

てか、この子に俺の主はまずい。色々とまずい。


「これでこの奴隷はあなたのものよ」

「お母さんこの人はもう家族」

「あらら、そうだったわね。

末永く、カズヤさん」

「こ、こちら、おねがい、します」


 ここでまさか日本人が大活躍するとは。

綺麗な礼をしたら驚かれた。


「アメストには私から言っておくわ。

それと、孫は早く見たいわ」

「わかった」

「わかった!?」

「楽しみにしてるわね」


 思ったんだけどあの人絶対俺で遊んでるよな。


「カズヤ、早速命令。

今夜は一緒に寝る」

「・・・はい」


 賭け事なんてなかった、いいね?






 さて、いちゃいちゃタイムは終了だ。

早速作らせてもらうか。


 頼んで道具は用意させてもらった。香りもいい花も適当に調達。


「なにをするの?」

「髪、よくする、もの」

「・・・やっぱり気になってたんだ」


 ショックを受けてるとこ悪いがこちらはさっさと作らせてもらおう。

窓開けないと匂いが篭ってしまう。


「シクシク・・・ちら」

「窓、空ける」

「ちら・・・ちら」


 はぁ、仕事終わったら機嫌もよくなるだろう。

めっちゃ見られてるけど。


「これくらいは許して」

「火、使う。その時、離れて」

「くんかくんか」


 聞いているのか不安だが大丈夫だろう。

これも俺のためって考えるとやるせないね。


 火を使うときはきっちり離れて邪魔しないでくれたおかげでスムーズに事が運び時間を余らせてシャンプーが完成した。


「今日、言うこと、聞く」

「お風呂一緒にはいる」


 即答だった。ま、男に二言はない。


「わかった」

「早速湯浴みの準備」


 コンコン


「ご夕飯です」

「カズヤ、ここ」


 お、男に二言なんてないし。

その後、夕飯は全部パルムがお世話され、湯浴みの時間になった。


「そんなに見ないで。恥ずかしい」

「・・・びっくり」


 アバラガッツリやん。

もうちょっと筋肉つけないと本当に怖いな。


「洗う」

「ん。お願い」


 やっぱりというべきか。彼女の長い髪は全然泡立たず、3回目くらいでやっと泡立った。


「これ気持ちいい」

「痒み、取れる。あと、これもする」


 薄めたお酢を使ってのリンスだ。

これで艶もバッチリだろう。


「臭い」

「我慢」

「あなたも入る」

「・・・はい」


 狭い風呂桶に2人はやはり厳しかった。

というよりもうちのサムが元気になりそうだったのが危なかった。


「流す」


 濡れた髪の毛をタオルで丁寧に拭き、風魔法で乾かしてからベットに入った。

なぜかパルムはネグリジェだったが気にしない方向で。


「あむ」

「痛い」


 甘噛みされ吸われ舐められて感想が「美味しい」ときた。

そして可愛く見えてきた、俺は病気かもしれない。


 次の日の朝、まずは櫛で髪の毛を解くところから始まる。


「気持ちいい」

「よかった」


 どちらも髪質にあったのかすごくサラサラで撫でてて気持ちいい。


「撫でるの、好き」

「私も撫でられるの好き」


 なんていちゃいちゃしていたら朝食が運ばれた。

なんだろう、楽しくなってきた。


「お母様に呼ばれてる」


 パルムがいなくなってから俺も呼び出された。

広間につき目の前にいるのは‘魔王’なんて呼ばれてる大物だ。


「来たか。

他のものは下がれ」

「ですが」

「安心しろ。いざとなれば俺の手で殺す」


 こ、殺されてしまう。

魔王さんは赤い椅子に偉そうに座っていた。


「さて、話をしようか。

お前には感謝している。対価としてなにを欲する」

「え、えっと。なにも」

「何もかもが欲しいと」


 違います。そうじゃないです。

畜生、もっと言葉学んどけばよかった。


「今、生活、満足。

私、いらない」

「ほう、娘がいれば満足ということか」

「ち、ちがう」

「娘がいらんというのか!?」


 な、なぜ伝わんないんだ。

この人絶対親バカだよ。


「ど、どうすれば、伝わり、ますか?」

「貴様が伝えようとしないからだ!」


 お、俺がわるいのか!?

俺は一体どうすれば・・・


「アメスト、彼を困らせないで」

「「ごふ」」


 魔王さんは横から魔法が。

俺はパルムが勢いよく突っ込んできてダメージを負った。


「だ、だがショネーク」

「言い訳はダメ。

それに家族の前ではちゃんと話して」

「わ、わかったよ」


 おや、魔王様の様子が?

かしこまっちゃって威厳が一気になくなった。


「ぼ、僕だって娘が心配で」

「大丈夫よ、彼のおかげでパルムだってこんなに元気になったんだから」

「でもだよ」

「まずは彼の話から聞いてみましょう」


 お、やっとまとも話せる。


「私、今、満足。すごく、助かってる」

「よかったじゃない」


 よかったすごくホッとした。

俺の言葉がちゃんと通じてくれた。


「カズヤのこれまでの話、聞きたい」

「あ、私も気になります」

「ぼ、僕は仕事が」

「アメスト」

「はい、気になります」


 俺の話?語って面白いことなんて1つもないぞ。


「私、片言。話、面白く、ない」

「いいの、聞かせて」

「わかり、ました」


 俺はこの世界に来てからのことを話した。途中愚痴とかも交えて全部話すと空気が沈んだ。

これ、笑い話の分類のはずだよな。


「私もなかなかの人生を送ってきたけど流石に」

「やっぱり人間は信用ならないよ」

「人間、悪い、人。ばっかり、ぢがう」

「ぺろっ」


 ちょ、顔舐めないで。どこの犬だよ。


「泣いてた」

「え?あ、泣いてる?」

「誰かに聞いて欲しかったのね」


 あれー?俺ここまで豆腐メンタルだったけか?

って、意識したら涙出てきた。


 俺はパルムに頭を抱えられなが泣いた。


『きつかった、辛かった!

誰にも理解されずに、目の前で大切な人が死んでいくんだ!

無力だから、俺が無力だったから・・・』

「よしよし・・・

私でよければいくらでも泣いて」


 子供みたく泣き、思わず日本語で愚痴ってた気もするからポカーンとさせちゃったかな?

でもおかげですっきりした。


「私の胸はどうだった?」

「壁。いふぁい、いふぁい」

「ちゃんと言えない口が悪い」

「ごめん、でも、ありがとう」

「惚れ直した?」

「うん、惚れた」


 ぼふん・・・


 ちょ、倒れないで。軽すぎて怖いんだよ。

力込めたら折れそうだし。


「お母様、私この人と結婚する」

「あらら、早いわね」

「カズヤ、王様はハーレムを作るんだって」

「ハーレム!?」


 無理だろ、俺だぞ?

そこまでの甲斐性を求めないでくれ。


「でも正妻は私だよ」

「わ、わかった」


 話がトントン拍子で進んでいってもうわからん。

もう、どうにでもなーれ。


投稿は2~3日に一回。


誤字脱字があれば報告していただけると嬉しいです。

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