11-ドッキリだと言ってよバーニー-
ガタン・・・ガタン・・・
うーむ、そろそろ起きるか。
なんか変な音でもしているが祭りでもしてるのか?
「ん?どこここ?」
目覚めると馬車の中だった。
俺の他にも色んな人が居るがみんな目が死に薄汚れた布みたいな服だった。
ジャラ・・・
「わーお、素敵なブレスレット」
手首には鉄でできた不格好なブレスレットがはめられ、虹色の首輪のおまけ付きだった。
ってこれアレじゃん!明らかに逮捕食らってるじゃん!
ついに、ついになのか!?みんなからいつか捕まるとか言われてたけど!?
「あのー、ここは一体」
「なんだお前は?
しらないでここにいるやつか・・・」
まぁ、寝て起きたらここにいるからな。
服も寝巻き、いつも持ってるカバンはあるしなんだこれ?
「お前は奴隷として売られたんだよ。
肩を見てみろ、奴隷の烙印が押されているはずだ」
「肩?」
なんか痣になってる・・・
これが烙印ってやつなら確かに俺は奴隷のようだ。
「夢だと言ってよバニー」
「俺もそれを願ってるさ」
でもなんでだ?昨日は眠くなって・・・
眠くなってるのか・・・
「まぁ、俺らを買ってくれる奴がいい奴なことでも願おうや」
「そうですね」
さっきまでが王宮暮らしなのが嘘みたいだ。
残念ながら現実はこれなんだよな。
バックの中は各エッセンシャルオイルと小さいシャンプーだけ。
これでどないしろと?
「おい、てめぇら。
自分の飯は自分で取ってこい」
「ほら休憩だ。
尻が木になっちまいそうだ」
確かに尻が痛い。これは辛い。
「起きた奴がいるから一応言っとくぞ。
お前らが逃げようとしても無駄だ、首輪に転送の魔法がかけられてる。
俺らに牙を向こうってんなら衰弱の呪いがかかって損するのは自分だ。
ただし、俺らから危害を加えるのは守護の魔法でできない」
虹色の理由はそれか。
俺が剣を向けたらそこらへんが赤くなるからな。俺の血で。
「そんじゃ、飯取ってこい」
「って、あんた」
「おう、昨日ぶりか?」
屋敷を襲った人がそこにいた。全然気づかなかった。
あんたのせいでシュシュが・・・
「まぁ、そう睨むな。俺も仕事だ」
「睨みたくもなんだろ、命狙われたんだからな」
「そんな昔のこともあったな。
でもお前は奴隷で商品。俺はそれの運搬屋。今回も仕事だ、悪く思うな」
っち。いくら話しても無駄だな。
・・・腹減ってもあれだし、なんかとってくるか。
こういう時に便利なのがスマフォですよ。
「おー、ここが川か」
いやいやながら虫を探して蔦を探して釣りを始めた。
「ま、魚は嫌いなんだけどね」
お?早速ヒット。
小魚か。まぁ、これを元手に。
ザッパーン。
ビチン!ビチビチ!
ふぁーーーー。
なんかでかいのが打ち上がってきた。
「け、検索。魚の捌き方っと」
本当に捌き方しか出てこねぇ。
とりあえず、エラに刃物をいれて。
「ぎょえーーー!」
「喋んな!驚くだろ!」
恨みをこめて止めを刺し腹を開けると小魚がビチビチしていた。
「ありがとう。
君のおかげで大物が釣れたよ」
小魚をリターンしてあげた。これだけあれば十分だろう。
君のことは忘れないよ。
ポチャン、スィー・・・
ザッパーン!
「こ、小魚ー!」
自然界とは恐ろしいものだな。
びっくりしたわ。
さて、小魚君は残念だがこれを運ぶか。
でかいって言っても持ち運ぶことはできるし。
お?こいつはじゃがいも?
掘ってみるか。おー、炭水化物だ!
こんなことになるなら醤油でも作っておくんだったな。
「随分な大物をとってきたもんだ」
「・・・犠牲はでかいものです。
火を貸してもらえますか」
「大丈夫だが、俺たちにも分けることが条件だ」
「・・・っち、わかりましたよ」
「悪態つくなよ、楽しく旅を楽しもうぜ」
悪態だって付きたくなるだろ
で、あとはじゃがいもか。適当な味が欲しくなるな。
「お前それ、わかってんのか?」
「あー、これですか?
森で拾ったので」
「そいつには毒があんだ。商品がキズモノとか勘弁だぞ」
あーはい私たちは商品ですもんね。
前の世界と同じなら毒は芽にあるから大丈夫だが、この世界はわからないからな。
1つだけにしよう。
お湯を沸かし、皮を剥いたじゃがいもをゆでその間に魚を焼いておく。
「味気ないのが残念」
まぁ、今日はいいか。
さて、全体的に火が通って来たか。
「焼けました」
「かぁー、うまく焼けてやがる。
この脂身がたまんねぇ」
骨は全部抜いたから食べやすい。
ん?あそこの親子は何も食べてないのか?
・・・今日はじゃがいもを食べよう。
「はい。これどうぞ」
「え?」
「お二つありますのでどうぞ」
で、俺は茹でた芋と。
あー、醤油が欲しい、口乾く。でもうまいなこれ。
「よかったのか?」
「あんたに色々言われたくないです」
「・・・はぁ、お前いつか損するぞ」
「ま、その時はその時で」
うっし。腹いっぱいになった。
そろそろ時間らしいから小屋に戻るとおっさんはまだいなく。転送で帰ってきた。
「くそ、これだけかよ」
「残念だったな、ほら馬車に戻れ」
あ、馬車だった。
馬をモフるの忘れてた。
馬車が進むとさっきの子供が近寄ってきた。
「さっきはありがとうございます」
「余ってる時じゃないと渡せないけどね」
「た、助かりました」
それだけ言ってお母さんのところに戻っていった。
「ま、俺ができるのはこれしかないし」
「俺にもくれてもいいんじゃないか?」
「次の機会ってことで」
「っち、こんなんじゃ腹が満たされねぇ」
次いたらちゃんと渡そう。
俺が魚とか釣ってたらの話だけど。
「・・・なんですか?俺は今忙しいんでですが」
「馬車で暇してんのに何言ってんだ」
話しかけないで欲しい。
この人は本当に嫌いだ、第一印象最悪だし。
「まぁいい。ところでな、奴隷ってのは身ぐるみ全て売って奴隷になるんだがお前はどうだ?」
「どうだ?って言われましても」
「服はまんま、カバンなんておまけ付きだ」
・・・でっていう。
俺がいくら考えても答えが分かるわけじゃない。
「お前どうして売られたんだ?」
「そんなの俺が聞きたいですよ!俺が何したってんだ!」
「・・・かか、やっと本心を出したな」
そりゃそうだよ!起きたらこんなとこにいて一体何だってんだよ!ふざけやがって!
考えないよう思考停止してたのに考えさせやがって。
「1つ言うとだな。奴隷として売ってきたのは少年か女だ。
フードで見えなかったが体格がそれだ」
「・・・誰だ?」
「それだと本当に気づいてないんだな、残念なこった。
んでそいつが言うにはそのカバンが生命線だそうだ」
これが生命線とわかってる人か・・・
「ま、いいか」
「なんだ、もういいのか?」
「俺が考えてもわかるもんじゃないですし」
「恨んだりしないのか?人生を売られたんだぞ?」
あー確かに人生売られたのか。
そう考えると腹立つが俺は何に怒ればいいだろう?
「怒ってますし恨んでますが、矛先がわからないんですよ。
なんかもうめんどくて」
「っち、つまんねぇやつだな」
「あなたを楽しませるために話してるわけじゃないんで」
残念だったなばーか。
誰があんたなんか楽しませるかよはーげ。
「旅は長いんだせいぜい考えな」
「ご忠告痛み入ります」
「もうすぐ夜だしお前らには嫌でも見張りをやってもらうしな」
あ、見張りまで俺らの仕事なんですね。奴隷だし仕方ないね。
「んじゃ、俺はそれに備えて寝るんで」
「かか、珍しいやつもいたもんだ」
男が先頭に戻り俺は寝ることにした。
枕は欲しいし、このオサレアイテム外して欲しいしで願望は尽きないね。
で、なんだかんだで寝て過ごしていると起こされた。
「今日はここで暖を取る。
夜は魔獣どもが活発に動くから気をつけろ」
つまりは動く必要はないってことだね。
時間つぶしはあるから平気だな。
それで目の前では魔法を使って火をつけていた。赤いラインが見えたからおそらく火だろう。
・・・教えて欲しい。
「あのさっきの教えてもらえますか?」
「さっきのって魔法のことか」
「それですね」
使えたらすごく便利だろうな。おれ【充電魔法】って生活じゃ全然使えない魔法しかないし。
「お前【生活魔法】覚えてないのかよ」
「環境がなかったので」
「っち、ボンボンが」
多分だけど貴族はこの手の魔法覚えないのか?
高火力でのゴリ押しとかなのか?
「教えてもらえるんですか?」
「【生活魔法】なら構わないだろ。
でも気をつけな、魔法ってのは使いすぎると気を失うからな」
「あー、はい。わかりました」
うん、体験してるってかそれで寝てるし。
最近だと加減もわかってきたし大丈夫だろ。
「んじゃ、使いやすい魔法からな。
火がこれに点くのを想像しろ」
目の前に木の棒が出された。
なんだ、要はイメージか。
俺の手から赤いラインが生まれ、木の先端に集まると火が付いた。
いいイメージだ!
「なんだこれは使えんのか?」
「いや初めてですよ。
成功したのはいいけど無茶苦茶疲れますね」
「ならもう止めとけ、それ以上やると気絶するかもしんないからな。
てかお前、魔力低いのな。これで魔力切れ起こすやつ初めて見たぞ」
やっぱ、ステータスも影響してんのかね?
ま、いけそうになり次第練習かな。火以外も使ってみたいし。
「さーて飯飯」
「ん?森に入んなよ」
「こいつがありますからこれでも食おうかと」
お湯でじゃがいもに熱を通して潰して、芋もちでいいか。
相変わらず味はないけどね。
「あっつ!?・・・味気ねぇ」
もちもち感はあるけど自然の甘みって言えば早いか。濃い味になれてた俺には辛いものがあるぜ。
みんなは食べなかった。やっぱり毒が怖いのかね?
「いつもは何を食べてるんですか?」
「いつもか?俺は黒パンと肉だな」
「野菜などは?」
「あ?んなもん腹の足しにもなんねぇだろ。ああいうのは豚か貧民が食うもんだ」
なるほど。野菜に関してはそういう扱いなのか。
確かに腹に貯まりづらいけど意外と美味しいんだぞ。
「んじゃ、俺らは寝るから頼んだぞ」
さっさと馬車に戻り眠る準備を始めてしまった。
「役割分担するか」
「1番は誰にしましょう」
1番目か俺はきついところあるしな。
「しゃーねぇ。野宿ぐらい俺が1番目になるか」
「ではある程度したら起こしてください。
2番目は俺がやります」
「それなら3番目はあんたらだな。
さてさっさと寝ろ。俺が寝てる間に寝られたら何言われるかわかったもんじゃねぇ」
寝起きに見張りとかよく考えれば辛いことこの上ないな。これも経験か。
「ではお先に失礼します」
馬車での旅に疲れていたのか何も考えず早く寝ることができた。
まぁ、すぐに起こされたんだが。
「次はあの2つの月が重なる頃だ」
「わかりました。おやすみなさい」
流石に子供連れは起こせないな、明るくなってからでもいいか。
火にあたりながらスマホをいじったり、魔法について考えていた。
風とか水も操れると思うんだけどな・・・
「お?緑の線となると風か?」
おお、そよ風が気持ちいいが疲れるな。
癒されるために使ってるのに疲れるとはどういうことなの。
ガサガサ・・・
な、なんぞや?
まさか魔物とか・・・
投稿は2~3日に一回。
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