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管理人

「あたし、イヌイルイ。

多分君達と同じく、この学校の生徒なんだけど……」


ふむ、といった具合に、地に足のついた長谷川が頷く。


「僕達は、お互いに全く面識が無い」


ここで一つの疑問が生まれる。

俺は堪らず挙手をした。


「はい、正義くん」

「学年やクラスが別々なんじゃないか?

全校生徒の顔を覚えている訳ではあるまいし、それなら面識が無いのも当然だ。

……という訳では無いんだろう?」

「うん、普通に考えたらおかしいよね」


俺に続けてイヌイが手を挙げる。


「先生、それは数学ですか?

数学は嫌いです!」


長谷川が誇らしげに応える。


「うーん、国語じゃないかな?

知らないけど。

じゃあいきなり答え合わせをしよう。

僕らのクラスは?」

「「二年B組」」


やはりか。

イヌイと俺の声がハモった。

ゲーム開始の時点で俺たちは、二年B組教室、つまり自分の所属クラスにいた。

そこに丁度イヌイが、狼の形態で家庭科室からやって来た。

この学校の教室は、家庭科室などの特殊な物を除いて、30を超える数が有る。

イヌイはその中から一つを選んで中に入ったわけだが、何か理由が無ければ、普通は自分が普段使っている教室を選ぶのでは無いだろうか?


「え? でも、あたし、君達の事、知らないし……」

「ああごめん、混乱させちゃったかな。

まあ、それについては不思議としか言いようが無いから、後で考えようか。

今は平行世界がどーたらっていう話をするより、このゲームについての情報を共有するのが先だね」

「お前が最初に言い出したんだろうが」


俺の声が聞こえているのかいないのか、長谷川はスタスタと歩き出し、さっき腰を打った黒板の前に立つ。


「さて、イヌイさん。

応えたく無かったら、応えなくてもいいよ、無理はしないでね。

貴女はゲーム開始直後に僕達を殺しにかかった。

今思えば、それはあまりにも素早い行動だったから、君にとってはゲーム開始直後では無かったのかも知れないけれど、僕達とそれ程ゲーム開始の時刻は変わらないと仮定すると、貴女がこのゲームで最初に起こしたアクションはPVPってことになる。

まあ普通のオンラインゲームだったら、いきなり対人戦を楽しみたい人もいるかも知れないけど、このゲームは普通じゃないよね。

自分と同じプレイヤーらしき人と出会ったら、普通は話しかけて情報を集めたりすると思うんだ。

そうせずに、イキナリ僕達を殺そうとした理由、それを教えて欲しい」


長谷川が芝居がかった動作で、チョークを取り出しながら、イヌイの方へと振り向く。

イヌイは暫くポカンとした様子で口を開けていたが、合点がいったようで、ニヤリと口を結んで歪めた。


「そっか、君達まだ会ってないんだ」

「何に?」

「このゲームの製作者って言ってた。

最初に、夜へようこそっていう文を見て、色々わかって、だからこそあたし、もう、訳わかんなくなっちゃって、そしたらチャット欄に……えっと、こうかな?」


イヌイが、手を振るような動作をすると、そこからチャットのログが飛び出した。

sfものの近未来をテーマにした映画で良く使われるような、ホログラムの画面だ。


正面から覗き込む。


チャットログ 全体〜個人

____________________________________

管理人:初めましてプレイヤーの皆様。

私がこのゲームの製作者です。

管理人:皆様には、このゲームを強制的に

プレイして頂く事になります。

申し訳ありません。

管理人:唐突な話ではありますが、私はこ

の世界の仕組みを知っています。

管理人:それを利用し、このゲームを作成

しました。

管理人:このゲームをクリアされた方には

、報酬として、世界の仕組みを利用し、

一つ願い事を叶えさせて頂きます。

クリア時にお好きな物をお申し付け下さ

い。

管理人:このゲームのクリアとは何なのか

、それはプレイヤーの皆様に是非とも考

えて頂きたいです。

私からヒントを一つ申し上げますと、対

人戦に勝利する事で、確実にクリアへと

近づきます。

管理人:尚、このゲームは期間限定での公

開とさせて頂きます。

クリアを目指す方は、お急ぎ下さい。




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