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転んだ。

転んだ転んだ転んだ。

水銀何をは2084年に収縮。

銃声が鳴り止まないので、僕は鶏になりました。

ああ、飛べないね。

ここは座敷。

畳が刺さるよ。

ささるささる。

痛いね。

誰か座布団持ってきて。

でもこれはテレビじゃない。


「はぁい、座布団一枚」


凡そ理性的ではない。

これは理性的ではないな。

言葉のサラダだ。

思考の洪水だ。

視神経が無くて景色がある。

ああ座布団さ。

あの人の顔した座布団を僕は踏むと、すこし棘が抜けて僕は俺になる。

俺は、俺は誰だ?

仏壇、俺の顔、線香の匂い。

甘い臭い腐った腐りかけの線香の匂い。

ここは2018年、新しい、俺の知らない家。

今は2016年。

そうか、見えた。

見えてきたぞ。


「それでは事の経緯をお見せします」


おう、そうしてくれ。

俺は、待ち遠しい。


四人。

四人いる。

知らないけど知ってる女。

髪が長い。

知らないけど知ってる男。

気違いのような顔をした気違い。

知っているし知っている俺。

俺だ。

俺でしかない。

残りの一人は知らないし、知りたくもない。

知らない方が幸せな事だってあるのさ、お前にはわかるだろう?


四人は食べあっている。

けれど、その中で俺だけは、あまり食べない。

腹が空かないから。

俺はだからあまり食べられないから俺でした。


ところでもう一人知らない女だ。

いや、女じゃない。

男じゃないから女だというだけで、いやでもそうかな?

あれは俺のような生き物とは違っていてもっと綺麗な匂いのしない、空気というよりは感情に近いかな。

ああ、と合点がいった。

あれは、今日あったじゃないか。

今日あった女といえばアレだな。


女は、お互いに噛り付き肉体を貪りあう俺たちに向かって、ただ一言、謝罪の言葉を投げかけた。

俺達の中にその言葉の意味するところが浸透すると、俺達はたまらなくなって動くのを止める。

空気というよりも感情に近い少女は、まずアイツを粉々にしてから呑み込んだ。

四分の一しか残らなかった気違いは放っておき、少女は女に掴みかかる。

キンキンと煩い悲鳴は、凡そ俺らしくも無い。

俺程ではないが、原型をなんとか留められるくらいに体の残った女は、掴みかかる少女を振り落とそうとするが、結局なす術も無く、気違いと同じくらいの大きさにされた。

俺はここで始めて理解した。

狭過ぎたんだ。

目を閉じると、俺は半分になっていた。

わかった。

ありがとう。

もう良い。

もう良いんだ。

だからもうこれ以上、こんな汚れた汚らしい腐った臭い汚物を見せないでくれ。


「……また明日、会ってくれる?」


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