その後 その2
数年後の話
「パパ、遊ぼー」
「うん、どこかに行きたいか?優」
「うん!白洲公園いこうよ!」
「じゃあ、一緒に行こうか」
「やったー!」
ゆっくりがいなくなってからかなり時間がたった、僕はというと、結婚し、子供にも恵まれ、会社の課長クラスまで成長した
「パパー!キャッチボールしよー!」
「いいぞー、それっ!」
現時刻午後2時、日曜日だ、今はこうして、僕の息子、優と一緒に公園に来ている
......昔、ゆっくりと一緒に山や川に一緒に行った事を思い出す、その時もこの時のように、年齢構わずはしゃいだものだ
そういえば、食べ歩きなんかもしたっけ
「パパー、とってー!」
「おおー、いい球だ!野球選手になれるぞー」
「やったー!僕、やきゅーせんしゅになるー!」
今この瞬間はとても楽しい、けど、ゆっくりと過ごした一週間もこれと同じくらい楽しかった、ゆっくりとの生活は、たった一週間で、家族同様の日々だったんだな......
全く、凄いよ、ゆっくり
それからしばらく、息子とキャッチボールとかいろんな事をしていたら、もう午後6時半だ、そろそろ帰らなければ
「おーい、優、そろそろ帰るぞー」
「えぇー、もっとパパと遊びたいー!」
「早く帰らないと、ママが怒っちゃうよー」
「うーん、なら帰る!」
「よしよし、いい子だ」
......僕は帰りに行きたい場所があった、優は寝てしまったので、おんぶしながらその場所に向かう
今日は遊んだ帰り道、そして、いつもならば会社からの帰り道......そう、初めてゆっくりと会った、ゆっくりとの初めの出会いの場所だ
ここは、会社からの帰り道なので、ほぼ毎日通る事になる
けど、休みの日も毎日来たくなってしまう、なので今日も来た
どうして毎日来たいのだろうか
それは...................
「ただいま、ゆっくり」
と僕は一言つぶやき、家に帰ることにした
そう......何故か毎日これを言いに来てしまう、これは、思い出だとか、習慣づいてしまったとか、諸々の理由があるのだが
一番は、ゆっくりを忘れたくないからだと思う
しかし、もう家族がいる身だ、しっかり区別はする、ゆっくりはゆっくり、家族は家族
「忘れはしないが、しっかり区別はする」
これを胸に、これからも僕は生きていく
「ただいま、沙耶」
「ええ、おかえりなさい、あなた」
もう、1人じゃない
end
次回、ゆっくりside