前触れのない出会い
1日目
ゆっくりside
1日目
私は、気づけばここにいた
中くらいの箱の中、何でもない道の隅っこに置かれていた
記憶はない、何も覚えていない
私は、誰なのだろう、私には手も足もない
通りすがる人は、皆珍しい物を見るような目で通りすがる、確かに、珍しくはあるのだけど......
「ゆっ......ゆっ...................」
......声も出ない、声というか、人が聞いたら鳴き声のようなものだろうか
そこに、ある男の人が通りかかって、足を止め、こちらに向かってきた
「拾ってくださいって......ベタだなぁ」
......今気づいたのだが、箱に「拾ってください」と書いてあった
ちょっと恥ずかしくて顔をしたに向けていると、私の体が浮いた、いや、箱が浮いた
「......ゆっ!」
流石に少し驚いて、声を出した私に、その男の人は
「まぁ、とりあえず一緒に帰るか」
と、私を家まで連れて行ってくれた、いや、拾っていってくれた、という方が適切かな
私のことを珍しい物を見るような目で見ながらも、近づいて来た人、ましてや拾おうとしてくれた人なんていなかった
けど、この男の人は、いつ噛みつくかもわからない、人間から見たら謎の生物を、すぐに受け入れてくれた
優しい人もいるものだ
それからしばらくして、家につき、彼は私をテーブルの上に箱ごと置いた、そして
「名前、どうしようかなぁ」
と、名前を考えているようだ、しかし、つうらつうらと、彼は眠そうにしている、疲れているのだろうか
......彼は椅子に座ったまま寝てしまった
......その寝顔を見ていると、私も眠くなってきた、そういえばこの世界に来てからかなり時間が経っている
私は、気がつけば寝てしまっていた
続く
次回、2日目