ブックトーク
異能。
後に大きく分けて5つの系統、細かく分けて10の属目に分けられる、常人よりも強いこの能力はある日突然発現した。
この能力がどうして現れたのか分からない。
この能力がどうやって手に入れるかの規則も分からない。
いつ、この能力が手に入ったのかも分からない。
そもそも、何故使えるようになったかも分からない。
分かっているのはこの異能と呼ばれる未知の、歴史上から見ても非常に新しい特殊な力は、地球上に存在する生物の約5%に当たる者達が生まれると共に持っており――――そして、とりわけホモサピエンス、つまりは人間の多くが持ち得る能力だと言う事だ。
☆
四国、徳島県。
渦のように巻く海の鳴門と阿波踊りが有名なこの地。この徳島県には異能と呼ばれる物が現れてから、日本の国議会の指示の元、人工的に作られた特区が存在する。
異能特区、彼方市。
海風が気持ち良く吹き付ける、異能者のために作られた都市。別名、異能者を隔離するための監獄。
異能と呼ばれるものが人間の多くに得られる事は、全世界の人々がテレビやインターネット、そして身を持って知っている。
しかし、多く得られると言っても、それはあくまでもパーセント上の問題であり、簡単に言えば5人に1人の確率で能力者が生まれると言うだけの話であった。
そして彼らが持つ異能力は5系統10属に分けられる。
身体そのものを強化する強化属と身体を別のものに変質させる変質属。
この2つをまとめた肉体系統。
属性を操る無象属と、属性を形にして操る事が出来る有象属。
この2つをまとめた属性系統。
無い所から物を生み出す無有属と、既にある物を別の物に変える化成属。
この2つをまとめた創造系統。
超能力や霊能力などの未知の力を操る術法属と、特殊環境に順応する順応属。
この2つをまとめた超力系統。
物の大きさや重さなどの状態を変化させる状態属と、硬度や金属性などを変質させる性質属。
この2つをまとめた付与系統。
異能と言うのはこの5系統10属のどれかに分類されると言われている。
彼方市にある十字学園に通う高校1年生、日向野健もまた異能を使う者の1人である。
僕は十字学園の文芸部室にて、僕は他の文芸部員達と同じように本を読んでいた。
本と言うのは本当に良い物である。
その文字が描く世界は本当に素晴らしくて、その書物から感じられる世界は本当に良い物である。
読書こそ人生の宝物であり、人類が生み出した英知である。そう、まさしくこの世に誇る……
「ねぇ、健君、健君。いつまでもその書物にばかり気を取られていないで、ちょっとは本の事ではなくてこの私の事も見てくれた方が良いんじゃないでしょうか?
確かに私としてはそちらの方も良いとは思いますけれども、少しばかりは気に止めてくれてもやぶさかじゃないと言うか、その方が安心出来ると言うか……。
――――――別に私自身が寂しいと言う訳ではなくて、あくまでも会話もないのはどうかと思って……」
そう言って僕は本を読むのを中断して、そうやって話しかけてくる少女を見る。
その少女は同じ高校一年生には見えないくらいの幼児体型であり、金髪ツインテールの美少女であり、その口にはアイス棒をくわえていた。
彼女は僕と同じ十字学園文芸部部員、名前は加賀見アキ。
この学校で始めて会った彼女にどうしてこうやって親しげに話しかけられているかと言うと、それは今は散りかけている桜が、まだ満開だった春の入学式まで遡る。