早くOOして。
サクラハがこちらを見て笑っている。
俺の目の前にいる。
サクラハだということは分かっている。だが姿が大型MMORPGドラゴンブレイカーNEXT通称ドラネクのアバターと同じ格好をしている。
俺には分かる。サクラハと一緒にゲームをプレイしていたからだ。
俺がサクラハに声をかけようとすると。
「久しぶりだね」
先に彼女が口をひらいてきた。
そういえばそうだ。今考えたら、最後にいつあったのかも分からないほど会ってない。
あいつが行方不明になったのはいつ頃だったかな。
ダメだ思い出せない。
そうだ。なんで行方不明になったのか聞いておこう。
「.........!?」
ん?声がでない。なんでだ。俺が声がでなくて無理矢理だそうともがいていると。
「声の出し方が分からないんだね。少し難しいんだけど、母音をお腹の底ぐらいから鳴らす感じで唇とか舌で言葉を出すんだよ。」
俺は、こう思った。コイツは何をいっているんだ?と。昔からそうだ。サクラハは国語の成績が悪くて説明するのが下手だった。分かってる人からすれば分かる説明なんだが、何の話か分からない人にはさっぱり分からない感じの説明力だ。まぁ、俺が偉そうなに言えるような立場じゃないんだけどさ。国語のテストの点数は悪かったからな。
えぇっと、お腹の底ぐらいから母音を出して口内で音の調整をして声を出すだったっけ?
「サ...クラハ...」
ん?声が出た!ちっさいけど...あれ?あいつの説明で理解できたのか!?俺!?流石、俺。天才だわ。なんてな。俺の頭とサクラハの頭がほとんど同じぐらいのバカだからだな。納得。
「サクラハ、お前は何故行方不明になつたんだ?」
小さい<つ>が出しにくい。まだむずかしいな。
「早速行方不明の話ふってくるんだね。まぁ、そう思ってたけどさ。昔から心配性だったもんね。私が行方不明になったのはさ。君と一緒だよ。今君は私と同じように行方不明になっているんだよ。」
「はぁ?何いつてんの?サクラハ。姿といい、言つてる事といい、頭大丈夫なのか?」
俺は、思った。コイツはやはり俺より200%バカだ。
「君こそ、何をいってるの?自分の姿見たら?ドラネクの初期装備じゃない。そんなんじゃボス倒せないよ」
笑われながら言われた。そして自分の姿を見た。
「............!」(なんだコリャァァァ!!!)
思わず、いつも使っていた喋り方で叫んでしまった。
サクラハがそれを見て大声で笑っている。
「炎夏。名前の欄が空欄になってるよ。名前決めたら?」
「おう。.........。」
「どうしたの?」
「あのさぁ。どうやって打ち込むの?」
そういうと、サクラハが少し笑いながら教えてくれた。
「左手の真ん中から長方形の板が出るように頭の中でイメージして、その上に自分の手が乗ってるように想像して。そして目を開けてみて。」
俺は言われた通りにして、目を開けた。
すると、自分の左手の下に半透明のタブレットのようなものに自分の後ろ姿とキーボードとアイテム欄が表示されている。自分の左手で触ることが出来て、水を触っているような感覚だ。
「......!?キモイ!」
「ははは!君は、水のような物の感覚を想像したのかな?ちなみにこれは、リナコスって言うんだよ。リナコスの形は基本的には皆同じなんだけど、感覚が違うんだ。自分が想像した感覚。岩とか水、布など色んな感覚になるんだ。リナコスを触った時の感覚が決まるのは最初の一回目。つまり、初めてリナコスを出した時だね。私のは、革の感覚がするよ。」
「なるほどな。んでさ、リナコスっていうの?こいつの右上にマップみたいなの出てるじゃん?青の点が俺で他の人の点が緑って事と赤の点は敵だろ?でも黒い点は初めてみたぞ。これはなんなの?」
そうサクラハに言ってみると、突然青ざめた顔して俺の手を掴み近くの森に姿を隠すように逃げ込んだ。
「いってぇな。突然何すんだよ」
俺は突然引っ張られて、少し怒り気味に言った。
「炎夏。早く名前を入力して。」
とサクラハが怖い顔して言う。
「あぁ。分かったよ」
俺は、サクラハの怖い顔にビビって急いでリナコスを出して名前を入れる空欄に『炎夏』と入力した。
すると名前を入力した欄のしたに一つのウィンドが出てきた。
選択・あなた選んだの属性を選んでください。
→炎
水
草
闇
光
たしか、俺はこの場所にくる前に炎選んだから炎を選んだ。すると新しいウィンドが出てきた。
主審・あなたのステータスを計り、レベルと職業
を自動的に決めさせて頂きます。少しお待
ちください。
職業が自動で決まるのか。普通自分で選ばせてくれるもんだろうがと思っていると
「炎夏。初期設定終わった?」
「わるい、まだ終わっていない。今職業が決まるところだよ」
「分かった。早くすませてね。もう、時間が無いと思うし。帰れないかも...」
「お、職業とレベルが分かったぞ。えーっと職業は魔導剣士。レベルは...ん?380...?高くね?」
「380!?本当にいってんの?通常、最初はレベル120でも天才型って言われてるのに!?まぁ、今は置いておくとして一度帰るよ」
やはりサクラハは怖い顔のままだ。なのに帰るとか言っている。サクラハは何を考えているんだ?俺より先にこの世界に来ていたことは分かっているけど帰る場所があるということとレベル120で天才型って言われているということはレベル120以下の人間がいるということで、俺達以外の人間もいるということだ。
「いろいろ聴きたいことあるけどさ、どこに帰るんだよ」
「炎夏。帰る場所は一つだよ。私達のいた場所。第一平和型安全地帯島国の表日本だよ」
「サクラハ。ドコだよ。それ。」