待機室
アルテミア学園の裏には大きなドームが建てられてある。名はアルテミア国際ドーム。完全に学校とかぶっているが・・・というよりわざとか?まあそこらへんは俺もイマイチよくわかってない。ドームってのは闘技場のことで、実は今まで一度だけ魔法オリンピックで使われ、名の知れた方ではある。
そんなドームで今日、俺が使うなんて笑えない冗談だよな。
これを知ったのは当日学校でだ。
予定では学校の教室二部屋分の小さい闘技場でやるはずだったのだが、急遽、蓮が「(ちょっと蓮が言う感じで)こんなデカイ闘技場があんだから、使わないでどうするよ?!」なんて言いやがって。
まあ普通ならそんなの耳も傾けてくれないんだけど、実は蓮の奴霧覇財閥ってとこの御曹司らしいんだ。俺は聞いたこともないけど周りの大人たちはペコペコ言うこと聞いて・・・情けないったらねえ!
そんな愚痴はともかく・・・そういうことでドームを使うことになったんだがなんせこれが初めての試合で、こんなとこでできるから心臓がバクバク止まらない・・・なんて子供じゃあるまいしありませ~ん。残念でした~。
冗談も置いといて・・・とりあえず待機室で今も蓮への対策を三郷と作戦の最終確認をしているとこだ。
今回の作戦は試合開始の合図で翼・・・つまり俺が直様火の玉を作り蓮に投げる。短気な奴だから早速怒り出すと謀って次は相手との距離を取り、例の電撃を繰り出す。
三郷いわく、あの電撃が当たれば気絶は間違いないとのことだ。
「えっと、段取りはそれでいいかな」
「ああ、でも本当に大丈夫なのか?」
「うん。僕が保証するよ」
そう言われても三郷だから大丈夫か聞いたんだぞ。性格からして頼りないしイケメンっていうものの、今思ったらどちらかというと美少年ってな感じだし。
俺の脳内では美少年=弱いという単純思考だからだ。これが強かったら美少年の必殺技、女性の守ってあげたい母性をくすぐらせるって技もなくなるからな。
ってんなことはどうでもいい!今はちゃんと集中しなきゃ!
「分かった。俺は三郷を信じるよ」
俺の言葉になぜか顔を赤くする。
「大丈夫か?」
「あっう、うん。じゃ、じゃあ客席で応援してるから頑張って」
そう言って待機室から出て行った。不思議と思いながら首を傾げる。
入れ替わるようにスタッフが俺を呼びに来た。
「時間か・・・」
足がガクガクと震え始めた。
震えてる?・・・・・・いや武者震いだ!そうに違いない。
そう頭の中に何度も言い聞かせた。
こんな状態で試合に集中出来るのか?もし震えのせいで折角三郷が考えた作戦も無駄になってしまう。そういえば何であの時顔を赤くしてたんだ?熱でもあるのか?いや!今は試合に集中しなくちゃ。あれ?震え止まったわ。
こんにちは。いつも『科学科トップの中学生が魔法科に進むそうです」を読んでいただきありがとうございます。
次回から滝火翼が霧覇蓮と初バトルします。しかし、ドラブルが!・・・という予定でいます。
次話もよろしくお願いします