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霧覇蓮

 入学から三日が過ぎた。

 

 校舎裏では四、五人の不良たちがたまり場として使っている。

 

 その中に一人、非自己主張的な少年が周り(不良たち)にビクビクしながら立っていた。

 

「おい、焼きそばパンはどうした」

 

「え、えっと・・・売り切れてて・・・」

 

 少年の一言を聞くと、不良たちは全員立ち上がりものすごく睨みながら少年に近づく。

 

「テメエ・・・FクラスがEクラスのいうこと聞けねえとどうなるかわかってるよなぁ?」

 

 一人の不良は少年の胸ぐらを掴む。

 

 そんな時運がいいのか購買でシュークリームを買った俺と三郷が通りがかった。

 

「あ・・・滝火君」

 

 少年の呼び声で俺と三郷は振り返る。どうやらこの状況に気づいていなく、通り過ぎようといていた。今頃「お前ら何やってんだよ」と止めにはいる。

 

 仕方ないだろ?!シュークリーム買えて嬉しかったんだから!

 

「お前らも同じ一年だろ?入学早々調子に乗り過ぎてないか?」

 

「ああ?!なめた口聞いてんじゃねえぞ?!」

 

 どうやら不良たちに火をつけてしまった。しかし俺は全く怖くもない。

 

 なぜならいつも家で愛花からこれ以上にないほど毒舌を吐かれているんだ。あいつ以上に毒舌を吐く奴がいたら一度お目にかかりたいものだ。

 

 不良全員は拳に多くの土を集めたハンマーのようなもので殴りかかる。

 

 確か結構な値段した魔法書に大勢を相手にした時の雷魔法があったな…そうだ、こうやるんだっけ?

 

 俺は両手を大きく左右に伸ばし、集中力を高める。

 

 身体に流れる全魔力を手の平に集めて・・・・・・放つ!

 

 俺の手の平からビリビリと電気が流れる。その電気は暴れるように走り、不良全員に直撃した。

 

 不良たちは震わせながら気絶してしまった。

 

「おー、意外と簡単だったのか?」

 

 不思議に思いながら後頭部をかきながら言う俺を見て、三郷と少年は呆気に取られていた。

 

「あ、あれ?滝火君ってFクラスでしたよね?」

 

「う、うん。間違いないよ」

 

 二人はそんな会話を何度も続けた。

 

 すると近くからパチパチと拍手の音が聞こえた。そこには気絶している不良たちより何倍も目つきの悪い、金髪の少年が拍手していた。

 

「すごいなー。えっと・・・お前名前は?」

 

 そう言いながら俺に近づく。

 

「滝火翼だ。あんたは?」

 

 その質問に少し驚きやがて、ゲラゲラと大笑いする。

 

「ははははっ!!俺を知らない奴がいたとは、こりゃあ傑作だ!俺は霧覇蓮(きりはれん)だ。ついでにそこで伸びてる奴らの頭だ」

 

 って事はEクラスか・・・・・・見るからに悪ってオーラが漂ってるな。

 

「まあさぁ、お前俺様の舎弟をこんなにしてくれたんだから落とし前をきっちりつけないとなぁ?!」

 

 声を荒ぶらせて言う蓮に俺は少しだけ恐れを感じてしまった。

 

 この蓮って奴・・・・・・愛花とは別の意味で怖いな。動物で例えるなら愛花はライオンで蓮はサメ・・・・・・お互いとも怖いけど天秤に乗せられないというやつか。

 

「そっちの舎弟も頭あんたがしっかり面倒見てもらわないと困るんだよね」

 

「言ってくれんじゃん?それなら今度週末にでも模擬試合で白黒つけるってのはどおだぁ?」

 

 模擬試合か・・・試合なんてやった事ないけど俺はいつも本番に強いタイプなんだ!やってやらぁ。

 

「分かった。俺が勝ったらもうEクラスをパシリ扱いするな」

 

「じゃあ俺様が勝ったら一生言う事聞いてもおうか!」

 

「ちょ、翼君!」

 

 ここに来て三郷から止めが入った。だが、俺も蓮もそんな事は耳に入ってない。

 

「それじゃあ週末楽しみにしてるぜぇ」

 

 蓮はハッハッハッ!と笑いながら、去った。

 

 それを確認した三郷は俺のもとに来て「何やってんだよ!」といきなり怒鳴った。

 

「何だよ、うるさいなー」


「うるさいじゃないよ!あの霧覇蓮がどんな奴か分かってるのか?Eクラスって言っても本当だったらBクラスは入る程の力の持ち主なんだぞ?!」


「なんだよそれ」


「中等部で悪を何人も倒してきたらしいんだよ。その人数は五百人!」


 俺はそれを聞いて背筋がゾクッとした。


 そ、そうかあの時怖さはそこから来てるのか・・・・・・


「今からでも謝りに行こうよ」


「な、何言ってんだ!ばばば、馬鹿なことい、言ってんじゃねえよ!」


「足おもいっきしガタガタさせて言うなよ」


 そんな俺と三郷の会話を見ていた少年はクスッと笑ってしまう。


「何笑ってんだよ。そもそもお前がなあ!」


「ひっ・・・!」


 相変わらずビクビクして俺もこれ以上言えなくなる。


「まあとにかく!俺は謝りになんかいかねえよ!じゃっ作戦考えるから!」


 俺は三郷からシュークリームを受け取って教室に戻った。




「とは言ったもののどうすりゃあいいんだろう」


 シュークリームを食べながら色々考えていると一人の少女がやってきた。


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