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PC☆レボリューション  作者: ポーラ・ポリタス
第四章 ~岡崎夕貴 沙夜~
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稲辺春香の謝罪 〈2〉

注)暴力描写ありです。

「えっ、なんで春香ちゃんがここに…?」



「夕貴ちゃんも…?」



姉妹両方が、私の前に現れた。


しかし待ってほしい……彼女の名字は、「岡崎」だったはずだ。



「沙夜のほうの父親が、優斗なんです。深い事情があり、知り合いの家に養子として出しています」



「……養子……」



この前夕貴ちゃんが言っていた、深い事情。


それは、「沙夜ちゃんは過去に親を殺された過去を持つ」ということだったのだ。


それも、「私の父親によって」である。



「…………叔母さん…。まさか………私のお父さんを殺したのって…………」



「そうよ。あそこにいる娘さんの父親。それよりも……知り合いなの?」



「……うん……。友達、だよ…」



しかし、私の方を見た瞬間、その表情で、私は察した。


彼女の心には、大きな影が広がっていた。


友人がまさか、自分の知り合いが、「親の敵」だと知ったからだ。


本来は憎むべき相手なのだ。


憎しみを持って対処すべき相手なのに。


その相手がまさか……姉の友人だったのだ。



「…………春香、ちゃん……。本当なの…?」



沙夜ちゃんよりも、戸惑いの多い目で見つめているのは夕貴ちゃん。


それは、妹を守らなければならないという思いと、私のことを信じていてくれているのが、揺れているのだろう…。



「うん。本当…。私のお父さんは…、高山優斗さんを………」



「なんで…何で黙ってたの…?」



「………ごめんなさい…。私も、聞かされてなかった………」



夕貴ちゃんの目から、だんだんと私に対する憎しみが浮かび上がっていた。


隣の沙夜ちゃんも同じようだった。


どんどんと憎しみを浮かび上がらせて、怒りを満ち溢れさせている。



「なんで……………なんでっ!!!!」



「!!?」



「私が……7年間、私がどれだけ苦しい思いをしてきたと思ってるのっ!!!!」



今まで小さな声でしか喋らなかった沙夜ちゃんが、私に大声を張り上げた。


その目つきは、苦しみと怒りと憎しみと……。とにかく負の表情で溢れかえっていた。



「私が苦しんでる間にっ!!あんたは、何も感じずに生きてきたのかっ!!!!!」



「ち、違う…! 申し訳ないって思ってたよ。でも、相手が誰だかは聞かされてなかったの」



「聞かされたなかったんじゃないでしょ!!?興味がなかったんでしょ!!!?自分の親が殺したやつのことなんてどうでもいいって!!!そう思ってたんでしょ!!!」



「………………」



隣の夕貴ちゃんは、何も言わなかった。


言わなかったが、その目は激しい怒りに覆われていた。


彼女も私のことを、「妹の敵」として認識してしまった。



「ごめんなさい…。でも…私だって、大変なm」



「犯罪者の子どもが、平凡に生きられるわけなんてないじゃない!!!」



「…!!?」



「犯罪者のくせに!!ずっと騙しつづけて、私たちを騙しつづけてきたんだ!!!」



「……違う…」



思い出してしまいそうだ。


小学生の時に行われた激しいいじめを。


激しい虐待を…。


トラウマがよみがえると、激しい震えが私の体に襲いかかる。


震えが止まらなくなっていたが、彼女の怒りはとどまらなかった。



「私のお父さんじゃなくって、あんたが死ねばよかったんだ!!!私のお父さんは無関係だったのに!!!!」



「……っ!!!」



「あんたなんかが!!あんたなんかが!!生きてるなんて許せないっ!!」



次の瞬間……彼女は私にとびかかってきた。


私は押し倒されるような形で転がり、壁に頭を激突させた。


沙夜ちゃんはそのまま私の上に乗りあがり、



「死んじゃえ!!死んじゃえ!!死んじゃえ!!!」



「ぐっ…、うぐぅ……」



私の顔面を、殴りつけた。


怒りのこもった拳が、遠慮もなしに私の顔を襲いかかった。



「お父さんを返せっ!!優しかったお父さんを返せぇえええっ!!!!」



「うぅ………」



「返してっ…!私の、私のお父さんを…!!」



「………ひぐっ」



きっと今の私の顔は、あざだらけだし、もしかしたら血だらけだろう。


鼻から何か温かいものが流れてきてる。


口の中にも、鉄の味が充満している。


視界が半分くらいしか開かない…。



「かえしてぇっ……。かえしてよぉぉ…」



「ごべんだざい…、ごべんだ、ざい」



沙夜ちゃんの涙が、私の顔にポトリと落ちる。


拳の力もなくなり、私の顔を叩くだけ。


それでも、彼女の感情は嫌なほど伝わる。


彼女だってわかってるのだ。


今私を殴ったって、お父さんが帰ってくるわけではないなんてこと。


それでも……それでも……殴りざるを得なかったのだ。



「はぁっ……はぁっ……」



「ぅ、うぅ…………」



彼女は殴るのをやめた。


倒れこむように、地面に落ちた。


彼女はずっと顔をうつむかせ、泣いていた。



「…………春香。そろそろ…お暇しよう……」



先ほどの一部始終を見て、おじいさまは帰ろうと言った。


とてもじゃないほどの怒りがあったことは、見てすぐわかるのだから。



「………もうしわけ…ございません……でした………」



こうして、高山家から私たちは去った。


沙夜ちゃんと夕貴ちゃんに、とんでもないくらいの怒りを残して―――――










二日後の月曜日―――私は学校に行かなかった。


否、行けなかった。


私の顔には、いくつものあざができ、いくつもの傷ができていた。


こんな顔で行くのが嫌だったのも一つだが…………、沙夜ちゃんに会うのが怖かった。


私を殴っているときの沙夜ちゃんの顔は、とてつもなく恐ろしい表情をしていた。


本当に私を殺そうとしていた、そんな目つきだった。



日曜日、優華に昨日あったことの一部始終を話したのだ。


彼女もあまりのことに言葉を失ったようで、しばらく口を開くこともできなかった。


最後に彼女が言ったのは……。



「私にも、協力できることがあったら言ってね。私はいつでも、春香の味方だから」



涙が止まらなかった。


優華の優しい言葉が、再び私の傷を癒していた。


小学6年生の、あの日のように―――――

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