パソコン部員の合宿 〈2〉
最初は、夕貴ちゃんが持ってきたゲームをやることにした。
夕貴ちゃんが持ってきたのは、リモコンを振って遊べるゲームだった。
ただ、リモコンを振るタイプのゲームではなく、ボタン操作の格闘ゲームだが。
「おらっ!やっ!はっ!」
「夕貴ちゃん強いっ!」
夕貴ちゃんのボタン操作は、ブラインドタッチ並にすごく早くて、他の人が見るも無惨に倒されていった。
私なんかだと、彼女のHPの半分も減らせなかった。
「…くやしい。もう一回」
このゲームに一番夢中になっていたのは、なんと尾鷲先輩だった。
尾鷲先輩はなんというか意地になりやすい性格なのかもしれない。
まぁ楽しいのだから別にいいのだが……。
結局勝負結果としては、
尾鷲先輩が最後に1勝できて終わった。
さすがに何戦もやってきて、コツをつかんだという感じだろうか…。
そろそろ私たちも飽きてきたところだったから、別のゲームに切り替える。
次はテレビゲームではなく、遊び用のゲーム。
ルーレットを回して、出たます進み、そのますでのイベントをこなしていく、双六型ゲームだ。
双六と違うのは、所持金があるということだろうか。
「じゃ、私からねー」
ルーレットを回す。
カラカラカラという音と共にグルグルと数字が回転する。
そして止まったのは、
「5……」
1、2、3、4、5………
『美容師につく。給料は$2000。ならない場合はフリーター」
美容師……。
一番高いので、ビジネスマンの$10000。大きく差がついてしまう気がしたが……。
「ま、フリーターよりもましか……。フリーターは$1000だもんね」
しかも、フリーターにはいろいろとハンデがついてしまうらしい。
それはあまりにもゲームに不利だ。
こうして一巡目で、みんなの職業が決まった。
私:美容師
優華:サラリーマン
千夏:アイドル
冬香:先生
真朝:ビジネスマン
夕貴:フリーター
「一人目の子供が生まれる。全員から$10000ずつもらい、一人車に乗せる」
架空の私は、美容師をする傍ら主婦までこなす女性になっていた。
いつの間にそんなスーパーウーマンになっているのだろうか。
本物の私の遥か先を行っている。
「家から埋蔵金が見つかる。$100000もらう」
「子供がけがをする。治療費$5000を払う」
「家が火事にあう。$10000失う。火災保険に入っていれば$5000もらう」
などなど、さまざまなイベントが消化されていき、
「結果発表ーー!!」
ついに全員ゴールが決まった。
そして順位が付いたのだ。
結果はこちらだ。
1位:冬香 $1504000
2位:夕貴 $980000
3位:優華 $790000
4位:千夏 $457000
5位:春香 $200000
6位:真朝 $151000
結果は尾鷲先輩の圧倒的勝利だ。
一人だけ桁数がおかしなことになってる。
冬香先輩って、なんだかんだ言ってこういう実力というか運というか、そういうのもすごいみたいだ。
「はあ楽しかったー」
「じゃあ次は、なにしようか」
時間的にいえば、もうそろそろ夕食時ともいえる。
「そろそろ夕食の時間だし、みんなで買い出しにでもいこうか」
「うん」
これだけの人数がいるのだから、それなりの食材だっている。
私の冷蔵庫には残念ながらそれほどの食材はなかった。
「で、なににするの?夕食は?」
「どうしようかなー。この人数だから、カレーとかでいいんじゃない?」
「カレーかー。確かに楽だしね」
野菜を切って、肉を焼き、鍋に放り込んで煮込むだけ。
しかも、次の日でもより旨くなって食べることができるという特性もある。
「じゃ、人参とジャガイモと玉ねぎね」
「えっ、人参……」
「え?もしかして千夏ちゃん、人参食べられないの?」
「う、うん……あまり得意じゃない…」
「私も玉ねぎ好きじゃないんだけど……」
どうやら千夏ちゃんは人参が、真朝ちゃんは玉ねぎが得意じゃないらしい。
それ以外の人は、カレーに入れる材料に特に苦手はないらしい。
でも、人参も玉ねぎも入っていないカレー…。
ジャガイモと肉だけだろうか。
「好き嫌いはよくないから、人参だって玉ねぎだって入れるわよ」
バッサリと切り捨てたのは、いつもの通り優華だった。
「「ええーー」」
「まぁそうね…好き嫌いはだめ…」
尾鷲先輩もそう言う。
どうやら尾鷲先輩は割と完璧超人に近いらしい。
だいたいあそこまで必死になってバイトをやってる時点ですごいことは想像がついたが…。
「そういうことだから、ちゃんと苦手を克服しようね」
「……はぁーい」
こうして、今日の夕食はカレーとなった……。
「あれ?お姉ちゃんは?」
「お姉ちゃんは今日、友達の家に泊まるって言ってたわよ」
「ふぅーん……」
ここは岡崎家。
「そうか……。お姉ちゃんに相談事があったのに…」
「何?お母さんじゃだめなの?」
「うん……。ちょっとね…」
「そう。ま、明日には帰ってくるわよ」
「そう」
「…………お母さんには、心を開いてはくれないか…」
岡崎家もまた、とある問題を抱えていた―――――
ようやく少しですが沙夜ちゃんが登場しました。




