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PC☆レボリューション  作者: ポーラ・ポリタス
第三章 ~安城真朝~
19/42

パソコン部員の喧嘩

今回は(痴話)喧嘩回です。ちょいシリアス。この章の本編とは少しだけ関わりが薄いです、ごめんなさい。

次の日……。



「春香っ!起きてっ!起きないと遅刻しちゃう!てかあと10分くらいしかない!」



「んうう~。いま何時ぃ~」



「8時20分!時間ないの!!」



「ええっ!!?」



私たちの学校は、8時45分から一時間目が始まる。


つまり、その時間から登校時間を合わせると、自然とあと10分くらいという計算になる。



「どうしてもっと早く起こしてくれなかったの!!」



「何度も起こしたよ!!でもあんた、まったく起きなかったでしょうが!!」



私は寝不足と寝坊のせいか、少々不機嫌だった。



「もうっ!だからあれほど早く寝ようって言ったのに!!」



「起こした時に起きればよかったんじゃない!」



「そんなに早く人間が起きられるわけないでしょ!」



「私は起きてるわ!!」



だからこそ、というのか、いつもなら笑い話であったりするような喧嘩でも、割と本気で怒ってしまっていた。



「うるさいなぁっ!!大体!私のテストが悪いからって、あんたには関係ないでしょ!!いちいち大きなお世話だよ!!」



「なっ……!!」



冷静になって考えれば、このセリフで彼女を傷つけることくらいわかってた。



「自分が成績良いからって!!私のこと、馬鹿だと思ってるんでしょ!!」



「そんなことないわよ!!あんたが赤点にならないようにって……!!」



「だ か ら !!それが余計なお世話なんだよ!!優華っていっつも保護者面ばっかりして!!あんたは私の親じゃないでしょ!!」



「…………っっ!!!」



「いっつもいっつも口うるさく言ってきてさ!!おかげで今日みたいに遅刻しちゃうし!!」



時計の針は30分を超えてしまっている。


1時間目の授業には間に合わなかった。


それを見て、優華は無口になっていた。


体を震わせ、うつむいている。



「……私は……、私は…………。春香のこと……心配してただけなのに…………」



「!!?」



「春香が……赤点になって……、もしも留年、なんてことになったら…嫌だな、って思ったのに…………だから……私だって、眠たいの我慢して……、教えてたのに…………」



「っ!!!?」



小学生のときから、優華といえば、学級委員のような、しっかりとしたいい子で、それでいて気の強いタイプの少女だった。


男子にだって平気で噛みつき……むしろ男子がかわいそうになるくらいに打ち負かすような彼女だったからこそ……。



「な、泣い…………てる!?」



涙を流していたことに驚いた。



「もういいよ…………………………春香のバカ」



最後に捨て台詞をはくと、とっとと玄関に行き、靴を履いて出て行ってしまった。










1時間目は学校に行っても仕方ないと悟った私は、ゆっくり朝食をとると、2時間目に学校に到着した。


学校に優華の姿はあったが、他の女子生徒と一緒にいて、私のことなどまったく眼中にないような感じだった。



「………なんだよ」



一日中……私に一切口を聞いてくれることなどなかった。


そりゃ、喧嘩した相手とその後も仲よさそうに喋ってる人など見たことないけど、それでもこの無視はちょっとないんじゃないかなって思う。



「……あの、優華、ちゃん?」



「……何?」



やばい、なんか、最初のころの尾鷲先輩のような表情、口調になっている。



「あ、あのぅ……今日は帰り…」

「……今日は、茶道部の同級生と一緒に帰る」



「あ、そ、そう、なの……」



彼女の眼は、冷たかった。











「はぁぁ……眠い……」



放課後になり、部室にいる私。


授業中、幾度となく睡魔に襲われ、幾度となく意識が飛んでいた。


部活をしている今も、軽く意識が飛びそうだ。



「どうしたの?徹夜?」



「ううん、徹夜じゃないけど」



隣で千夏が私のことを心配してくれている。


あまり心配をかけるというのはよくない。



「実はさ…」



昨日の夜、そして今日の朝起こったことをすべて千夏に話した。



「なんだ。ただの喧嘩じゃん」



「ただの、って」



千夏にとってはどうってことないのかもしれないが、私にとっては死活問題でもある。


なんせ、片手で数えるほどしかいない友人の一人がかけてしまうなんてことがあれば、私にとっては致命的な減少である。


自分で言ってて少し悲しいが。



「喧嘩なんて、どっちが謝らなきゃ終わらないでしょ。その喧嘩は、どっちが悪いの?」



「……そりゃ………………私ですね」



考え直して、冷静な頭で思い起こすと、あんなの逆ギレ以外の何物でもない。


もしも私が逆の立場だったとしても、同じことをしてるに決まってる。



「優華は……私のことを、思っていってくれただけなのに……。私……私……」



「あ、あのっ、えっと、な、泣かせる、つもりじゃっ」



やっぱりおどおどし始める千夏。


さっきまで恰好よかったのに。



「今から謝ってくる」



「えっ、今茶道部だって部活やってるんじゃ…」



今謝れなければ、一生謝れない。


私はそう思った。


いつも何か走り出していた。


茶道部部室まで、全力疾走。


体育は苦手で、足はまったく速くないけど、全力疾走していた。



「優華ぁっ!!」



「!!!!!!???」



茶道部室……、畳でできた和式の部屋を開けると、何名かの茶道部員がきれいに正座し、お茶を飲んでいた。


突然叫んで入ってきた私を見て、みんな目を丸くして私を見る。


特に目を丸くしてたのは、やっぱり呼ばれた本人、優華だった。



「ちょっとこっち来てっ!」



「な、なにっ!?なによっ!!?」



無理やり部室から連れ出し、あまり誰もいない、空き教室まで走った。






「な、なによっ。急に走ったりなんかしてっ」



「……はぁ……はぁ」



呼吸を整えて、優華のほうを見る。



「ごめんなさいっ!!!」



そして、ダイビング土下座をしていた。



「……私、優華にいろんなことしてもらった。初めての親友も優華だし。初めて一緒にいて楽しかったのも優華だし。大人の優しさに初めて触れさせてくれたのも、優華だし―――優華には、数えきれないくらいたくさんのことを私に、私に与えてくれた。やっぱり私……、優華のこと、大切な親友だと思ってる!ずっと親友として、一緒にいてほしい!親友に、私は傷つけるようなこと言っちゃった。本当に、ごめんなさいっ!!!」



「私の方こそ、ちょっと押しつけがましかったかもしれない……。それに………春香のこと、無視しちゃってた。ごめん」



お互いのことを反省し合う。


そしたらいつの間にか……、二人の仲も、元に戻っていた。



「もう今日は部活、さぼるわ」



「えっ、いいの?」



「あんた、めちゃくちゃ強引に連れ出したもの、今更恥ずかしくて戻るなんてできないわ」



そういえば……私、かなりめちゃくちゃしたんだったな。


思い出して少し恥ずかしくなった。



「ま、今日はいつもより暇だから、どこかに寄って帰ろうか。千夏も誘ってさ」



「テストも近いのに……」



「あんたがそれ言うか」



二人は笑いあう。


朝のぎすぎすした雰囲気は、もう霧散し、いつものような暖かな空気が流れていた。


彼女は、私の大好きな、大好きな、親友だ―――――

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