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PC☆レボリューション  作者: ポーラ・ポリタス
第二章 ~尾鷲冬香~
15/42

パソコン部の寝泊

後半、ちょっといつもと違う風味があります。

「結局、一度も話せずに終わったわけ?」



「……うん」



その日の帰り道。


私は優華に今日のことを話していた。


よくよく考えたら、壊れた私を救ってくれた優華なら、何か彼女を説得する方法も分かるかもしれない。



「でも……先輩がそうしたいっていうのなら、私なら応援するかな」



「なんで…?」



「だって……。心が壊れそうなのは確かなのかも知れないけど、先輩のしてることは、あんたと違って間違いじゃないからね」



「…………」



「……えっと。先輩は、妹弟たちを守ろうとして、戦ってるわけでしょ?だから、私たちには、『止めさせる』って方法と、『応援する』って方法があるわけでしょ…?」



「……そうだね」



私が黙ったのを見て、私が落ち込んだのかと思い、フォローを入れる優華。


確かに少し、心は沈んでいた。


昔の話をすると、いつもこんな感じになる。



「でも、あんたの場合は、『止めさせる』しかできなかった。なぜなら、あんたを止めなかったら、そのまま死んでたから。先輩を応援するってことは、確かに今の苦痛の状態を続けさせることになるかもしれないけど、私たちも応援してるってことが分かれば、少しは心に余裕ができるんじゃないの…?」



「うん……」



優華の考えが、私とは違っていた。


私は、優華に救ってもらっていた。


それは、私が今生きていることが証明してるし、千夏という友達ができたのもそうだ。


私が自殺するのを『止めさせた』ことで、私は今存在しているのだ。


だが……。


心が壊れている先輩を、応援する…。


私にその発想なんてなかった。



「言っておくけど、別に私は、あんたをただ『助けた』なんて思っちゃいないんだから。あんたが今、こうやって先輩を助けようとしてるのも…あんたが『頑張って』いじめを乗り越えたからでしょ…?」



「頑張った……から…………?」



私が頑張っていた。


そうなのだろうか。



「第一、本当にあんたを救うだけなら、あんたは転校するとか、もっと手段があったでしょ。あんたが逃げずに、頑張ったから、こうして今があるんじゃない」



頑張る。


それが一番大切なのか。



「でも…先輩の場合、体ももうすでに疲れとかが溜まってるみたいだし…」



「それは確かに心配ね。でも…それはあんたたちがフォローしていくしかないんじゃない…?」



頑張る先輩をフォローする。


無謀なことを先輩を止めさせる。


一体、どっちが正しいのか…。



「どっちがいいのかなぁ……」



「それは、あんたたちが決めることよ。今のまま、先輩を強制的に止めるのか、応援して、手助けしていくかはね」



なんというか、優華がすごく格好よく感じた。



「うん。そうだね。明日話し合ってみる」



上野先輩にも、ちゃんとこれが伝わるように。




「そういや。もう家に着いたね」



「うん、じゃ。また明日」



「あっと……ちょっと待って」



私は優華を引き留める。



「ちょっとたまには、家に寄っていかない…?お茶位出すよ」



「そ、そう」



優華の顔が怪訝な表情になる。


こんな顔をするのは、いつも私のことを助けてくれようとしているときだ。



「そんな顔しないでよ。今日はただ…………一緒にいたいだけだよ」



「……な、何言ってんの。気持ち悪い」



「あれ?今照れた…?」



「照れてないっ。そんな風にからかうなら、もう帰るから」



「もうっ。冗談じゃん」



顔を赤くして、そっぽを向く彼女。


なんだ、この萌えキャラは。



「はい。お茶」



「うん」



私の家―――――マンションの三階の一室。


1Kのこの部屋で、彼女をおもてなしした。



「もう。ちょっとは掃除した…?この辺り服が脱ぎ捨ててあるし。前掃除したのいつ…?」



「え、えっと。い、一週間くらい、前、かなぁ……」



「本当は……?」



彼女の目が間違いなく疑いを持って私を見る。



「い、一か月、前くらい、です…………」



「一か月…!?前私が掃除した日じゃない!?」



「…………」



「一人暮らししてるなら、掃除くらい自分でちゃんとやりなさい!!」



あんたは私の保護者か。


実は私は一人暮らしをしている。


理由は……当然親のネグレクトだ。



「もう。じゃ、今から掃除ね。この部屋だけでも掃除しなさい。それまで晩御飯抜きです」



「えぇえええええっ!!?」



突然の晩御飯抜き宣言。



「ゆ、優華ぁ……それは、ネ、ネ…」

「違います。教育的指導です」



私が言おうとした言葉を強制的にカットした。


ひどい。 食事抜きなんてあんまりだ…!



「ひどい!横暴だ!」



「横暴って……。あんたがちゃんと掃除してれば。こんなことにはならなかったでしょうが!!」



完全に保護者キャラと化した優華。


仕方なく私は、部屋の掃除をしたのだった。










「ふいー。終わったぁ」



「はいはい。よくできましたー。じゃ、もう8時なので、私がご褒美に何か作ってあげましょう」



「よっ。さすが優華。そこに痺れる憧れるぅ!」



「いや、だからそれ何よ?」



別に深い意味はない。


ただ最近知った言葉だから使いたかっただけなのだ。


待つこと30分。



「はい。あんたの好きなから揚げ」



「やっほい!」



やっぱから揚げって最高だよね!


もちろんたらふく食べたのだった。


優華も一緒に。



「あぁー。もう9時じゃん。今日は泊まってく…?」



「そうね。さすがにこの時間はね」



携帯を取り出し、親に電話をする優華。


まぁ、私のことをよく知ってる親だから、一発オーケーだろう。



「じゃ。今日は泊まってくわ」



「よし」



優華のお泊りが決定した。




とは言っても、特に何かが変わるわけでもない。


テレビを見て、風呂に入って、宿題は、まぁいいや。


そして寝るだけである。


違うのは、優華が隣にいることだけ。



「じゃ、もうそろそろ寝るかー」



「うん。そうね」



布団は、もしものときのために二つ持っているのだ。


私と優華で一つずつ。



「おやすみー」



「おやすみ」



電気を消したら、ちょうどいい感じに眠気が襲い、眠りについた…。










――――――――――



「やーい!殺人者!殺人者!」



「ごめんなさい。ごめんなさい」



「ちょっとあんた!」



「へっ!?」



「春香ちゃん泣いてるじゃん!謝りなさいよ!!」



「だ、だって!こいつが悪いんじゃん!犯罪者の子どもだし!!」



「だから何!?犯罪を犯したのは、この子のお父さんでしょ!この子は何もしてないわ!!」



「なんだよこいつ!もういいや、つまんね」



「うぅ。ヒグッ。ごめんなさい。ごめんなさい」



「もう大丈夫だよ、春香ちゃん。よーしよーし」



「ありがとぅ。優華ちゃん……」





――――――――――



「ありが、と」



「……泣いてる」



電気を消してしばらく。


まだ寝れなかった私は、春香の方を見た。


よほど掃除が疲れたのか、すぐに眠りについてしまったようだ。


彼女の方を見ると、涙が目から出ているのがわかる。


悲しい、もしくは、辛い夢でも見てるのだろうか。



「変わったよね。春香」



まだ根幹は、ぬぐい切れていないのかも知れない。


でも、昔に比べて明るくなったし、何よりも、物事に積極的になった。


そして何より……。



「今度は春香が、誰かを心配してるんだもんね」



小学生時代、ずっと心配し続けた春香が、誰かを心配して、何かしようと努力する。


上から目線かもしれないが、これは大きな成長。



「でも……私はいつも、春香の味方だよ」



いつの間にか、春香の手をぎゅっと握って、私は寝ていた―――――

お前らもう結婚でもしてろよ!

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