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第9話 夏といえばこれとそれ

「あれ? 確か前まで海パートだった気がするんですけど…」

「いいのよ、面倒くさいから!

「ひどくないですか! せめて嬉し恥ずかしイベントの一つも起こってないじゃないですか!」

「普通は起こらないわよ」

「だってそういう物語なはずですよねこれ!?」

「え?」

「いや、だからこれ俺とお嬢たちのラブコメじゃないんですか!? だからそういう展開があっても…」




「この物語ってラブコメなの?」







 8月中旬になってますます気温が上がってきた。

 この鳳咲おおとりざき家でも節約というものもあり、冷房をガンガンにすることはできない。その代わり燕尾服えんびふくに変わって普通の半袖のワイシャツが許された。いわゆる衣替えだ。


「ふぅ~、とりあえずこれで朝の仕事は終わりですね!」


 俺は右腕でひたいの汗を拭った。この猛暑だ。少し動いただけで汗が出る。だから夏はあまり好きではないのだ。

 …かといって冬も好きではないのだが。


「うん、休憩にしようか。麦茶淹れるよ」


 俺の先輩である笠神灯矢かさかみとうやさんは疲れを感じないその笑顔で言った。やっぱこの手のプロはすごいと改めて感じさせられる。


「ふぅー、やっぱし疲れるわー」


 俺はすぐ近くにある椅子の座る。

 俺はそのまま笠神さんが来るまで待とうと上を見上げてボーっとしていたら後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「時雨くん? なにしてるんですか?」


 どうやら仕事を一旦終えたらしい香透楓こうすきかえでさんだった。


「いやー、疲れたから妄想してたんですよー。楓さん是非俺の妄想を現実にしませんか!?」


 俺は楓さんに最大の良い顔で言った。すると楓さんの顔が急変した。


「嫌ですよ! 時雨くんのことだから絶対えっちなことじゃないですか!」

「フッ…その通りですよ楓さん! 俺の考えることは十中八九じゅっちゅうはっくエロスです!」

「何で、すっごく良い顔して言うんですか!? なんか逆に清々しいです!」


 俺はエロスには忠実なのだ。しかしながら、誰かがいる前で妄想しているのは失礼なので、妄想することをやめておこう。


「それより楓さん、半袖ミニスカのメイド服はいつにも増してエッロエロですね!」

「み、見ないでくださいよ! 暑いんで仕方なかったんです!」


 俺たちが夏用の服になったと同様、楓さんのメイド服も半袖でミニスカートと何とも可愛らしい格好になってしまったのだった!!


「夏も捨てたもんじゃないですね」

「今まであんまりこういう服を着るのに抵抗はなかったのに、時雨くんが来てから恥ずかしいんですけど」

「それは俺を恋愛対象の男と認めてくれたってことでしょうか!?」

「違います!」


 何だ、違うのか…だが諦めん、俺は楓さんといつかご奉仕プレイを!

 なんて考えているうちに丁度笠神さんが3人分の麦茶をもってきてくれたので俺たち使用人組は一旦の休憩をとることにする。

 俺は麦茶を喉に流し込み、乾いていた喉が潤った。


「はぁ~、夏には麦茶がうまいっすよね~」

「はい、喉渇いてたのですっごく美味しいです」


 なんかほのぼのとした空気になってしまっている。こんな感じの日常を味わえるのは結構幸せなのだろうか。


「そういえば、お嬢たちはまだ部屋にいるんですか?」


 俺の素朴な疑問に笠神さんは麦茶を一杯飲んでから答えた。


「早月お嬢様達は今ゲームに没頭してたよ」

「へぇ~、お嬢たちって何のゲームやってるんですか?」

「えっと、確かブレ○ブルーってゲームだったっけ」

「意外すぎる!?」


 俺の予想だとスマ○ラとかかと思っていたのに、まさかブレイブ○ーとは…俺も好きだぜ。


「んー、じゃあゲームやってるんじゃあセクハラしに行くのは申し訳ないな~」

「ゲームしてなかったらセクハラ行くつもりですか…」


 楓さんは若干呆れ気味な顔をして俺を見てきた。そんな目で見ないでくれ! 興奮するじゃないか!

 笠神さんはコップに注いである麦茶を一気に飲み干すと少し深刻な顔をしだした。


「そういえば、時雨くんはこの屋敷の呪いの部屋のことを知っているかい?」

「呪いの部屋?」


 何だそれは? ここに来て数ヶ月は経つがそんな話は一度も聞いたことがない。俺がハテナを顔に浮かべていたら笠神さんが先に口を動かし始めた。


「この屋敷の2階の一番奥にある部屋さ」

「あ、そういえばその部屋には一度も入ったことがないですね…それに入るなとも言われたので」

「そうさ、出るからね、あれが」

「あれ…というと?」

「幽霊さ」


 まさか、とは思っていたが本当だったとは…。俺はどちらかというと幽霊は信じる方だ。信じているができれば一生見たくないって感じだ。

 幽霊それがこの屋敷の2階の奥の部屋にいるのか。一体何故だろうか。


「本当なんですか幽霊って…」

「ま、嘘なんだけど」

「嘘なのかよ! ちょっと信じちゃったじゃないですか! 文章の無駄遣いしたわ!」

「いやー、ゴメンゴメン夏にはこういう話がしたいなって思ってさ」

「でも無駄話したわけじゃないんですよね…」


 俺ががっくしして尋ねると、笠神さんはいつもの笑みを浮かべてこう言った


「ちょっとお嬢様たちに面白いことをしようと思ってさ」


再来週テストなんですけど、もしかしたら投稿がいつもより遅れるかもしれません。

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