第8話 埋めればきっとバレないさ
「早月お嬢~、待ってくださいよぉ~」
俺は目の前で俺から離れていく少女を少し駆け足で追いかけていく。
「私を捕まえてみなさ~い」
ははははははは、AHAHAHAHAHAHAHA
現実
「待ってください早月お嬢、抱っこさせてください俺と遊んでください~! ぐへへへへへへ!」
「ぎゃあああああああああああ!! 助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
何故逃げるんだ早月お嬢、俺はお嬢と一緒に遊びたいだけなのに。俺は浜辺で大声を出しながら逃げ回る早月お嬢を必死に追いかける。
「お嬢…ぜぇ…ぜぇ…速すぎますよ、どんだけ体軽いんですか!」
「あんたが襲っていこなければいいんでしょうが!」
「襲ってるわけじゃないです! 俺はあくまで愛を語り合おうとしてるだけであって」
「私にとってはそれが襲ってると同じに思えるんだけど!?」
俺はそんなハレンチなことを目当てにしてるわけじゃないんだ、決してな! 俺は体力的なことを含め、早月お譲と遊ぶのを諦めて、現在砂のお城を造っている早苗お嬢のもとへ行くことにした。
「早苗お嬢は泳がないで、砂で遊んでるんですか?」
「泳ぐことならプールでも十分。だけど砂の城は砂場じゃ容易に造れないんだよ。だから今やってる」
「確かに砂場じゃ子供にぶっ壊されるのがオチですもんね」
黙々と砂で城を造っている可愛らしい早苗お嬢を見てるのは楽しいことに越したことはないのだが、若干物足りない要素があるのは言うまでもないです。
「早苗お嬢? 何か二人でできることやりませんか?」
「…二人でできることといっても何かあるの?」
「ん~、やっぱり水着でのえっちなプレイとか!」
「ちょっと遠慮しておく」
「左様ですか…」
うーん、何か二人でできることはないものだろうか。ビーチボールとか定番だけどこの子がそんなに動けるとは思えないし…。
「あ、そうだ早苗お嬢、砂で体埋めるやつやりましょうよ」
「いいけど、誰が埋まるの?」
「そりゃあ早苗お嬢でしょう!」
「時雨にイタズラされそうだから嫌」
「俺そんなに信用ないですか~まあイタズラはする予定だったんですがね!」
「否定してよ…」
まぁ、当然のことだな。早苗お嬢がだめってことはおそらく早月お嬢も嫌だって言いそうだし、俺がやるのもいいんだけどそうしたらお嬢達や楓さんと遊べないしな。
じゃあ…消去法であの人しかいないね!
「笠神さ~ん、ちょっとこっち来てもらっていいですか?」
「ん? いいけど何かするの?」
泳がないでずっとシートの上で寝転がっていた笠神さんは起き上がって此方に歩み寄ってきた。
「ちょっとここに寝転がって貰えません?」
「え? 別にいいけど…」
笠神さんが寝転がった瞬間、俺はその体を押さえつけた。動かないようになるべく力を入れる。
「え? 何!? なんで体を押さえつけてるの時雨くん!?」
「ちょっと大人しく寝転がってください!」
俺は抵抗する笠神さんの腕を押さえつけている。その横から早苗お嬢は砂をドンドン笠神さんの体に掛けていく。
流石に二人だけじゃ役者不足だ。助っ人を呼ぶことにしよう。
「楓さんと早月お嬢も手伝ってください!」
「あぁ、砂で体を埋めるやつですよね!」
「時雨アンタ…なにやってんのよったく…」
二人はこう言って歩み寄ってきてくれた。
すでに体の半分以上が砂で埋まっている笠神さんが悲鳴をあげていた。砂を掛けている早月お嬢はやけに楽しそうにしていた。
「早月お嬢、もしかしてS?」
「違うわよ!」
「え…もしかしてM!?」
「そっちでもないわよ!」
俺的にはSだと嬉しいな! 俺はMなんでね!! いや、むしろどっちでもイケル! どっちも良い!
そんなこんなで首から下はほとんど砂で埋まってしまった状態になってしまった。
「ちょっとここから出してよー!」
首を上下左右に揺らし必死に固められた砂から出ようとしてるが出られそうにもない。哀れなり笠神さん。あんたのことはしばらく忘れるぜ。
「さーて、皆でビーチボールで遊びましょうか!」
「え…ちょっと待ってー!」
★
「早月お嬢写真撮っていいですか?」
「え…? 嫌だけど」
「えー!? コレクションにしたいんです! いいでしょ10枚くらい!」
「多いわ! 絶対イヤ!」
「ハイチーズ」
バシャっと問答無用に一枚撮る俺。撮れた写真は急のことでびっくりした表情に早月お嬢の姿だ。もちろん水着!
「ちょ、こら! 勝手に撮るなー!」
「いいじゃないですか減るもんじゃあるまいし!」
「恥ずかしいわー!」
さて、このまま早苗お嬢の写真も撮りたいところだ。スク水なんてめったに拝めるものじゃないからな!
どうやら早苗お嬢はパラソルの日陰で寝転がって休憩をとってる模様だ。これはいいチャンスだ! 俺は早苗お嬢のところに全力で走り込む。
「早苗お嬢! 写真撮っていいですかー! って」
寝てる!! 海まで来て寝てやがるこの子! どんだけ寝るの好きなんだ!?
いや、しかしこの状況まさに好機! 寝ているスク水少女の写真なんて滅多にないレア物だぜ! 俺は躊躇なくシャッターを切る。
「ふぅ、いい収穫だったぜ!」
こうして俺の激動の昼が終わったのだ。俺が昼を食ってるあいだにカメラのデータが早月お嬢の手によって消去されたのを知ったとき号泣した。
続きありそうな展開ですけど・・・すいません俺には無理です。日常展開に戻ります。




