第6話 まずは準備を…
一週間に一話というペースですが、読んでくれた方はありがとうございます。
朝起きる時、俺にとって中々辛いものなのだ。布団から出る時俺は大変な決心をして起き上がるのだ。
執事とは毎晩12時に睡眠、毎朝5時に起床。学生にとっては地獄さながらなものと言える。
「時雨く~ん、朝だよ起きてー」
何故だろう、ここは可愛い幼馴染、妹が俺を起こしに来るはずなのに…。
「時雨くーん」
何で、笠神さんなんだ!! 何で男なんだ! やだやだやだー! 女の子がいい! ポニーテールでバストDカップくらいの女の子がイイよー!!
「俺を起こしたければ…可愛い女の子を連れてきてください…」
「えぇー…可愛い女の子って、ここには楓さんとお譲様達しかいないんだけど」
「じゃあ、お譲達か楓さんに起こされたいです! おはようのチューされたいです!」
俺の夢は可愛い女の子からおはようのチューで起きることだ。だから俺はこの布団から出ることは許されない。
俺は布団の中に縮こまった状態でずっと、笠神さんに反抗し続ける。
「うーん…困ったな、仕方ないから僕のキスで…」
「あぎゃああああああああああああああ!! アバババババババ!」
俺は思わず声が可笑しくなるほどの大声で叫びながらベッドから飛び降りる。
俺は危機から脱出したことに額の汗を拭う。なんてこった…危なかった。俺は危うくファーストキスを笠神さんに奪われるところだった。男からファーストチッスを取られたら俺は生きていけまい。
「気持ち悪いことしようとしないでくださいよ! もう! 馬鹿!」
「気持ち悪い…そこまで言われると流石に傷付くな…」
笠神さんはそう言って苦笑した。
いやいや、何そっちの気があるような言い方してやがりますか! 俺には全くそっちの趣味はありませんからね! 俺は健全な少年であって女の子大好き! ちなみに守備範囲は10歳から30歳!
「仕方ありません、起きたからにはちゃんと働かなきゃいけませんね」
「いやいや、普通は働くんだけど…」
「じゃあ俺は着替えてから下に行くんで先行って下さい」
少し顔に不満を見せながらも、分かったと言って俺の部屋から出て行った。
おっと、ところで俺の自己紹介がまだだったな。
俺の名前は双馬時雨、健全でピッチピチの16歳だ。ちなみに彼女募集中(複数可)普通なら高校一年生になる予定だったのだが、ある事情でこの屋敷の二人の主である鳳咲早月とその妹、鳳咲早苗の執事(一応執事の見習いのフットマン)をやっている。
そしてこのお譲達と俺の関係はとっても良好、いつもイチャイチャのピンク色の毎日さ! ここから18禁かもよ!
まl、それはともかく、今俺はこの屋敷での自分の部屋に居る。俺の部屋はこの屋敷の屋上…屋根裏部屋だ。
………………………………………。
別にこう言うのも何だけどさ、もっと良い部屋あったと思うんだ。屋根裏部屋じゃなくてもいいじゃん。何で俺は小公女セ○ラさながらの生活を送らなくちゃいけないんだよ。なんか可哀想な子みたいじゃん!
別にそこまで汚くないけど…何かなぁ…。
「よしっ」
俺は燕尾服を来て、ネクタイをきつめに付けて自分の部屋を出た。
★
「早月お譲! 結婚してください!」
「だから何であんたは懲りないのよ!」
「本気だからです!!」
「それが嘘っぽいのよ! いい加減諦めたらどうなのよ!」
毎日俺はこうやってお譲との愛を交わし合っている。
しかし何故早月お譲は俺に対して素直になってくれないのだろうか。俺はいつでも早月お譲を受け入れることができる状態に居るというのにね。
「早月お譲は今日から補習終了とのことですが、何か予定とかあるんですか?」
「うーん、これと言ってないわよ。とりあえず宿題を早めに終わらせてから考えるわよ」
「…もしかしてお譲、友達が…」
「普通にいるわよ!」
お譲を少しからかって俺は満足したので真面目に話を振る。まぁ友達がいるようなのでお父さん安心だよ。
「じゃあお譲、二人っきりで浜辺に行きましょうか」
「何で時雨なんかと行かなきゃいけないのよ」
「なんかとは何ですか! 俺とお譲はラブラブカップルでしたよね!?」
「何で私が時雨と付き合ってることになってるのよ!」
「もちろん、俺の妄想の中でです!!」
「何か普通に可愛そう!?」
妄想力では俺は誰にも負けないぜ、俺は一時間以上イメージをフル回転させて。意識をすべて妄想の中に入れることができる。学園都市に行ったら俺はレベルはいくつだろう。
「でもお譲だって海には行きたいでしょう!?」
「行きたいけど、あんたがいやらしい目で見てきそうだから嫌なの!」
「大丈夫です、胸には期待してません!」
「馬鹿にするなー!」
顔を真っ赤にして怒るお譲はいつ見ても飽きない可愛らしさである。いとおかし。
そういう顔を見るともっと苛めたくなるのだが、これ以上すると新しい何かが開いてしまいそうなのでここは自粛。
「せっかくの夏休みですし、たくさん思い出つくらなくちゃ勿体ないじゃないですか」
「そうだけど…」
「海! プール! 祭り! 水着! 浴衣! 可愛い女の子! 楽しい思い出いっぱい!」
「あんたにとって夏って何なのよ!?」
「そんなの決まってるじゃないですか! エロスです!」
「えぇー…」
お譲の顔が引きつったのが見えたが俺は気にせずに話を続ける。
「夏と言うのは日本の春夏秋冬、1年の中で最も女の子が露出する期間ですよ! これは全国の健全な男子にとってはまるで夢のような日々と言っても過言ではありません!」
「あんたほど夏を最悪な目線で見てる人はいないと思うわよ!」
「そんなことはありません! 男と言うものは大概こんなことを考えている生き物なんです!」
「男の人を見る目を変えたくなるわね…」
全国の健全な男性の皆さん、もし違ったら申し訳ございません。なんて言わぁぁぁん! だって俺はそう信じてるから!!
なんだかんだで朝食を食べ終わり、仕事も一旦、一段落しているところにリビングで早月お譲とずっと他愛のない会話を交わしていた。
★
「私も、海に行きたい」
「ですよねですよね! 早苗お譲もこう言ってることだし行きましょうよ!」
笠神さんによって起こされたので、仕方なく俺達と一緒に会話に参加にすることにした早苗お譲も俺の意見に参加してくれた。
「早苗がそう言うなら考えるけ…うーん…でもなあ…」
ここまできて早月お譲は未だ考えているようだ。顔を難しくして悩んでいるお譲。何をそこまで迷うのか。そこまでして海に行きたくないのだろうか?
「お譲、何を迷ってるんですか? 胸のことなら別に気にしなくていいですよ」
「そうじゃないわよ!」
どうやら胸のことではないらしい。では一体。
「お姉ちゃんは泳げないんだよ」
「え?」
「さ、早苗! そう言うのは言わないでよ!」
早苗お譲が言ったことに、早月お譲は恥ずかしそうに顔を真っ赤にする。なるほど、理解した。
早月お譲は泳げないから海に行きたくないのか。これはプールも一緒か。
「早月お譲は泳げなかったんですね~」
俺は微笑みながら言うと、
「何よ! 泳げなくて何が悪いのよ!」
「いやー、可愛くていいなーって思って」
「絶対馬鹿にしてるでしょ!」
「大丈夫だよお姉ちゃん、私も犬掻きしかできないもん」
「私は犬掻きだってできないもん!」
顔を膨らませて起こるお譲。しかし早苗お譲は犬掻きだけか…でも何かすごく犬掻きが似合う子だなぁ、とは思う。
「じゃあ俺が泳ぎ方教えてあげますよ!」
「どさくさに紛れてセクハラしそうだから嫌よ!」
「き、貴様…何故分かった!?」
「ホントにする気だったんだ!?」
クソ! 本当に俺はどさくさに紛れて胸やら足やらを触りまくろうと思ってたのに…。何と残念な…。
「じゃあ時雨、さっそく準備しようよ」
「そうですね! 水着とか水着とか水着とか!」
「水着しか無いじゃない! って言うかもう決定事項なの!?」
「当たり前じゃないですか! 早月お譲はスク水でいいですよね!」
「勝手に決めんなー!!」