番外編 改めた日常2
一カ月ぶりです。拙いながら、頑張って書きました。
こんにちは皆さん、執事の双馬時雨です。今回も番外編で提供させていただきます。
早速なんですが、土下座したら女の子ってエッチなことしてくれると思いますか?
私は、ちょっとだけそういう期待をしたことがあります。そんな妄想を、小学生の時から頭の隅に締まったまま、ちゃんと取り出していません。やはり男子一同は知能が低い生物故、同意してくれる人は多いのではないでしょうか。仲良くなった女の子にしつこくお願いしたらワンちゃんかな? とか思うでしょうね。
現在、私は恵まれた環境下にいます。それは一つ屋根の下、女の子3人と一緒に暮らせているという事実(尚男子も2人いる)。私はまだ、執事として勤めて1年も経っていないですが、それなりに友情や、信頼関係も築けていると思いますよ。そのため3人のうち1人くらいはエッチなお願いしても許してくれる気がするんですよね。
そう、早苗お嬢とか。
「今すっごい失礼なこと思ってたよね? 時雨」
「え!? そんなことあるわけないじゃないですか!」
早苗お嬢は俺の思考をある程度読むことができるようだ。しかし、失礼では決してない。エッチなことさせてくれる人に対して、そんな失礼な扱いできる訳ない! マジリスペクトっす。
「私のこと軽く見ている気がする」
「軽くはないですけど、エロい目線で見てます」
「それもそれでイヤ」
「舐め回すように見てます! もうぺろぺろです!!!」
「ばっちい」
「ばっちい!?」
ひどい! 純粋な好意で見ているだけなのに! 世の男子も好きなこのことはつい目で追っちゃうよね?
俺はちょっとエロい目線も入れちゃうけど!
それにしても、相変わらず早苗お嬢は可愛い。早月お嬢とは対照的に、やる気のない目。真っ黒な肩までかかる程の長さの髪を、左側だけ束ねてサイドテールにしている。まるで猫の尻尾みたいだ。姉妹そろって小柄で華奢だから思わず舐め回したくなるのは、男のサガであろう。現在中学3年生で、早月お嬢や俺とは一つ下だ。
中学3年生か…バリバリ許容範囲です。むしろ大好物です。ていうか守備範囲10歳以上50歳未満なら大丈夫です。世の中の女性の皆さん! どうか双馬時雨! 双馬時雨をよろしくお願いします! 今が旬です!
「早苗お嬢、人のことばっちいとか言っちゃだめですよ!」
「え、時雨は人なの?」
「人外!?」
「むしろ人害」
「もはや害悪対象でしかない!」
早苗お嬢、最近口が悪い。俺も思わず、一歩引いてしまうほどだ。普段のうのうとしている早苗お嬢に毒舌攻撃を受けた際には、心に来るものがある。が、俺はMなので気持ちいい。
「それにしても、早苗お嬢、珍しく机に座っちゃって何してるんですか?」
「見てわかるでしょう、勉強」
「え、なんだってー(棒)」
「なんで(棒)なの、そんな私が勉強しているのがおかしい?」
「う~ん、早苗お嬢って自分から勉強するんですねと、思いました」
「む、失礼な」
ぷく~と頬を膨らます早苗お嬢。フグみたいで可愛い。突っつきたい。
しかし、実際問題、早苗お嬢が自らの意思で勉強するなんてことがあろうか。まったくもって珍しい。と思って机を覗いたが、しっかり英語教材を開いている。
「早苗お嬢えらいえらい~」
「ふふふ」
思わず、早苗お嬢の頭をなでてしまった。これはセクハラのうちに入らないゾ。早苗お嬢も満更でもない表情である。どうやら褒められてご満悦のようだ。なんて単純かつかわいらしい生物であろうか。
「それにしても、なんか直近でテストありました?」
「高校受験だよ」
「あっ! そういえばもうそんな時期ですか!」
リアルストーリーに沿うと、2月14日だったね。バレンタインデー。チョコくれや。
2月というと、もう受験まで残り1カ月もない感じなのか。俺は、高校受験しているわけではないから良く分からんが、今が一番大変な時期なんだな。
「ちなみにどこの高校志望ですか?」
「お姉ちゃんと一緒の所」
「俺と一緒の高校ですか!?」
「ねぇ、耳おかしいの?」
なるほど、同じ新沢高校に進学する予定なのか。そうかそうか、姉妹そろってそんな俺とスクールライフを堪能したいか。期待には応えてあげないとな。
同じ高校に、お嬢たちと一緒に通学できるって事か! そう考えると非常にワクワクするな。まさに青春ぽい。
「こういうの聞くのも何なんですけど、早苗お嬢って偏差値的な問題はどうなんですか?」
「もちろん足りないのでコネを使う」
「清々しい!!!!」
ドヤ顔で答える早苗お嬢。ステキです。まぁ、そこは金持ち。使えるものは使っておかなきゃだな。それに、早苗お嬢の副担任はあの鬼船さんだ。
鬼船さんとは、この鳳咲家の執事長の方だ。常に着物を着ていて、エロゲをしている。ぶっちゃけ俺と気が合う。出番は屋敷のキャラで随一少ない。次点で笠神さん。
そんな鬼船さんは、今年の4月から早苗お嬢のいるクラスの副担任として1年限りの契約をしているらしい。「副担任」とは名ばかりで、特に授業をするわけでもなく、早苗お嬢の「護衛」的な感じらしい。もちろん、鬼船さんは学校からお金は貰っていない。
いわゆる、そこで何らかのコネクションがあるのではないだろうか。もしくは財力という一方的な暴力。
「…なら、なんで勉強してるんですか?」
「それがね、基礎学力は最低でも身に付けろって鬼船に言われた」
「鬼船さんも、そこはしっかりしていますね」
鬼船さんも意外としっかりしていた。そこは早苗お嬢のことを思ってのことだろう。それにしても、そうとなっては俺も早苗お嬢の応援をしない訳にはいかない。何かお菓子とお茶でも持ってきてあげようか…。
「ところで中卒執事の時雨君」
「唐突に心抉りに来たァッ!! ってちょっと待ってください! 前はそうでしたけど、今となっては高校生と執事両立してますから!!」
言われが悪いな…。確かに俺は中学卒業して、色々あって執事になったが、高校に行きたい欲はあったし、高校で、あんなことやこんなことする性欲も有り余っていたんだ!
「…で、なんでしょうか?」
「勉強を教えてくれてもいいよ」
「えっ、保健体育でよければ!」
「ごめん」
謝られた!!! なんで!!
英語とか人並みにできるとは思うけど、保健体育の体の仕組みの分野に関しては100点以外取ったことないよ! 俺、将来保健体育の先生になりたいな。合法的に女の子に教えることができるんでしょう?
「まぁ、いいでしょう、俺もだいぶ鈍ってはいますがある程度なら教えることはできると思いますよ」
「やった~」
「ただし条件があります」
「じゃあお姉ちゃんに頼む」
「あああ、嘘ですうう!」
この機を狙って、何らかの条件を出そうとしたが無駄だったようだ。どうやら、早苗お嬢にはある程度俺の考えが読めているらしい。そこまでいったら結婚だよね。
「時雨の条件は大体エッチなことだもん」
「えええ!?」
「そんなびっくりされても」
「失礼な! 添い寝1年分の権利を貰おうとしたのに!」
「うーん、それはちょっと違うからセーフかもしれない」
「えっ、じゃあいいんですかーーーーーーー!!!」
「それとこれとは別」
「…なん…だと…?」
「そんな必殺技決めたけど、倒せなかったみたいに言われても…」
「まぁ、いいです。もう添い寝なんて何度もしてるんで」
「衝撃的な事実…」
「早月お嬢ほどではないですけどね!」
「ああ、お姉ちゃんも頑張っているんだね」
3日に1回は早苗お嬢のベッドにもぐりこんでいます。早苗お嬢は普段からなかなか起きないから、早月お嬢みたいに、起きてすぐ発狂することはなく、俺が普通に先に起きて、部屋を出ちゃうから気付かなかったようだ。ちなみに他2日は早月お嬢です。毎日がハッピーデイ。
「まぁ、いいではないですか、下着を拝借している中なんで」
「おかしい、私の了承の上ではない謎の情報が飛び交っている」
そう、前回にもあったが早苗お嬢の下着はある程度チェックしているぞ。もちろん俺は真摯だから匂いは嗅がない。
「大丈夫です。被ったり、着たりしてるだけなんで」
「うん、まだ被ってるだけなら、私の中では情報処理できたけど、なんで女性用下着を身に付けているの?」
「男の子だって女の子に憧れているんですよ」
「時雨の変態さん」
「アッ…もっと言ってください!」
「罵倒して、これほど後悔したことはない…」
まるでゴミ屑を見るかのような視線を浴びせられた。でも仕方なくない!? 女の子に罵られるなんて最高じゃないか! しかも聞いた? 変態さんだってよ! 変態じゃなくて、変態さん! なんかいいよね。
「それはともかく、勉強を教えなきゃですね! ところで、新沢高校志望ってのは、やっぱりお姉ちゃんと一緒だからですか」
「それもあるけど、家から近いから」
「ですよねぇ」
ぶっちゃけ笠神さんが送迎してくれるから、その面では問題ないと思うけどね。まぁ本心はお姉ちゃんと同じ高校に行きたいんだろうな。
「それと…」
早苗お嬢が、そう口に出した後、何故か下を向いて黙った。ん?? どうかしたのか? もしかして体調が悪いのか? そう思い、俺は早苗お嬢の両肩を優しく掴み、顔を近づけた。
「早苗お嬢、体調でも悪いんですか?」
「そういうわけではない」
「ん? じゃあどういう…?」
「…悔しいけど、時雨もその高校にいるなら、楽しそうだなって思っただけ」
「…!? 早苗お嬢、好き!!」
俺は、早苗お嬢の両肩に触れている自分の手を、そのまま早苗お嬢の背中に回した。
このあと滅茶苦茶ぶっ叩かれた。
最後まで読んでいただき本当にありがとうございます。
次回の更新も、おそらく一か月後になってしまうと思いますが、気長に待っていただけると嬉しいです。
7月中旬から本格的に本編再開する予定です。