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第50話 けっきょく恥

ギリギリ火曜日に更新!

前の話で、バレンタインデー当日となっていましたが前日の間違えです!とんでもないミス!


 俺がチョコレートが欲しいことが早月お嬢にバレてしまった。正確には俺がバラしてしまったといっても良いくらいだ。…しまった。俺の失言、元い妄言のようなことを言ったせいで俺の欲望がバレることになるだなんて…失敗した。ここで俺は何を言うべきだろうか、そんな事ないし! とか言うべきだろうか。いや、それは逆効果になりかねない…。下手すると俺は本当にチョコがいらないと思われてしまうやもしれん。なら、ここでいっそ開き直っちゃえばイイんじゃね? そっちのほうが寧ろイイよね。っていうかチョコ欲しいのなんて男なら当たり前のことだよね! なら俺が欲しいって直接言ったって悪いことなんて何もないよね! しかしストレートにチョコくださいとかは面白みに欠けるし、断られそうだ。何か機転の効いた事を言うべきだろうか。さっきみたいにチョコレート風呂みたいなのはNGだ。絶対断られる。いい案なのに…。

 

「何考えこんでんのよ?」


 早月お嬢が急かすように俺に問うてくる。俺はその問に反射的にチョコが欲しいです! と口走りそうになったが寸前で食い止める。ここで言ってしまうのは早すぎる。だがしかし、ここで何といって乗り切るべきであろうことか…。何か話題を探そう…。例えば…。俺は色々と頭の中で話題になりそうなものを探し出す。


「そうだ早月お嬢! 学年末テスト期間迫ってますけど、早月お嬢ってもう勉強始めてます?」

「え? …まだだけど」

「あぁーそうなんですかー…今回余裕そうですか?」

「微妙なところね…アンタはどうなのよ?」

「赤点は取らないで済みそうってところですかねー…」

「へぇ…」

「…」


 アカン…。会話が全く続かないし、まして早月お嬢がまったく興味を示していない話題だった。…あぁもういいや! 話題作るの面倒くさいしソワソワしてると早月お嬢にキモがられてしまう。もう言おう! 直接言っちゃえばいいじゃないか! もう前回思ってたことはナシだ! ズバッと聞いて、セクハラしておわりだ!


「早月お嬢」


 俺は勇気を持って声を出した。気のせいかいつもよりトーンを下げてでの発言なので、シリアスさが増している。早月お嬢は何よ? と言う。

 ほんの暫く目を閉じて黙った…。言葉を頭の中で整理している。そしてようやく目をカッと開いて言う。


「さ…さささ早月お嬢は、明日、誰かにチ…チョコをあげる予定とかあるん…ですか?」


 頭の中で整理してこのザマである。緊張しすぎてマトモにモノも申せぬ。それに誰かにチョコを上げるのか? という質問がナンセンスじゃないか。ここは俺にくれる予定ありますかとかのほうが良かったんじゃないか! …そもそもこういうのは当日まで黙っておくのが一番いいと思うということに関しては触れない。

 俺はそう言ったあと、早月お嬢のこれから言うことが気がかりで、目を閉じて頭を伏せる。そして早月お嬢は、


「やっぱその話なのね」


 と言う。やはり前話の失言が大きかったようだ。もうバレバレじゃないか。なんだ恥をかいた。これじゃ早月お嬢の下着を漁ってたほうがまだマシだ。俺が複雑に考えていると早月お嬢は言う。


「そういうのって当日まで黙っているのがマナーってもんじゃないの?」


 そうだ。そのとおりだ。早月お嬢が言ってることは至極真っ当、正論である。というか何で俺こんなことしてるんだ。前の話忘れちゃった。何で俺って早月お嬢にチョコもらえるかどうか聞こうとしているだっけ? 何馬鹿やってるんだ俺。チョコをもらいたいという欲が俺を惑わせたか。浅はかだ。


「まぁ、バレンタインが近づいてきたらいずれは聞いてくると思ったわよ」


 やっぱそう思われてたんだ。まぁ実際にそうだったんだから何も言えない。俺はここでおこがましくも、


「それで…チョコは…?」


 自分の情けのなさに悲しくなる。しかし聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥だ! さぁどう答えてくれるのだ早月お嬢は!!


「考えてないわ」


 ………え? 早月お嬢様? 今なんて? 考えてない? もう前日だよ? 前日の夕方だよ? 早く作ったほうがいいんじゃない? 


「正直時雨に言われてさっき思い出したくらいよ」


 いやー嬉しいなー早月お嬢が俺のためにチョコを作ってくれるなんて……うん? 思い出した? さっき?


「はぁぁあぁああああああああああああ!?」

「うるさいわね何なのよ」

「だって! だってだってだって!! 早月お嬢がバレンタインデーを忘れてただなんて! 好きな人がいる子は絶対に忘れちゃいけない一年に一度の盛大なイベントでしょう!!??」

「そうは言われても…好きな人いないし」

「俺は!?」

「使用人」

「確かにそうですけど!」


 これは盲点だった。まさかバレンタインデーそのものを忘れているだなんて…女子にあっていいことなの!? 男子絶対に忘れないと思うよ!? いや、でも考え方を変えてみよう。まだ間に合う。材料さえあれば絶対に間にあうのだ。きっとこの屋敷のことだ。板チョコくらいあるだろう。


「早月お嬢…まだです…まだ間に合います! 頼む! チョコだ! チョコを! 作ってくれ!!」

「そんな懇願されても…面倒くさいし」

「…そ、そんな…!」


 ショックで俺は倒れこむ。こんなことってアリかよ…あんまりだ…。何がいけなかった? もしかしたら俺の失言が原因で早月お嬢がチョコを作る気を無くしてしまった可能性がある。じゃあこれはバレンタインを忘れた早月お嬢のせいじゃなくて俺のせいということになる。つまりチョコをもらえないのは全て俺の責任であり、作ってもらえなかったことに対して恨み言は言ってはならない。言う資格もないし、俺が悲しむ資格すらない。ハハ…これじゃチョコ貰えないのも当然の話だ。これは早苗お嬢にも早月お嬢にも貰えないんだろうな…。おかしいな、目からしょっぱいものが流れ出てきてやがるぜ。…もうこの場にいるのも辛い。一刻も早くここから退こう。


「うわああああああああああああああああああああああ」

「!?」


 俺は倒れた体を両腕で起こし、立ち上がってすぐさま早月お嬢の部屋から出て行った。この速さ凄まじい。俺は今、風になった。部屋に戻ったら寝よう。




「…いきなり走り出して何なのよ時雨のやつ…」


「…」


「つい変な嘘ついちゃった…今更作りづらいな…」





今週の日曜…といいたいところですが、スランプと多忙なため2、3日もしくはそれ以上遅れるかもしれないですがお許しを!!!

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