第5話 あなたのためなら一肌脱ぎます
「えっと、なになに…私は時雨が好きなので、時雨と結婚するのが私の夢です。っとこれを英訳ね」
「何よその文章は!?」
「いや、自分自身の自己紹介文を書けってあるのでとりあえず、早月お譲のありのままの気持ちを英訳しようと…」
「いやいや! どこがありのままなのよ! 私の気持ち全て書き変えられてるじゃないの!」
こんな感じのやり取りをしながら俺達は午後8時を回った頃に早月お譲の宿題を手伝っていた。
う~ん、ありのままに書いただけなんだけど…。
「じゃあ何を書けばいいって言うんですか!?」
「いいわよそこは私が書くから!」
仕方ない、と俺は思い、次の問題を解くべくページをめくった。
「そういえばお譲の通ってる学校って、お嬢様学校なんですか?」
と俺は何となく思ったことを口にしてみた。
実際のところ俺は早月お譲や早苗お譲の通ってる高校や中学校のことを詳しくは知らない。彼氏としてそれは頂けないことではあるまいかと思うのだよ諸君。
「ごく普通の学校よ、お嬢様学校なんてところ行きたくないもん」
「へぇ~、意外ですね。お金持ちって何かそういうところ行くイメージなんですけどね」
「勝手なイメージしないでよ。苦手なのよね、いかにもお嬢様です~って感じが」
「はは~、まぁ早月お譲がごきげんよーとか言うの想像できないですもんね」
ある漫画やアニメだとある、おーっほっほっほとかいう笑い方、早月お譲がしてると思うと流石に考えられないしね。
でも、実際にそんな独特な笑い方してる人居るのかな…。
「じゃあお譲、そのお譲の通ってる学校ではお嬢様キャラで通してる感じですか?」
「だからね~、私そういうお嬢様だとかそんな扱いされたくないから隠してるわよ。何か嫌じゃない? お金目当てとかで近寄って来られたりしたことあったし…」
「へぇ~やっぱり大変ですね~」
やっぱり、お金持って言うと表面上では仲良くしてるけど、実は金目当てっていうのがあるんだよなあ。…何か変な話をしてしまった所為で少し空気が悪くなってきた。
お譲はひたすらノートに数学の問題を解いてるし…。
うーん、ここで何か面白いことを言えないだろうか。何か良い話題とか……、だめだ、ギャルゲーやったことしか話題ないわ。
まぁ、こんな時はお譲に告白しよう。何がいいかな~。おっぱい揉ませてくださいって言ってもお譲には胸はないし…。
「何か今、すっごい失礼なこと考えてなかった!?」
「え!? もはや以心伝心するなんて俺らラブラブカップルになれますよ!」
「失礼なことを言ったことは否定しないの!?」
「お譲、好きです大好きです! 愛してます! 俺と付き合ってください!!」
「だからあんたは何でそう急に告白し始めるのよ!!」
「俺は頭に過った感情をそのまますぐに言葉にしたまでです!」
「だから、そう急に言われるとこっちも対応に困るのよ!」
「じゃあ付き合ってくれるってことでいいですか!?」
「いいわけないでしょ馬鹿!」
頬を紅潮させて、声を上げる早月お譲は何か小動物的な何かを思わせて萌えた。フフッ、これは完全攻略もそう遠くなさそうだな。
「…えっと、お譲は俺と同じ16歳でしたよね」
「そ…そうだけど何なのよ?」
「何かあれじゃないですか?そんな幼い体付きなのに、もう結婚できる歳って言われると…何か…興奮します」
「へ、変態だあああ!」
「失礼な、仮に変態でも俺は執事ですよ」
「変態という名の紳士です。風な言い方やめてくれない!? っていうか幼い体付きってどういうことよ!」
「そのままの意味です」
「失礼な! 私は立派な高校一年生なんだけど!」
「え!?」
「何でそこで驚くのよ!」
冗談ながらのこのようにお譲と雑談を交わすのはすごく楽しいと思った。
お譲は若干不満そうに見えるが。
「って、お譲…全然宿題進んで無いじゃないですか、ちゃんとやらないとだめだぞ✩」
「うっ…殴りたいかも」
「是非殴ってください! むしろご褒美です!!」
俺は燕尾服、シャツをすべて速攻で脱ぎ捨てた。
「何故そこで脱ぐのよ!? 早く服を着なさいよ!」
と、お譲は俺を殴らず両手で顔を隠した。俺の肉体美に心打たれたか?
「お譲、そんなにじっと見られると照れるじゃないですか。まぁ、どうしてもって言うなら下も脱ぎますけど」
「下は脱がなくていいわよ!!」
「じゃあ俺は見せたから、次はお譲の番ですね!」
「何!? 順番とかあるの!? って、脱がないわよ絶対!」
むー、恥ずかしがらなくてもいいのになぁ、でもそんな早月お譲が俺は大好きでございますぜ!夏だから上半身裸だと涼しくていいな! 下も脱いだらどれだけいいだろうか。
早月お譲とあれこれとしていると、早月お譲の部屋のドアがゆっくりと開いたのが見えた。
「お姉ちゃん、英語でわかんないところがあるんだけ……」
早苗お譲が部屋に入ってきたと思えば、何故か時間停止してかのように言葉を切った。
「お楽しみのところ、お邪魔しました」
と、言って早苗お譲は部屋から出て行こうとした。その時、早月お譲が椅子から立ち上がり、
「ちょっとちょっと! 何か色々と誤解してるわよ早苗!」
「え? お姉ちゃんが脱がせたの?」
「あんたが何をどう誤解してるのか分からない!!」
俺も正直何をどう誤解しているのかよく理解できなかった。それ以前に早苗お譲が自らの足で早月お譲の部屋まで歩いてきたことに驚きなのだが…
「早苗お譲も脱ぎますか!」
「私は遠慮しておく…」
「じゃあ結婚してください!」
「…それは考えとく…」
「マジですか! うっひょおおお!」
やったー! これで早苗お譲は俺の嫁になる!嫁になるってことはあんなことやこんなことをやり放題ってことだよね!
「嘘だけど」
「"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"! だま"ざれ"だあ"あ"あ"あ"あ"!」
「私の前で妹を口説くな!」
早月お譲は可愛らしい拳で俺の頭をゴツンと叩いた。
「いてっ、…心配しなくても早月お譲も俺は受け入れますよー、嫉妬しなくてもいいですよー可愛いな~」
「しっ!? 嫉妬なんてしてないわよ! ただ私の前で妹が口説かれてるのが嫌なだけで…」
「お姉ちゃん、照れ隠しにしては下手だね」
「うるさいわね! 違うって言ってるでしょ!」
必死で否定しようとする早月お譲は可愛過ぎてお持ち帰りしたいレベルだった。
「早月お譲…なんて可愛いんだ」
「時雨! あんたはいつまで裸でいるつもりなのよ!」
「早月お譲が脱ぎ終わるまでのつもりです!」
「もういい! あんたは黙ってて! ハンター○ンターが完結するまで!」
「それ本当いつまでですか!?」
なんて、話をしているともう時計の針はもう午後10時を回っていた。早月お譲の宿題…結局半分も終わらなかった。
…5話に渡ってこの鳳咲家の屋敷での一日を紹介したがこのテンションのまま一体どうなるのか俺には見当がつかない…
でも、俺が思うことは可愛い女の子がいっぱいいれば…それだけでいいってことだ。あと彼女募集中です(複数可)。
5話を渡って1日をお送りしてみました。
次回からは普通に夏休みならではのことをしたいとは思っています。
こんな下らない小説を読んでくれた人には本当に感謝です