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第4話 見かけで判断してはならない

中学の時、俺は男子校に通っていた。それもどちらかと言うと不良が多いところだった。だから俺は男だらけのむさ苦しさに3年間苦痛を覚え、嘆いていた時期があったんだ。

俺は中2になったとき、ゲーム店であるものに出会った。それはギャルゲーだ。俺はこのゲームに出会っことで、青春は素晴らしいと思わされた。後エロス。

 そして男子校に入学してしまった自分をこれぞと言うまで攻め続けた。

 そして今になって、執事になってからはゲーム等はやれないとは思っていたのだが、たまにやる機会を得ることができた。


「あれですね、女の子は二次元や三次元どちらにも良さがありますよね」

「あぁ、だが攻略するには二次元に限る」


 このテレビに目を向け、コントローラーを握っている男は鬼船幸助きふねこうすけ、この屋敷の使用人を纏め上げる役割を持ち、使用人の中で最も最高職務である執事長である。

 鬼船さんと俺は、たまに休みになると一緒にゲームをするという仲になった。


「しかし、貴様に借りたこのギャルゲーの幼馴染、何故こんなにも攻略が難しい? 選択肢が10個あるぞ」

「はい、俺も愛華あいかちゃんと結ばれるためにかなりの時間を費やしてしまいました…しかしその分に迎えるEDの達成感は素晴らしいですよ!」

「むむ…左様か」


 執事長と言う割には、この人はあまり仕事はしない。右側の顔を覆い隠すほどの茶色の長髪。執事なのだが燕尾服えんびふくを着ていなく、浅葱あさぎいろの着物を着ている。

 そのような執事長と今やっているギャルげーのヒロイン、愛華ちゃんの攻略を一緒にやっていた。


「あ…あのー…そろそろ、仕事に戻ってくれると僕としてはありがたいんですけど…」


 俺と鬼船さんがテレビ画面に体を向けているその後ろに笠神かさかみさんが申し訳なさそうに正座して俺らを待っていた。


「笠神さん、悪いですけど今は愛華ちゃん攻略中です。邪魔はしないでください」

「笠神、攻略を邪魔するというのなら、貴様とてタダでは済まさぬぞ」

「……はい」


 シュンとなって笠神さんはその場から離れて行った。

 いくら笠神さんと言えど、俺のゲームでの初恋相手である愛華ちゃんの攻略を邪魔されるのだけは許されないのだ。

 今は鬼船さんにこのゲームの良さを知ってもらうためにもギャルゲーには邪道だが、一緒という形でやらせてもらっている。それにしても愛華ちゃんは可愛い。


「しかし、この愛華という女子おなご、何となくなのだが早月さつきお譲様に似ているようなのだが…」

「分かります!? そうなんですよ! 愛華ちゃんと早月お譲そっくりですよね!」


 そうなのだ。この如月愛華きさらぎあいかはこの屋敷の主、鳳咲早月おおとりざきさつきにとてもよく似ているのである。

 双尾ツインテールの紅色の髪。少し華奢きゃしゃな体つきなのだがお譲とは違い、胸が大きい、巨乳だ。この点においてはお譲とは全くと言っていいほど似ていない。全くね。

 しかしながら今見ても愛華ちゃんは早月お譲に似ている…髪といい顔付きといい。胸は・・全く違うけど。

 早月お譲を初めて見たときは感動のあまり涙が出そうになったことを俺は今でも覚えている。


「いや…しかし、胸が似てないな…」

「そうなんです…胸が…全くと言っていいほど似てないんですよ」

「胸…か…」

「胸が…ないんですよ、全くね」

「無いというのは残酷なのだな」

「えぇ、無いのは残酷なんですよ、とってもね」



「お前ら無い無いってうっさいわああああああああああああああああああ!!」



 後ろから聞こえる声に俺は驚いて咄嗟に後ろを振り向くと残念な胸…じゃなくて…苛立いらだちの顔を浮かべた早月さつきお譲がその場にいた。

 風呂上りなのか、少し顔が火照っていて、水玉模様の可愛らしいパジャマを着て、その肩にはタオルを掛けている。いつも二つにまとめているツインテールではなく、髪をほどいたストレートだ。常日頃思っていることなのだが、いつも髪型がツインテールだったりポニテだったりする子が髪ほどいていると新鮮だよね!!


「髪をほどいたお譲も素敵です!」

「うるさい馬鹿!」

「ぐへっ」


 お譲の小さくて可愛らしい拳が俺の腹に向かって飛んできた。みぞに入って俺はその場に倒れこみ体を転がし回る。痛い!


「お…お譲の照れ隠しにも困ったもんだぜ…」

「照れてないし! そもそも胸が無い無いって何なのよ! 私こう見えてもかなり胸は大きいわよ!」

「…え?」

「予想外の出来事に遭遇したみたいに言うな!」

「…なん……だと…?」

「必殺技決めたのに敵を倒せなかった時みたいに言うな!」

「う…嘘です!お譲に胸があるわけ…いや、有っていいわけないでしょう!?」

「そんなに私に胸があるのが不満なの!? 私にだってちゃんとあるもん!」

「……何カップですか?」


 あり得ない、と思いながら俺は恐る恐るお譲のバストサイズを問うた。

 少し恥ずかしそうにお譲は小声で呟く。


「…D………はあるわよ」

「嘘だ! 嘘だね! 見るからにDカップもあるわけないじゃないですか!」

「左様だな」


 俺の言ったことに鬼船さんも同意してきた。絶対にDなんて有り得ない。間違いなくA前後だ。


「あるもん! 私着やせするタイプなのよ!」

「じゃ…じゃあ、触ってもいいですか? チェッキングしましょう!」

「駄目に決まってんでしょ変態!」


 お譲は俺から少し距離をとってしまった。うーん、どさくさに紛れて触れそうだったのに…残念無念。


「そう言えばお譲、何でわざわざ執事長室こんな所に来たんですか?」


 俺の問いにお譲は、はぁ、と嘆息し、


「あんたが、夕食食べ終わってお風呂を済ましたら続きしようって言ったから待ってたのよ」

「続きってお譲…もしかして…キャッ」

「私の言い方が悪かったけど、変な解釈しないでよ!勉強の話よ! 気持ち悪いからやめてくれない!?」

「ほぅ、何の勉強なのだろうな…」

鬼船きふねは黙ってて!」


 鬼船さんが不憫ふびんだ。だが、何かエロく感じるな勉強。しかし、お譲との宿題の話を忘れていた。ギャルゲーに夢中になっていた。


「すいませんお譲、すっかり忘れてました。今からやりましょうか」

「はぁ、何か色々と納得できないけど、後で聞くわ」


 と、言うわけで今から宿題を終わらせる作業に入りたいと思う。ふぅ、これを口実にお嬢の部屋に侵入をできるね! いや、そんなことしなくても侵入してるけどね!


「ねぇ、変なこと考えてるでしょ」

「いつものことじゃないですかお嬢!」

「それもそうね…」


 納得された…まぁいいか!




一応これで屋敷に居る主要メンバーはこれで全部ですね。

読んでくれた方ありがとうございました!

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