第38話 引き伸ばした挙句
すげぇ引き伸ばしてやっと早月お嬢の誕生日イベントです。すいません
やっとこの時が来たね。今日は待ちに待った早月お嬢の誕生日だ。いろいろ無理やり長引かせて早半年近く…まったく何やってきたんだ。
俺ら鳳咲家の使用人全員で早月お嬢の誕生日会の準備に取り掛かっている最中である。幸い今日は休日なので俺も早苗お嬢も準備に参加できる。
「じゃあ行ってきますね!」
俺は久しぶりに私服を着たぜ。俺はこれから出かけることになっているのだ。もちろん早月お嬢と二人っきりでのお出かけ! イコール「デート」さ!
「なんで休日に時雨と一緒に外出しなきゃいけないのよ」
「いいじゃないですか早月お嬢が前々から望んでたことですし!」
「望んでないわよ!」
そんなことで俺のデートと言う名の任務は朝から夕方まで早月お嬢を連れて行くことである。笠神達が誕生日会の準備をしている間に俺たちは楽しくいちゃいちゃラブラブする! なんという一石二鳥なことであろうか!!
二人共玄関先で出発するとき笠神さんが俺の肩を軽く叩いた後小声で俺に囁いた。
「よろしくね。こっちはこっちでやっておくからさ」
「了解っす」
俺はグッと親指を立ててそのまま早月お嬢と屋敷を出た。
「何話してたのよ」
「いや、まぁエロトークかな?」
「…ったく、相変わらず下らないわね…」
早月お嬢は嘆息して俺の脹脛を軽く自分の足で蹴った。
「で、どこに連れてってくれるわけ?」
「ここは俺がプロデュースしたいところですけど、ちゃんボクそういうの経験ないんで早月お嬢に任せたいところですね」
「なによ、こないだ早苗と一緒に出かけてたじゃない」
ん? おやおや? これはもしかして早月お嬢は早苗お嬢と放課後買い物に行ったことについて嫉妬なさっておられるのか? だとすると、これは俺に対して何ら感情が芽生えていると思ってよろしいのだな!? フフフ、普通の鈍感ラノベ主人公なら気づかないであろう些細な音でさえ俺は聞き取ることができるのだよ! これがニュータイプの力だ!
「嫉妬をしてくれるのは俺としてはとっても嬉しいことですけど、あれは元々行く場所が決まってたことなんで」
「嫉妬じゃないわよ!」
「まぁまぁ。いいじゃないですか人間なんだから嫉妬の一つや二つするのも当然なことです! So! 当然!」
「…一々癪に障る言い方するわね! いいからどこ行くか決めなさいよ!」
「はいはい」
「…うぐぅ…」
ちょっと悔しそうな表情な早月お嬢、随分出だしからこの雰囲気だ。これは夕方まで持つか俺にはなかなか大変なことのように思えてきたね。ま! 早月お嬢と半日ずっと一緒に入れるって思っただけでハッピーうれぴー!
「じゃあこうしましょう! 遊園地とか動物園、水族館なんて王道でしょ!」
「ごめん、私そういう所どこにも行ったことない…」
「えぇ!?」
予想外だった。確かに早月お嬢がテーマパーク類に行ったことがないとは…。まぁ俺も小学校以来そんなに行った記憶がないけどさ…。まぁ、これはこれで好都合!
「じゃあ早月お嬢、その中からどっか行きますか!」
「えっと、私遊園地行ってみたいかも…」
「よし決定! いざ出陣! 東京ディ○ニー○ンド!!」
「そこは遊園地というより国ね……そこは危険だからやめましょう」
「じゃあ近場の遊園地で!」
ここから近場の遊園地といえばそこまで大規模なところではないがあるにはある。まぁ初めてにはちょうどいいんじゃないかな。俺もその遊園地には行ったことないし。
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「ほーそれなりに人来てますね」
「人ごみは苦手ね…」
「じゃあ入場券買ってきますから待っててください! …もしかすると早月お嬢は小学生料金で…ぐへッ!?」
蹴られた痛い。
「誰が小学生よ! それに違法!」
「じょ、冗談ですって…」
結局二人で入場券を買うために列に並んだけど、もうすでに開演されているので対して入場口はそこまで混んでいなかった。
俺たちは入場しすぎた後パンフレットを見ながら早月お嬢に声かけた。
「さて、まずどこから行きますか?」
「私一回でもいいからジェットコースター乗ってみたいの!」
「え、でも…」
「身長は多分足りるわよ」
「お、おぉ…ご理解がお早いようで…」
何か俺の言うことを早月お嬢見据えてきたんじゃないかな? まぁ何か嬉しいけど
「まぁとりあえず早く行きましょ、ジェットコースターとか混みやすいですし」
「そ、そういうもんなの?」
俺は早月お嬢の手を引き、パンフの地図見ながらジェットコースターある方面へ急ぎ足で向かった。
「早月お嬢…何か普通になってますよね?」
「何がよ!?」
次回更新来年の1月の下旬になりやっせ