第26話 一身一変
「欲求不満なんです」
「私に言わないでよ!」
よく考えてみてくれ、おかしいだろ絶対…もう26話ですよ!? 全然話が進んでないじゃないですか!! 少しくらい俺との関係が発展してもいいと思う頃合なんだけど! なんで俺こんな扱いなわけ!? わっけわからん!
「お嬢、今しかありません…俺と付き合ってください」
「アンタ1日1回は言ってるけど飽きないわけ!?」
「飽きるわけないに決まってるでしょうが!!!」
「きれた!?」
そろそろ限界だってば、もう限界…。俺にもそろそろ運が回ってきたんじゃないんだろうか。ラッキースケベとかアダ名付けられたりしたいんだよ。ただのスケベから卒業したいんだよ。
「それに、そろそろこの物語ネタギレ気味じゃないですか! そろそろ何かしましょうよ!」
「ネタギレとか言わないでよ! それに…季節ネタとかあるじゃない!」
「えー、そんなことよりエロイ話がいいです」
「そんなことばっかり言ってるからアンタはモテないのよ！」
「……えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「今まで気付かなかったの!?」
なん……だと……? 今まで俺がしてきたことは何だ……? のぞきに下着漁り、部屋に侵入、セクハラ……確かに少しはそれらしいことはしてきた気がする。でも少しだけだ! ホンの少しだけなのに…。何てこった……俺はちょっとエロイ事してるからモテなかったのか!!
俺の中で何かが崩れる音がした。俺がモテない理由…ついに分ったてばよ! そうとなったら話は早い! これからは俺は身も心も入れ替えて、紳士に生きてやる!!
「早月お嬢様、私はこれから貴方に忠実を誓います」
「え…えぇ!?」
「どうか今までの無礼お許し願いたいです」
「え、あ……ちょっとどうしたのよ時雨?」
「今までの己自身の失態を省みました…これからは身も心も入れ替えました。どうかこれからもよろしくお願いいたします」
もうこれ以上の失態を犯せない。この身尽きるまで早月お嬢様に従うぜ。俺は一度深々とお辞儀をして早月お嬢様と目を合わせた。
「早速ですが、私に何かできることが無いでしょうか?」
「え…えっと…」
「何もございませんか?」
「じゃ、じゃあ…何か飲み物でも…」
「こちらドクペでございます」
「はやっ!?」
俺はちょうど持っていたドクペを早月お嬢様にお出しした。早月お嬢様は少し躊躇したようだが「ありがとう」と言い、それを受け取った。
「他に何かご用件は無いでしょうか?」
「えっと……ちょっとこの部屋暑いかなー」
「汗をかかれたのですか? 服の替えをご用意いたしましょうか?」
「いやいや! 汗かいてないし! ただ暑いだけよ!」
「ではエアコンの電源を」
「よ、よろしく」
俺はエアコンのリモコンを手に取り、涼しくなる程度の温度に設定した。
「でわ、次は何をいたしましょうか?」
「うーん……もういいわよ十分」
「よろしいのですか?」
「いいわよ」
「本当によろしいのですか? ……もう私は用済みですか?」
「何か凄く面倒くさい奴になってるじゃない!!」
あれ? ちょっとだけ違和感が…いや、これで良いはずだ。俺はこの状態でいれば遅かれ早かれモテる男になるはず…。
次回『来週の土曜日』更新予定です。…あ、やっぱ25日で
