第25話 寝起きは悪いほう
眠い…やばい…頭がくらくらする。俺は眠らないように目をパチパチと閉じたり開いたりという行為をずっと繰り返していた。あの事件の後、学生服に着替えていつも通りお嬢にセクハラして一緒に登校してきてきた。
後1分…後1分で授業が終わる……とりあえず昼休みになる! これで少しは寝れる…!
眠気のせいで授業の内容がまったくといっていいほど頭に入ってこない。俺は眠気を誤魔化すために取り合えずエロイ妄想全快である。
すると学校中に授業終了のチャイムが鳴り響いた。学級委員長が号令をし終えたと同時に俺は机に伏した。
これでやっと寝れるぜ! 今なら1分目を閉じているだけで寝れる気がする。
俺が眠りに付こうとしたのだが早月お嬢が邪魔するかのように俺に話しかけてくる。
「アンタ授業中ずっと眠そうにしてたわよね、そんな寝てないの?」
「悪いですけどいちゃついてる時間はないです」
「別にそんなこと私は求めてないわよ」
お嬢の反応がまったく頭に入ってこない程眠くなっている。そろそろ頭の中で考えるのも不可能になってきたのでもう思うがまま寝るとしよう。
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「起きろ双馬時雨」
俺は誰だろうか…机に伏している俺に対して話しかけてきた。眠りを妨げられた俺は若干ながら不機嫌な顔をしていたであろう。
「…なに?」
俺はボーっとした目を擦って目の前で俺を見下ろしている男に曖昧な返事をした。
「生徒会の活動で忙しかったから君に話しかける機会が無かったからな…朝礼では随分面白いことを言ったようだね」
何だまたか…。またゴリラ崎みたいな奴でもきたのか…。せっかくの俺の睡眠を邪魔しやがって…。
俺はそんなことをボーっと考えているとその目の前に男は話を続けた。
「少し話をしようか」
「遠慮しときます」
俺はきっぱりと断って再び机に突っ伏した。すると男は驚いた反応をして俺の目の前で大きな声を上げた。
「ね、寝るな! 僕が話しているんだ!」
「そもそもお前誰だよ…」
「君は僕を知らないのか!? 生徒会の副会長、このクラスの学級委員長、北王子三茅だ!」
「え、西王子?」
「違う!」
「八王子?」
「それは地名だ!!」
「北大路?」
「おしい! おしいが違う!! そっちは100%のほうだろう!」
「残念だが俺は西野派なんだ」
「そんなことは知らん!」
少し目が覚めてしまったので俺は仕方なく顔を上げて北王子を見る。言われてみれば見覚えのあるような顔をした優等生面だ。
「ところで名前は?」
「だから北王子だっていってるだろ!」
こんな茶番のせいで授業開始のチャイムが鳴り始めてしまった。結局10分くらいしか寝れなかったのだ。あと2時間耐えなければならない…