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第22話 危機に陥った男

しばらく短めの話が続くかと…


俺の名前は双馬時雨、中学のときは無双の暴れ馬だの痛いあだ名を付けられたり、今では鳳咲家の使用人として勤め、その合間に高校に通わされるという中々なハードな人生を歩んでいる俺だが、ここに来て今、かつてない危機に遭遇している。


「……こ、これはっ」


 現在平日の深夜、お嬢たちや、使用人の皆が寝静まった時、俺は独り使用人室へ行った。その目的はパソコンだ。この屋敷には個人のパソコンは早月お嬢、鬼船さんしか持ってない、だから俺はパソコンを使いたいときは使用人室へ行くしかないのだ。

 故にエロサイトはこの場でしか見れないのだ。分るだろう、男たるものエロサイトを見ないと力が出ないんだ。

 そういうことで俺はエロサイトを徘徊していたのだ。



 だがそこに悲劇が起きた。



 俺は動画を見ようとした。どのような動画かは察せるだろう。

 安易だった。油断した。

 

 まさかワンクリック詐欺に会うなんて……!!

 それもサイトの広告がデスクトップ上に出てきて消えないやつだなんて! やばいぞ、これがまだ個人のパソコンだったらまだ大丈夫だ。無視していればいずれ消えるだろう。

 しかしこれは使用人たちで共有しているものだ。だからバレる。俺がエロサイト拝見してた事が皆にばれてしまう!

 …しかし考えてみる。皆俺がエロイキャラだと思って、それが定着してしまっているので別にどうということでもないのだろうか? …いや、それは違う。男からまだしも女からは蔑みの目を向けれれるに違いない。

 

「くそっ……俺とした事がこんな初歩的なミスを犯してしまうだなんて…!」


 どうしようもない事態に俺は頭を抱えた。宣伝広告を消せる方法があるのかとも考えたりしたが、生憎俺にはそういった知識、技術がないのだ。

 

「どうする、一体俺はどうしたらいいんだ…」


 間違いなく夜が明けて、俺らが学校にいる間。他の使用人の誰かしらがこのパソコンを使うだろう。そのときにこの広告がデスクトップの上に出てくる。その時、俺の社会的地位が終わる。

 最初に楓さんがパソコンを使用したら最悪だ。これは間接的なセクハラになってしまうのではないだろうか。

 俺のような清廉潔白な人間がエロサイトの住人だという事をバレたくない。


「最悪パソコンごと打っ壊すか…」


 何かとんでもない事を口走ってしまったのだが、そんな事は本当に最悪の手段だ。仮にしてしまう事態になったら俺がエロサイトを観覧していたという事実より大変な事になりかねない。


「何だこの……何ともいえない絶望感は!」


 いっそ開き直るか? もしかしたら最も良い方法なのかもしれない。やばい頭の中がこんがらがってきやがった。これは本当に危機だ。俺の社会的地位を賭けた戦いが始まる。


 


 

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