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第13話 やるべきことは早めに終わらせておけ

意外と早く投稿できました、でも次は年明けになるかもです。

「思ったんですけど何で俺って主人公補正がないんですか?」

「は? 何言ってんのよ」

「いや、だからですね…俺ってこの物語の主人公じゃないですか…なのに俺って特にエロイ展開に巻き込まれてないような気がするんですよ!」

「そもそもあんたが主人公だったってことに私は驚きなんだけど……それに何でエロイ展開に持って行きたがるのよ」

「それはタダ純粋にエロイことがしたいからです!!」

「えぇー……」


 早月お嬢と俺はテーブルに向かい合って話している状況なのだが、明らかに早月お嬢は嫌そうな顔をして椅子を後ろに引いた。

 でも男ならわかってくれると信じている。少年漫画、青年漫画…あらゆる漫画などの主人公補正「ラッキースケベ」俺はどうしてもこの能力を身に付けたいと思い日々鍛錬をしている。


「何で俺はスケベなのにラッキーじゃないんですか!? これじゃタダのスケベじゃないですか!!」

「あんたはタダのスケベじゃないわ、最低のスケベよ」

「…待てよ…人為的に起こすのも有りか…」

「何か危ない道に進んでいこうとしてるんだけど!」


 流石にそこまではしないさ、あくまで俺はたまたま起こっちゃったって感じがいいのだ。滑って転んで女の子のパンツに突進とか男の夢だろ? それでも主人公たちはあまり罪には問われないと来た。まさにこれぞ主人公補正。

 あなたはどんな人間になりたいですか? とか言われたら俺はまず「リ○さんになりたい」と言うだろう。あれは全世界の男性の憧れ的な存在だ。中学生のとき俺もどれだけ○トさんに憧れた事か…それに今はダー○ネスときやがった…是非弟子にしてください。


「ねぇねぇお嬢」

「何よ?」

「…スケベしようや」

「嫌よ! 気持ち悪い!!」

「えぇー…だめですかこれじゃ?」

「何が基準でダメなのか私には全く分からないわよ!」


 ふむ、良い口説き文句だと思ったんだけど早月お嬢には通用しないようだなぁ。今度試しに早苗お嬢に後ろから抱き着いて言ってみよう。


「俺も主人公っぽいことしてみたいです」

「主人公ぽいことって言われてもねぇ…あんたどうせエロイ事しかしたくないんでしょ?」

「なっ…貴様エスパーか!?」

「分かりきってることでしょ!」 


 確かに俺は基本エロイ事しか考えていないがそんなに分かりきっていることだったのか…。


「じゃあ早月お嬢の女友達紹介してくださいよ!」

「嫌よ! アンタなんかを紹介でもしたら私の株が急落しちゃうもん!」

「そんなことないですよ! こんな絵に描いたような理想の男性、他のどこ探してもいませんよ!!」

「時雨みたいな絵に描いたようなキモイ奴なんて嫌なの」

「ヒドイ!!」


 ここまでしても女友達を俺に紹介してくれないとなるか…。中々ガードが固い女だぜ。


「ねぇねぇお嬢」

「今度は何よ?」

「やらないか」

「やらないわよ!」

「えー、ここは乗ってくれないとー空気呼んでくださいよー」

「え!? 私が悪いの!?」

「そうですよお嬢、反省してください!」

「す、すいません……ってそうじゃないわよ! 何で私が謝らなくちゃいけないのよ!」


 何か早月お嬢がノリツッコミ的なことをしてくれた。早月お嬢も俺のノリについてこられるようになった証拠だね。


「さーて、仕事再開しますかね」

「何でそこで私をスルーするのよ!?」


 俺は椅子から立ち上がり、一度背伸びをしてから早月お嬢を見下ろすような形になり、言う。


「お嬢も今日で夏休みも終わりですよね? 明日の準備ちゃんとしなきゃだめじゃないですよ」

「……この野郎…っ」


 お嬢は拳を握り締め怒りを堪えているご様子だ。ついお嬢との話が楽しかったので長引いてしまったのだが、もう夕方だし夕食の準備を手伝わなくちゃいけないのだ。

 明日からのお嬢たちの学校が始まるためいつにもまして朝は大変になるだろう。


「俺は寝てるだろう早苗お嬢を叩き起こしに行ってきますね」

「……そういえば早苗のやつ宿題終わってるのかな」

「え…早月お嬢聞いてないんですか?」


 早月お嬢の宿題は俺も手伝いすぐに終わらせることができた。しかし、早苗お嬢は宿題のことについて何一つ言ってくれなかった。もしかしたらすでに終わっているのか? それとも何一つ手を付けていないのか?


「早苗は私に大丈夫としか言ってないのよ」

「信用ならねぇ」


 基本あの子は寝ているだけだ。最悪宿題をやっていないことを考えると俺が手伝う羽目になってしまうかもしれない。この場合早月お嬢も強制だろう。


「分かりました。起こすついでに問いただしてきます」

「うん…やってればいいんだけど」


 そう言い俺はその場を後にした。さてこれは少し大変そうだぞ。






                   ☆






 さてと、俺は早苗お嬢を無理やり起こしたわけだが、


「で、終わったんですか終わってないんですか?」

「ん~ん~…へぇ、どっちだろう」


 この野郎とぼけるつもりか…。しかしここで攻めを弱くするわけにはいかない。


「宿題やったんすか? 二つ返事でお願いします」


 しばらく早苗お嬢は上を向いたまま考え込んだような顔をして、今度は俺のほうに顔を向けて言った。


「やってない」

「ですよね」


 大方予想はついていたが、本当に宿題を終わらせていないようであった。


「一応訊きますけど、やる気…ありますか?」

「…私のやる気は全部睡眠」

「ですよねー。でも宿題やらないと先生に怒られるんじゃないんですか?」

「うぅ…どうしよう」


 はぁ…これは確実に徹夜フラグ立ちましたわ…早苗お嬢は恐らく途中で力尽きるのがオチと見える…ここは早月お嬢の力も借りないといけないな。それに俺も中学生の宿題なら何とか手伝えるだろう。


「仕方ないですね、俺が手伝いますから一緒にがんばりましょう」

「時雨…ありがとう」


 困っている可愛い女の子がいるなら手を差し伸べるのが俺の流儀だからな。あと好感度アップのためにやるべきことはすべてやるさ。


「でも俺夕食の準備しなくちゃいけないんで夕食を食べた後に俺は手伝いますから、少しでも宿題進めておいてくださいよ」

「…はい」


 少しはやる気になってくれただろうか? 正直期待はしていない。 俺は少し半信半疑になりながらも、とりあえず夕食の準備を手伝わなくてはいけないので早苗お嬢の部屋から出ようとするが、その前にもう一度早苗お嬢のほうに顔を向けてから、


「言っときますけど、寝ようとか考えたらセクハラどころじゃすみませんからね」

「は、はい」


 早苗お嬢はベッドから抜け出し、仕方ないといった顔をしながら自分の机に向かった。うん。これで心配はないかな。やる気になってくれてお兄さんうれしいよ。

 俺は早苗お嬢の部屋から出ると、厨房へ向かうべく1階へと続く階段を下りた。厨房の扉を開けると、笠神さんと楓さんがすでに夕食の準備に取り掛かっていた。


「すいません、ちょっと色々ありまして」

「どうかしたの?」


 笠神さんは軽い感覚で包丁で野菜を切りながら訊いてきた。危ないなこの人。


「どうやら早苗お嬢が夏休みの宿題ほとんどやってないみたいで…夕食食べ終わった後に手伝うって約束してたんですよ」

「あーそっかそっか、相変わらず早苗お嬢様は面倒ごとはギリギリでやる子だなあ、徹夜で終わらせようとしてるんだけど結局いつも寝ちゃって…提出期限過ぎてから提出してる感じなんだよね」

「あーやっぱしそうかー」


 まったく、少しは反省してもらいたいものだな。冬休みとかはきっちりやらせる事にしよう。


「お嬢たちも明日から学校ですし…楓さんにしかエロエロできないのか~」

「エロエロってなんですか!?」


 食器を出していた楓さんは急な俺のフリに驚いたように言ってきた。エロエロはエロエロだよな。…しかしお嬢たちがいないとなるとかなり暇なんだよな~エロサイト見るかエロ本読むか、エロゲーやるか、楓さんにセクハラするくらいしか俺にはすることがない。いや、待てよ…これだけで十分充実しているじゃないか! 幸せ!


「あ、そういえば時雨君さ~」

「ん、何ですか?」


 笠神さんはまな板に目を向けたまま俺に話しかけてきた。俺が反応すると、笠神さんはもう一度口を開いた。





「急で悪いんだけどさ………」






                     ☆





「さて、始めるとしますか!」

「よろしくー」


 夕食を食べ終わった俺たちは宿題を徹夜で終わらせるため早苗お嬢の部屋に集められた。訊いて分かる通りまったくやる気がない早苗お嬢を何とかしてもらうためにも早月お嬢にも何とか協力してもらうことに成功した。


「よろしくじゃないでしょ! 私は前にも宿題ちゃんとやってるのか訊いたわよね!? あんた大丈夫って言ってたじゃない! 結局何もやってないのにここまで来ても私たちに任せるつもりでいるわけ!? 言っとくけど私たちは少ししか手伝わないからね!」

「うぅ…ごめんなさい」


 流石姉といったところか、これでちゃんと反省してくれているだろう。でも…


「でも早月お嬢、俺早月お嬢の宿題半分くらいやった気がするんですけど…」

「う…あんたは黙ってなさい! 地球滅亡の予言が当たるまで!」

「それいつまで黙ってればいいんですか!?」


 前の予言も当たらなかったし…。次はいつになるかな~。


「って冗談言ってる暇ないですよ! 一刻も早く宿題を終わらせてしまいましょう! 早苗お嬢、宿題はどのくらいあるんですか?」

「えっと、待ってね」


 早苗お嬢が取り出したのは3冊の大学ノートほどの厚さのワークブック。そして20枚程度のプリントの束だった。多いか少ないかといえば多いかもしれない…。でも3人でやるなら案外早く終わりそうだ。


「じゃあ俺は英語を片付けるとしますか」


 俺は英単語がみっちし書いてあるプリントの束を手に取った。この程度なら1,2時間もあれば終わるかもしれない。あくまで中学生の英単語だ。すると早月お嬢は一冊のワークを取ったり、パラパラと捲りだした。


「このくらいの数学なら私にも解けるかもしれない…これ私がやるわ」


 早速早月お嬢はそのワークを開き、問題を解きだした。残りの宿題は理科と国語…それは早苗お嬢に全部やってもらおう。もし俺が早く終わり次第どちらかを手伝う。


「じゃあ俺もやろうかな…」


 俺も右手にペンを持ち出し、英単語を書き始めた。どうやら早苗お嬢も理科から取り掛かっているご様子だ。俺たちはしばらく沈黙のままひたすらに目の前の課題を取り組んでいた。





                         ☆





 1時間が経って、予定より早く課題を終えてしまった俺は少し休憩を取るために早苗お嬢のベッドに潜り込んだ。


「早苗お嬢のに匂いがする! うひー!」

「人のベッドに寝転がるのやめてほしいんだけど…」

「良いじゃないですか! うひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」

「宿題手伝ってもらってる身分からして何も言えない…」


 俺は早苗お嬢のベッドで暫く遊んでいよう。俺が早苗お嬢のベッドを堪能しているのをチラリと早月お嬢は見た後、私のじゃないから関係ないやと言いたげな顔をして再びワークに目を戻してしまった。やったー! 今日は早月お嬢はやさしいぞー!

 さてと、そろそろベッドで遊ぶのも飽きたな。ん~暇だな~、何をしよう…。


「いやいや、何で服を脱ぐの」

「え?」


 なんと! 気づいたら俺は上半身丸出しになってしまっていたのだった! あまりにも暇だと俺は服を脱ぐ習性があるようだ。以後気をつけよう。


「あ、俺のことは気にしてないで宿題を終わらせることに専念してください」

「半裸の状態で私のベッドに寝転がらないでほしいんだけど」

「早苗お嬢! そんなこと言って宿題やりたくないんでしょ…だめですよそれじゃ! しっかりしてください」

「ご、ごめんなさい」


 早苗お嬢は俺から目を離し、ワークの続きを開始した。さて、また暇になったな今度は何をしよう。


「いや、何で私の下着を漁ってるの…ていうか何で今度はパンツ一丁になってるの」

「え?」


 おっといけない、俺としたことがツイツイやってしまたぜ。早苗お嬢はキャラ物と純白のパンツか…なるほど、早月お嬢は確か縞パンだったし姉妹の趣味は違うものだな。


「時雨、何で鼻の下伸ばして私の下着をずっと見てるの」

「早苗お嬢、俺のことはいいんです、ちゃんと今やるべきことを成し遂げてください」

「……わかった」


 再び早苗お嬢は課題に取り組みだしてしまったので俺も今やるべき課題に取り組むことにする。ふむ、早苗お嬢のブラか、個人的にはまだ早いと思うがこれはこれでいいね。


「時雨、何で私のブラを付けてるの…後なんで私のパンツを被ってるの」

「いや、ちょっと寒くて」

「寒いなら自分の服を着てよ」

「そうですね~」


 俺は早苗お嬢の言われたとおりにさっき脱いだ燕尾服をもう一度着直した。これで万全だね。


「何で私のブラをしたまま着るの」

「男がブラをしちゃいけないんですかー!!」

「しちゃだめなんて言ってないよ、言ってないけど何で私のなの…」

「早苗お嬢!! いい加減にして下さい! そんなんじゃいつまで経っても宿題終わりませんよ!?」

「ご、ごめんなさい…」


 それにしても早月お嬢は静かに課題をやってるな。俺がここまで好き放題やっても何もいってこない。いつもなら嫉妬して俺を構ってくれるのに。すると早月お嬢は早苗お嬢に向かってこう言った。


「早苗は自分で宿題をやらなかったっていう自業自得なの、こうやられたくなかったら今度からはちゃんとやれるようにしなさい、わかったわね?」

「ごめんなさいお姉ちゃん…これからは少しがんばる」


 失礼な、これでは俺が厄介者みたいではないか!

 こんなこともあり、宿題が完全に終わった時刻は2時。俺のおかげで意外と早めに終わったのであった。俺は至福の時を過ごしたのだった。








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