第12話 これといって何もすることがなかった
どうも、お久しぶりです
何とかPCも直り、最新話を投稿ができましたよ。
次回も今週中には投稿する予定です
皆様にとってはもうそろそろ冬休みのはずでしょう…今更夏休みの話ですよホントに。
まぁそんなことで今回私たち一行は某温泉地に来ております。ぶっちゃけた話風呂入る意外やることないんで……
「なんか駄弁りますか!」
「偉く地味なことやろうとするわね」
欠かさず早月お嬢が痛いところを突っ込んできた。
「でもやる事ないじゃないですか! 折角皆が1話に一斉に登場する機会なんてないんですから駄弁りましょうよ!」
「急に駄弁るって言われても何を話していいのか分かりませんよ」
楓さんは困ったように言う。確かに急にそんなこと言われても何か面白い話題がなければ始まらないわけだ。
「じゃあこの物語も12話目なんで改めて一人ひとり自己紹介していきましょうか!!」
「うわ、つまらな」
「つまらない言うな!! たまにはいいじゃないですか! それにここまで読んできてもキャラの名前ぶっちゃけ覚えてねぇとか仰る読者様にもう少し詳しく教えてあげましょうよ!」
「誰よ読者って!?」
今俺たちがいる旅館の一室。一応男子女子と2部屋借りているのだが、男子の部屋に全員集合ということになっている状況。長方形の長机に俺たちは男女3人ずつ向かい合うように座っている。
女子側の左から早月お嬢、早苗お嬢、楓さん。
男子側の左から俺、笠神さん、鬼船さんといった形になっている。
「じゃあ、誰からしていこうかー?」
笠神さんはいつもながらに笑顔を浮かべ俺に尋ねてくる。
ここは言いだしっぺの俺から行こうかとも考えたが、主人公たるこの俺はシメに持ってくるのが一番最適な気がする。
「じゃあここは早月お嬢から言っちゃってください!!」
「えぇーなんで私からなのよ…」
早月お嬢はあからさまに嫌そうな態度をとる。
「お嬢…ちゃんとやってくれないと夜中襲いに行きますよ!」
「や、やればいいんでしょ!!」
見るからに、早月お嬢は恐怖を感じたのか一気にやる気が出たようだ。少し悲しい気分になったけどね。
「じゃあ、名前と趣味と特技、後、俺の好きなところをお願いしますね!」
「何でアンタ限定なのよ!?」
「え? だって早月お嬢、俺のこと好きでしょ?」
「どういう頭の回転してんのよアンタは!?」
「それではどうぞ!」
「本当にやるの!?」
半ば強引に始めさせることにした。少し困ったように下を向いて何かを考え込んでいる。
しばらく考え込んだ後、早月お嬢は顔を上げた。
「鳳咲早月…趣味はえっと…ぬいぐるみ集め…で特技はこれといって…………で、時雨の好きなところは…人間なところかな」
「人間なところ!?」
「だってそれくらいしかアンタのいいところなんてないじゃない」
「ひどい!」
人間なところって何なのさ!? 大体は皆人間じゃねーか! 適当すぎるでしょその答え方!
…まぁそれは置いといて。
「ぬいぐるみ集めが趣味って意外と可愛らしいですねお嬢も」
「な、何よ…私がそういう趣味だとダメなわけ?」
「そういうわけじゃないですよ~タダ、カワイイなーって思っただけで」
「…何か納得いかないんだけど」
納得し得ない顔をしている早月お嬢は一先ず置いておいて、続いての人に行こう。
「じゃあ早苗お嬢どうぞ!」
「うん」
早苗お嬢はいつものように眠たそうな顔を上げて口を開く。
「鳳咲早苗趣味は寝ること、特技は寝ること、時雨の好きなところは辛うじて人間の形を保ってるところ」
「保ってる!? 俺ってギリギリ人間やってたんですか!? 姉妹揃って俺を虐めてるんですか!?」
「ゴメン、ちょっと言ってみただけだけ」
「じゃあ俺の好きなところはあるんですか!?」
「…えっと……………………」
「無いの!? え? 嘘!?」
もう俺のライフはゼロよ! そんなところ好きでいられても全く嬉しくない! 悲しいわ!
「ってそれにしても趣味も特技も寝ることなんて早苗お嬢らしいですね…」
「3度の飯より睡眠が優先」
「ほどほどにしてくださいよ」
ここでクヨクヨしてても何も始まらない! 気を取り直して次の人へ行こう!
「楓さん! ガツンと言ってやってください!」
「何をですか!?」
楓さんならまともなことを言ってくれるに違いない! 俺は期待を込めて楓さんが話し始めるのを緊張しながら待つ。
「えっと…香透楓です…趣味は手芸で特技はお菓子作りです。…ちなみに時雨くんの好きなところは……面白いところ…ですかね?」
「普通に好印象で本当によかった!!」
「えぇ!? 泣くほどのことでしたか!?」
嬉しいと涙が出ちゃ。だって男の子だもん。俺は涙を拭き取り調子を戻す。
「流石楓さん! 趣味も特技もこれぞ女の子って感じで最高にいいです! もう結婚したいくらいです!! ていうか結婚してください!」
「それは流石にちょっと…」
「普通に否定された!?」
うぅ……俺をいじめて何が楽しいって言うんだ…。タダちょっとエロいだけなのにこんな有様なんて…。何で神様は俺にこんな残酷な試練を与えるんだ!
「はぁ。じゃあ男陣ですね。名前だけお願いします」
「男子適当すぎない!?」
「え~、だって…ねぇ?」
「えっと、僕になんの同意を求めているのかが全くわからないんだけど…」
何か急にやる気がなくなってしまった。こんな時に男の趣味だとかになんて興味ないんだよー!
俺は女の子がいいの! 男はヤダ!
「双馬よ…それは流石に差別ではなかろうか」
今まで黙ってゲーム(ギャルゲー)をやっていた鬼船さんが此方に反論をしてきた。
「確かにそうですね…じゃあ最後だけ変えて、俺が知らないお嬢達の恥ずかしい過去を行ってください!」
「「え」」
お嬢たちは口を揃えて驚いた反応をした。甘いなお嬢達、俺がこの程度でヘコタレテたまるか。何が何でも良い情報を聞かなくてはこの駄弁りを終わらせるわけになんていかないのだ!
「でわ、俺からだな」
鬼船さんは手に持っていたゲーム機を机の上に置き、ゆっくりと口を開いた。
「鬼船幸助だ。趣味はギャルゲー、特技は剣道だ」
「格好良くいってるのはいいですけどギャルゲーですべてが台無しですね」
「ギャルゲーは俺の誇りだ」
このように自分の趣味に誇りを持っていることは良いことだ。それが例えギャルゲーでもだ。
「そして、お嬢様の恥ずかしいことか…これといって思い出せないのだが…」
その言葉を聞いてお嬢たちはホッと緊張していた顔を緩めた。
だがそのとき、鬼船さんは急に何かを閃いたかのような顔をして再び話を続ける。
「これは恥ずかしいのかどうかは知らないのだが、早月お嬢様は中学生の頃ドラゴ○ボールの影響でか○はめ波を一人でずっと練習していたことがあった」
「ブフッ!」
思わず俺は盛大に吹いてしまった。えっと、これは世に言う中二病だろう。俺も昔は透明人間とかになりたいと割りとガチで思っていたものだからあまり人のことは言えない。
「鬼船! 何でそのことを言うのよ!」
「俺は言われたことをタダ遂行したまでだ」
早月お嬢は真っ赤にした顔を隠すように机に突っ伏してしまった。いいじゃないか可愛いよホントに。
「絶対、時雨だけには知られたくなかった…」
「大丈夫ですよ、人間は超能力に憧れるのは当然といってもいいくらいです! ところで成果のほうは? フフッ」
「こうやって馬鹿にするからよ!」
励ますつもりが、どうやら逆効果となってしまったらしい。女性の扱いは難しいな。
鬼船さんの自己紹介が終わったので、ついにきたかとばかり嬉しそうに笠神さんが声を上げた。
「じゃあ次は僕だね、笠神灯矢。趣味は読書、特技は絵を描くことかな!」
「うわ、地味っ」
「ひどいよ時雨君!」
だって地味なんだもの。読書を馬鹿にしているつもりはない。しかし今まで自己紹介で一番普通過ぎる。
「じゃあ、どんな本読んでるんですか?」
「えっとね、最近だと純情ロ…」
「はいストップ」
俺は笠神さんが何を言うかを瞬時で予測し、言葉を遮ることに成功した。よかったギリギリセーフ。
「え、僕まだ言ってないんだけど…」
「言わなくていいです…いや、言うな、絶対言うなよ」
「後輩にタメ口を使われた!?」
やっぱりこの野郎…この先注意をしなければいけないな。俺にはもっとも危険な相手として見えるぜ。もしかしてこの小説の黒幕となる人物なんじゃないだろうか。
「笠神さん、あなたはタダお嬢の恥ずかしいことを言ってればそれだけでいいんです。あなたの役目はそれだけなんですよ」
「僕の価値ってそんなもんなの!?」
笠神さんは納得いかないという感じではあったが、一度嘆息したところで仕方なく話を再開させる。
「えっと、鬼船さんが早月お嬢様のことを言ったのなら僕は早苗お嬢様のことを言おうかな……あれは早苗お嬢様が小学6年生のときだったね………午後の3時に早苗お嬢様は寝ちゃったんだけど、そのまま次の日の朝を迎えちゃってさ、その時早苗お嬢様は、おも…」
「はいストップ」
今度は俺じゃなく、早苗お嬢が笠神さんの言葉を遮っていた。
「え、でも僕まだ最後まで…」
「笠神は私達が話を振るうまでタダずっと黙ってればいいの、役目はそれだけなの」
「さっきから僕、攻撃されまくってる気がするんだけど!?」
俺から見ても笠神さんのことが不憫だと思えてきた。しかし早苗お嬢の声には現れていなかったが今までに見たことのない必死な顔をしていた…。まぁ…
「早苗お嬢、悪いんですけど、早苗お嬢が何をしたのかもう分かっちゃいました」
「…うそ……」
早苗お嬢は一瞬何もかもが終わったと言いたげな顔をした。
「あれですよね、よく幼い子とかがやっちゃうあれですよね。まぁ…追求するつもりはないですけど…ドンマイってことで」
「……きゅふぅ…」
何とも可愛らしい声を発して顔を隠してしまった。なんて可愛らしい生物なんだ。
「今日は俺にとってとても充実し1日でしたよぉー」
「若干名そうでもなさそうだがな…」
そう鬼船さんに言われたのでもう一度みんなを見回すと、まだ顔を突っ伏している早月お嬢。若干テンションが下がり、ボソボソ何かを言っている笠神さん。さっきのショックで早月お嬢同様に顔を隠している早苗お嬢。
普通なのは鬼船さんと香透さんと俺だけのようだ。
「皆そんなテンション下げてないで~、そんなら皆で風呂行きましょうよ風呂! ここが混浴じゃないのが何とも惜しいことですけどね~」
俺はそういって、部屋から風呂へ行くための準備をするため立ち上がろうとすると、今まで顔を突っ伏していた早月お嬢が顔を上げてこう言った。
「散々私たちに言わせておいて、アンタだけ何も言ってないじゃないの!」
「あ、すっかり忘れてましたよ」
「そうね、私に恥をかかせてくれたんだからあんたも何か秘密でも言ってもらおうかしら!」
「秘密…ですか。そうですね~実は俺童貞なんです」
「どうてい? 何よそれ…早苗知ってる?」
「知らない」
ん? 待てよまさかこのお子様共。意味を知らないとでも言うのか? いや…これは良い家庭環境で育ってきたからなのだろうか。
少しからかうつもりで言ったつもりなんだけど、知らないとは思いもしなかった。
「…えっと、童貞って言うのはですね…」
「あ、あのっ…時雨君! 女の子にそういう事を言っちゃだめですよ!」
ここのきてまさかの楓さんに止められてしまった。まぁ正直変なことを言っちゃいそうだったので助かった。童貞を説明したら俺は間違いなく早月お嬢に殴り飛ばされる羽目になっていただろう。それに自分がチャリボーイであることを失言してしまったことに今更恥ずかしさを覚えている俺。
「しかし、香透さん…意外とそういうことに知っていたことに驚きでした…俺としてはもうちょっと純粋なキャラだと…」
「そ、そうですか…? 私だってそのくらい知ってますよ」
「で、ですね~」
「何でそんな軽い流し方なんですか!?」
「いや、男性嫌いって言うからそういう知識に関しては何も知らないと思っていましたもので」
「うぅ…」
どうやら早月お嬢達が復活したけど楓さんが変わりにダウンしてしまった。
「さて、俺だけ自己紹介してませんものね。ここで軽く言っておきますか」
「俺は全世界の女性の味方、双馬時雨! 趣味はエロイこと特技もエロイこと、座右の銘は「少年よエロスであれ!」ちなみに俺の行動原理は約97%がエロスです!」
「あんたエロスエロスって馬鹿なの?」
「馬鹿じゃないです! タダちょっぴりエロイだけです!」
「…要するに馬鹿なんでしょうが!!」