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Lost Days  作者: 陽炎煙羅
六章 Near rulernism~そして支配者はほくそ笑む~                                         
98/261

例えば少年の場合 …1

 久々の主人公降臨。

 胸が高鳴ります。

 ……え? 僕だけ?

―――――――――――――――――――――HIBIKI side


 例えば、だ。

 ホラーだとか、アクション系だとか、そういう世界に自分が放り込まれたと想像してほしい。


 何でも構わない。化け物でも、ゾンビでもいい。


 そこにいる自分は、はたしてどう行動するだろうか。想像してみてほしい。


 戦う? 仲間を集める? 立てこもる? 何かの力が発動する? ヒロインを守る?


 思い浮かべただろうか。

 答えは、全て(・・)。今考えたこと全てを実践しないと、自分が生き残ることは、出来ない。


 つまるところ、自身の潜在意識は、自分にとって必要なことは状況に応じて瞬時に考え付くことができるものなのだ。


―――――――――――。


「だから、何なんですか?」

「いや、結局やれること全部やらないと心残りが出来るんだな、と」


 だから、何の話なんですか……。と俺の隣の銀髪の少女――祗園、鈴――は呟いた。


「……軽口を叩いている場合ではないですよ、巽野さん。今どういう状況か分かってるんですか?」


 勿論分かってるとも。



 ――龍ヶ峰市の四区の内の一つ、東区に入った俺、巽野響輝と自身も俺と同じ存在であると名乗った祗園鈴は、北上する最中にまだ生き残っている人間を発見した。


 俺としては別に見捨てても身捨てなくてもよかったのだが、俺の横を走る大鎌使いの少女はそんな俺の態度をお気に召さなかったようで、冷やかな視線を浴びながら、人々との協力を図ることにしたのだ。


 それで、もうお決まりのパターンとも言えるか、逃げまどう身一つの人間では戦力にならないため、必然的にどこかへ立てこもらなければならなくなったのである。


 そこが、俺達が今いる、私立龍ヶ峰東高等学校である。

 そして、教室(何階のどこの教室かなんてものを気にしている暇はないのだ。少なくとも二階より上である)の窓から外を窺う鈴に俺は叱咤激励を受けているのであった……。


「こんなところか?」

「わかっているならいいです。……全く、あなたは危機感が足りないのではないですか? どこか、何かを諦めているような気もしますが」

 大鎌を肩に担いで端正な顔を向けている鈴がため息と共に言う。


『ふん、銀髪よ。“ような”ではない、諦めているのだ、こいつは。こいつの人生は既に仮初のものでしかない、そういう意味では諦めているというよりはやる気が無い、の方が正しいか』


「五月蠅いぞ、ハーテッド。最近しゃべってないと思ったら何だ。俺に関するネタばれは止せ」

『……常識を覆されたコンピューターの身にもなってくれ』


 なれるか。俺はれっきとした人類だ。

「……では、“逸れ者”とは、“鍵”とは、何なのでしょうか……」

 急に目を伏せた鈴がかすれるような声で言う。


 何を言い出すかと思ったら、何だよ。俺より事に精通してるだろうが、お前の方が。

「世界の法則。決められた、理不尽な規則。運命。宿命。どの言葉で表しても、私にはいまだに納得できない。どうして、“あの子”は死ななければならなかったのか……」


 ……どうやらこいつにも色々と事情があるらしい。踏み込むつもりは微塵も無いがな。

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