だからこそ、少女は進む …2
異質。
異なり、異なるもの。
「そうだ。まあ、そんなに常に出来るわけじゃないがな」
浅滅は近くの脇道に車を入れると、静かにドアを開いた。
さっと飛び出て、元来た道を確認する。追手が来ていないか見ているのだろう。
ロングコートを翻し、浅減は海岸に広がる草原の方へ向って歩き出した。
私はそれに続く。
「車は、乗り捨てるんですか?」
「ああ。いちいち構っている暇はない」
違法だよ……。
浅滅はふと、海の方を見た。
私もそれにつられてしまう。
海は美しかった。地平線には日差しに反射した波面が光り、空との境界線はどこか儚げで……。
……もう少しでたどり着ける。私の生まれた街に。私の記憶に。
あと少しで……。真実に、偽疑に。
―――――――――――――――――――――――Re:Re:KOTONE side
草原を歩く浅滅に、私も続く。
見渡す限り、草原。街ひとつ分くらいあるだろう広さの草原。
ここが、龍ヶ峰市だ。解る。
理由は無い。だが、感じるものがあった。
「それは……。もしかすると、“逸れ者”か?」
逸れ者……?
「……いや、なんでもない」
また何か新しい情報だろうか。だとしたら、隠しているのはなんでだろう。
しかし、何で私は冷静なのだろうか。
「“鍵”は“逸れ者”に魅かれ、共鳴し、対の存在となる。理不尽で、不合理な世界の法則さ」
また私の分からないことを浅滅さんが話し出した。
まあ、独り言だろうけど。
「しかし……」
「何ですか?」
「いや、お前の“逸れ者”はよっぽど冷た……」
最後までは聞き取れなかった。
逸れ者……。鍵とは別に、誰かそういう存在が居るのだろうか……。