それでも少女は求め続ける …8
90話目です。なんか普通に百行ってしまいそうです。話があんま進みませんorz
……もう駄目だ、喰われる!
そう思った時だった。
横合いから銃声が轟いた。
「グギャアッ!」
銃弾は、“昆虫”の頭部を空気中に破裂するように散らし、向かって右の壁に胴体を叩きつけた。
左を向くと、ドアから死んだはずの浅滅がショットガンを片手に持って部屋に入ってくるのが見えた。
「あ、浅滅さん!?」
ショットガンの銃口からは青白い煙がたなびいていた。
「ったく、銃は便利だが、喰らう危険もあるのがたまに傷だ……」
そんなまさか。
銃弾を受けて、血を流して、そのまま生きていられる人間なんているわけがない。
でも、今私の目の前の浅滅は生きている。
生きて、ここまで来ている。
何で……。
視界の端で“昆虫”の身体が蠢いているのが分かった。
思わずそちらを向く。
肩から上が無い状態の魔物は、ゆっくりと立ち上がり、長い、触手の様な昆虫のそれのような足を地面につけ、再び痙攣を始めた。
首のあった付け根から、再びカマキリのそれの様な頭がにょきっと出現し、今度は背中から、広げて四メートル近くある、蝙蝠の様な翼が出てきた。
粘液に覆われた複眼が再び怪しい光を放つ。
「キジャアアアアアアアアアアアアアアア」
「きゃああああああああああああああああ」
“昆虫”の叫びに、感情が刺激され、恐怖が心の底から湧き出る。
「五月蠅い!! そんな子供騙しにはもううんざりなんだ!」
浅滅が空薬莢をはじき出し、再び銃を撃った。
銃声。
今度は銃弾は魔物の胴体に穴を開けた。内蔵のような緑色の粘着質のものが壁に叩きつけられる。
「くくくくく。ぐききぐぐくく……」
それでも“昆虫”は奇怪な音を洩らしながら立っていた。
「くくっくぐくクヒャアアアアアアアアアア!」
「五月蠅いっつってんだろうがッ」
飛びかかっていく“昆虫”に向かって、浅滅が三発目を放った。
魔物の右翼が飛散する。勢いに、先ほど撃ち抜かれていた胴体がちぎれ、“昆虫”はその勢いのまま、地面にたたきつけられた。