but 少女は善と悪に乱れ …6
記念すべき(?)80話目です。
……ショットガン。
一発で数十粒もの小さな鉛玉を銃口から吐き出し、近距離にあるものを蜂の巣にする、近距離戦闘おいては他の銃に追随を許さない銃だ。
ゲームとかでもよく見る銃だ。
ただ、今浅滅が懐から取り出した物は、銃底と銃身が切り詰められていた。
……いわゆる切り落としショットガンである。
何で私がこんなにも知っているのか。
それはそこそこ付き合いの長い優等生の男子生徒……大柴優斗との雑談でそういった知識を延々と披露され続けたからである。
……私が出て行ってしまった街は、今化け物に襲われている、と浅滅は言った。
その言葉を信じる限りでは、私を街から出した人……がいたらしい。
……もしかして、私を街から逃がしてくれた人というのは、大柴君のことなのではないだろうか……?
「……ハッ。こんな低級な恐鬼を繰り出してきやがるとは、俺も舐められたもんだ」
立ち上がった私の隣で浅滅がソードオフ・ショットガンを構えて吠えるように言う。
車内では、紅の蕾がその中央部の白人面を獲物に逃れられた怒りに歪め、
「きいいいいぎゃああああああ!!」
という狂った叫びを上げながら、運転手の首から伸びる茎をさらに伸ばし、車の横ガラスを突き破った。
「ほざけ、ゴミがッ!!」
そう浅滅が叫んだ瞬間、その手に持っているショットガンが火を吹いた。
同時に、至近距離で発砲したためか、急に大きな発砲音に耳が一瞬聞こえなくなる。
「ッつあ……」
思わずかすれた声を上げて耳を押さえ、その場にうずくまってしまう。