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Lost Days  作者: 陽炎煙羅
五章 Incident of~そして奴と遭遇する~
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but 少女は善と悪に乱れ …4

 突然の急ブレーキに身体が前に押し出され、前の助手席に頭をぶつけそうになる。


 横を見ると、白いガードレールと、その下に流れる青い線。

 ――川の上だ。

 タクシーは橋の上で停まっていた。


 橋と言っても、ウェストブリッジほどの大きさのものではない。

 渓谷に流れる川の上にかけられた、小さな橋だった。


 その橋の中央部で、タクシーは停止し、静かにアイドリングの音を上げていた。


「あの……どうし……」

 どうしたんですか、と聞こうとして右を向いたところで、私は異変に気付いた。


 前の座席に座っている運転手の身体が震えていた。

 急停止の衝撃で心筋梗塞にでもなったのかと思ったが、そうではなかった。


 私と浅滅が見ている前で、最初は小さかった震えが次第に大きくなり、盛大に身体を揺らし始めた。

 痙攣にしても激しすぎる。


 発作的に身体をひかせてしまった。分かったからである。

 ……何か、今から悪い事が起こる。


 分かっていた。分かっていたのに、逃げ出すことはできなかった。

 運転手の身体は狂ったように座席の上で乱舞を続けている。


「浅滅さん……」

 浅滅の方を見ると、彼は冷静にスキットルを仰っていた。

 ……車の中って飲酒オーケーだったっけ。


「……ハッ。くだんねえ、そうい(・・・)うの(・・)にはもううんざりしてるんだよ」

 そう言うと、浅滅は扉を開けようとする。


 その時だった。

 運転手の頭にびりっ、と亀裂が走った。

 そのまま後頭部が裂けて横に分かれていき、その間から紅色の丸い物が飛び出してきた。


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