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Lost Days  作者: 陽炎煙羅
五章 Incident of~そして奴と遭遇する~
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but 少女は善と悪に乱れ …1

 男は、名を浅滅燎次(あさけしりょうじ)と言った。


 彼の話は長いうえに分かりにくかったのだが、要約するとこうだ。


 ――――今、私の住んでいた“街”はおよそこの世と呼べる位置には存在していないらしい。


 そして“街”は現在進行形で“恐鬼”という化け物に支配されようとしている、というのだ。

 

 私はその“街”に住んでいる人の内の誰かに“街”から逃がされたらしい。

 本当なら私はその人のことを覚えているはずなのに、何故か思い出せないのだ。


 ――これが私の中の一つの鍵。


 浅滅の話によれば、私の身体の中には“鍵”というモノが宿っており、その“恐鬼”達はそれ――すなわち私――を狙っているらしい。

 

「正確には、お前の中にあるモノを“鍵”と呼ぶのだが、お前が死んでしまうと“鍵”も消滅するため、お前自身も“鍵”と呼称されるのだ」

 

 少し前を歩いている浅滅燎次が呟く。

「でも、私が狙われているのなら、わざわざ竜ヶ峰に戻らなくてもいいんじゃ……」

「だから言っただろう。“支配者”は仕掛けをしていやがったんだ。お前が再び街を訪れない限り、街が永遠に救済されないようにな」


 支配者……ルラーというのは、“恐鬼”の中でも上位に位置するものの内の一個体を指すらしい。

 そいつの話をする時の浅滅の顔を見る限りでは、かなり手ごわいらしいのだ。


「俺が今すべきことは、お前を“街”に連れて行き、それで且つ“支配者”を斃して街を解放することだ」

 そう言うと、浅滅は近くを走り過ぎようとした一台のタクシーを呼びとめる。


「お前にもお前の闘いがあるのだ。恐怖に打ち勝ち、それを忘れるな」


 タクシーは浅滅と、後から乗り込んだ私を乗せ、数日前まで“竜ヶ峰市”が存在したであろう場所へ向け、走り出した。

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