さすれば少年は目を覚ます …2
しばし俺は上半身を上げた格好で硬直する。
……空気にそぐわなすぎるぞ。なんで魚。……腹が減ってくるだろうが。
というか美味そうにアジみたいなの食うなよ。当てつけか。
あちらは食事に夢中らしく、今だこちらには気付いていない。
薪に串刺しの川魚か。……実にワイルドだ。
『……響輝。早く話を進めろ。このままではコメディーになってしまいかねん』
「何の話だ」
俺は魚を頬張っているそいつを見る。……美味しそうだ。
そいつは見た目的にも実に奇妙な衣服を身に着けていた。
まず第一に、白い服を着ている。……何と表現すればいいのか、とにかく和風なテイストの服で、上下両方が白づくめだった。
そして、その上に黒いローブのようなものを羽負っている。白と黒で嫌でも目立つ格好だな。
第二に、そいつは髪の毛が白……いや、銀色か? ……とにかく、そんな色だった。
ローブを脱げばまさしく全身真っ白である。
そして第三に、そいつは俺より一歳年下、もしくは同年代くらいの、女だったのだ。
「……んぐっ……」
……どうやら魚がのどに詰まってしまったらしい。胸に手をとんとんと当てている。
そこでようやくその非常に白くて黒い格好の少女は、俺が起きていることに気付いたらしく、串刺しの魚を一本取り、砂をかけて火を消し、こちらに向かって歩いてきた。
「おはようございます」
開口一番、朝のご挨拶をされてしまった。……常識のある人間に遭遇出来たことは幸運に思う。
「……おはようございます。時に今はいつ何時なのでしょうか?」
丁寧口調が移ってしまった。
…………。
「街が閉ざされて一夜が明けました。今は朝の八時二十三分です」
白衣の少女はさらりと返答する。
自問自答
Qそんな新キャラで大丈夫か?
A……どうでしょう。