だから少年は冷たく歪む …2
一日目は本当につらかった。口をふさがれ、両手両足を柱に縛られ、依頼人と連絡を交わす狂人の笑い声を聞きながら、俺達姉弟は耐えていた。
食事も与えられないし、監禁されている場所もどこかの廃工場だということしか分からず、一日が過ぎていったのだ。
二日目。誘拐の依頼人が逆探知と声紋鑑定、そして証言に基づき確定され、逮捕された。
早かった?いやいや、そんなことはない。あえて言うのなら、他人に人質の管理を任せていただけに、いろいろと依頼人は詰めが甘かった、ということくらいか。
警察も、親父も母さんも、後はこいつに俺達の居場所を吐かせるだけだと思っていたらしい。まあ、犯人がそいつだけだと思っていたのは当然だ。身代金取引の話や、誘拐宣告もその依頼人がやっていたのだから、あたかも一人で犯行を行っていたかのように見せかけていたのだから。
人間の情報網というのは心底恐ろしい。依頼人が逮捕されたという情報は、すぐに直接犯行を行っていた狂人の耳にも届いていた。
そして、彼は自分が事件に関与していると依頼人が吐いたら終わりだ、と思ってしまった。
それが、狂人のスイッチを入れた直接的な原因と言えるだろう。
ほどなく、依頼人の口から協力者の存在が語られ、、警察すぐに俺達の救出に向かったらしい。
だが、もう遅かったのだ。何もかも。
もう自分の素姓がばれていると感枯れた狂人は逮捕の情報が入った時点ですでに自暴自棄になると同時に狂っていた。
情報を入手したとたんに嗤い始め、しばらく焦点の定まらない目で何かをぶつぶつ呟いていたが、少しして、狂人は行動に移った。




