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Lost Days  作者: 陽炎煙羅
二章 Encounter with~そして終わりは訪れる~
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それでも少年は冷酷で …8

 やはり、俺は復習を果たした後でさえ、姉さんのことを吹っ切れていなかったらしい。

 包丁とナイフの二刀流になった“戌海琴音”が二本の刃を交差させる。


「さあ、響輝君……、死んでっ!」


 片膝をついている俺に向かって、“戌海琴音”が突っ込んでくる。


 何とか右足を動かし、姿勢を低くして、足払いをかける。


「……っ!……」

 完璧に油断していた“戌海琴音”が足を滑らせ、ジャンプして俺の真上を通り過ぎようとする。


 とっさに身体を倒した状態で反転させ、左足で真上にある“戌海琴音”の腹を蹴りつける。

「がっ……」

 “戌海琴音”がうめき声を上げる。


 その左手に握られている中華包丁の柄をその手の上から握り、全力で手から抜けさせる。


 “戌海琴音”が教室のドアに叩きつけられている隙に、窓際へ退く。

 これで、両者の位置が入れ替わった形となった。

「くくくくくくくくく…………」

 “戌海琴音”がドアに手をかけ、ゆっくりと起き上がる。



 こちらに包丁。あいてには大型の……おそらくサバイバルナイフ。


「くくくくっ……。面白いよ、面白い人。だから、響輝君のこと、だーい好き! 食べちゃいたい!」

「俺はお前みたいな奴なんざ、大嫌いだっ!」


 再び駆けだし、“戌海琴音”向かって、すぐそこにあった机を投げ飛ばす。


「ふふっ」

 “戌海琴音”はその机を軽々と飛び越え、再びドアの前に後退する。

 ……人間じゃねえ。



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