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Lost Days  作者: 陽炎煙羅
二章 Encounter with~そして終わりは訪れる~
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それでも少年は冷酷で …7

 “戌海琴音”がゆらり、ゆらりと狩りをする時のカマキリのように身体を揺らしている。


「今、響輝君が最も恐れているのは、自分しか知らない罪を身近な人に責められること。真核の情報を占有して、他の事では一切揺るがないその意志も、それだけで……もろく、崩れる」


 その通りだ。では聞こう。その崩れた先には、何が潜み、息を殺していると思う?


「……ふふふ。逃げられない響輝君には、もう何もできないんだよ」


 “戌海琴音”が制服のポケットから大型のナイフを取り出す。


 物騒な奴め。今朝……いや、昨日、俺にその紛い物の姿を見せたその時から、持っていやがったのか。


 ……いや、わけの分からない呪文とかで瞬殺されるよりはまだましか。


 まだキーは残っている。まだ、冷静に考えられる。


「……驚いたよ。響輝君はよっぽどなイレギュラーなんだね。“私たち”に最初の方に襲われる人間は、すぐに死んじゃう……もろぉーい、モノなのに」


 “戌海琴音”が今度は自らの腰の後ろに手を回し、そこから、一本の少し刃こぼれした、


 中華包丁を取り出した。

 


 あの刃こぼれ具合、あの時の……。


「…………っ」

「あははははははは! ほら、よく見てよ。コレでしょ。響輝君の歪んだ記憶の中でも恐怖の対象になってる、包丁」


 くそっ。

 また、身体をけだるい感覚が襲ってくる。


「そうだよ。コレは、あの時のまま。お姉さんの命を奪った血濡れの凶器」


 再び意識が朦朧としてくる。心が“琴音”の元へ吸い寄せられていく。

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