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Lost Days  作者: 陽炎煙羅
二章 Encounter with~そして終わりは訪れる~
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それでも少年は冷酷で …5

 おかしい。そもそも、俺は戌海に「姉が居た」ということさえ、言ったことは無いぞ。



 ……何かがおかしい。どう考えたっておかしいぞ。

 まさか、いや……。



 ……こいつは、戌海琴音では、無い……?


 

 恐怖は人の判断力を鈍らせるが、時に火事場の何とやらを発動させたりする。

 急に力を取り戻した腕を振り、俺に絡みついている琴音を突き飛ばす。


「きゃっ」

 大げさに尻もちをついているが、そんなことを気に留めている場合ではない。


「なっ、何?響輝君……」

「…………」

 俺はいつもの表情で戌海琴音を見下ろす。


「……そう、怖くなったんだ。でも、大丈夫。その恐怖も全部私が――」

 そして俺は、いつものようにそいつの言葉を流し、こう、一言一句はっきりと、言った。


お前は・・・……誰だ・・?」

 ……と。



「……誰って。何を言ってるのかな、響輝君。私は『戌海琴音』だよ、見てわからない?」

「俺の知ってる戌海琴音は、俺の過去のことも、姉さんのことも、何一つ知らないはずなんだがな」

 “戌海琴音”が少し眼を見開く。


 そして床に手をつき、ゆらりと立ちあがった。

「……そう、か。言ってなかったんだ。……残念」

 何が残念なのかさっぱりだな、全く。


「……はぁ~あ。でも、悪いのは響輝君だよ」

 そう言うと、“戌海琴音”はスカートから埃を払った。


 ……俺が悪いだと? 何のことだ。

「『巽野響輝』の記憶は歪みすぎてるもの。おかげで、墓穴を掘っちゃった」



「ざまぁ」

 俺はそう言い、ようやくまともに働いてきた脳味噌で思考を始める。


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