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Lost Days  作者: 陽炎煙羅
二章 Encounter with~そして終わりは訪れる~
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それでも少年は冷酷で …4

 ……確か、いや、間違っていたら誠に申し訳ないんだが、日本人の眼の色は、黒色じゃなかったか?


 ……まあ、どうでもいいか、そんなこと。


 ……どうでもいいだと? 何を考えているんだ、俺は。

 何だろう、だんだん思考がだるくなっている。


 この教室の空気に酔う心が、意識が、だんだん沈んでいくような……。



 微妙に朦朧としている俺を、戌海琴音がゆっくり抱きしめる。

「ほら……、良いんだよ? 響輝君。もっと身をゆだねて。そうすれば、楽になれるよ」

 楽に……なれる……。


 過去のしがらみ。今の日常。生きること。死ぬこと。

 そのすべて。面倒くさい、俺の……人生。


「全て……忘れるの。響輝君のつらい思い出、マイナスの感情。そして……」

 琴音が力を込める。


「……『響輝君』を、私が……貰ってあげる」


 忘れる……か。

 それも、いいな……。


 この際だ。全て、投げ捨てて、忘れて、楽になってしまおう。そうだ、それがいい。

 それが――――――――――――


「ね、全部、頂戴。辛かったこと、憎んだこと、攫われたこと、お姉さんのこと、犯人への憎悪、あの日、『響輝君』を壊した 全てを――」



 姉さん……。

 とても優しかった……俺の、憧れだった人。

 でも俺はあの日、姉さんを死なせた。

 ……殺して、しまった。


 ……そう。それは誰も知らない、俺だけが知る、真実。

 俺以外は誰も知らない……。


 誰も知らない(・・・・・・)……?



 ……待て。待つんだ、俺。

 じゃあなんで、俺の目の前のこいつは、俺を抱きしめているこいつは……

 ……それを、知っている?



 



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