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Lost Days  作者: 陽炎煙羅
二章 Encounter with~そして終わりは訪れる~
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それでも少年は冷酷で …3

 夕日の差し込む教室。


 ドアをスライドさせて開けると、窓際の一番後ろの席に腰かけて、こちらを向いていた。

 というか、何で来てるんだ、俺は。ここは無視するところじゃないのか?


 ……言い訳するわけじゃないが、放課後になると、自然と足がこの空き教室に向かっていた。本当だ。


「ねえ、響輝君ってさ」

 戌海琴音が立ち上がり、夕日の方――窓の外――を視る。

「……一目惚れってしたこと、ある?」

 一体何を言い出しやがる。

 俺は万年彼女拒否中のはずなんだが、何か?


「私はね……、しちゃったんだよ。響輝君に」

「……」

 何も言えない俺。

 

 戌海は振り向き、ゆっくりとこちらに歩いてくる。

「響輝君のこと考えてるとね、ここがさ、痛くなるんだ。ギギーって」

 擬音最悪じゃねえか。錆ついてんのかよ、お前の心臓。


 

 戌海が俺の目の前に立つ。距離が近い、近すぎる。

「ねえ、響輝君」

「…………」

 流せない。この教室の空気が……、いや、俺の意識自体がだんだんと琴音に吸い寄せられていく。

 感覚が、俺の思考を妨げる。


「返事はいいよ。必要無い。……ほら、私の眼を見て」

 そう言うと、戌海は両腕を俺の首の後ろに回してきた。


 至近距離で琴音が俺を見つめてくる。

 目を逸らせない……。何だ? この感覚。

 ……身体が縛られていくような……。


 外から差し込む夕日をシルエットに、琴音のまるで椿の花のような紅の両目が俺の顔を見ている。


 

 …………紅?

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